自動車教習所の入所条件と教習に関する申入れ書


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2011年2月8日
警察庁 長官                     安藤隆春 殿
全日本指定自動車教習所協会連合会 会長  安藤忠夫 殿

   財団法人全日本ろうあ連盟 理事長              石野富志三郎
   社団法人全日本難聴者・中途失聴者団体連合会 理事長  高岡正
   障害者欠格条項をなくす会 共同代表             福島智・大熊由紀子
                                          (公印略)

自動車教習所の入所条件と教習に関する申入れ書


 私たち、財団法人全日本ろうあ連盟、社団法人全日本難聴者・中途失聴者団体連合会、障害者欠格条項をなくす会は、各方面の情報収集と分析、及び蓄積された経験に基づいて、道路交通法施行規則の聴力基準の削除と、情報・コミュニケーション面などの環境整備を求めてきています(註1)。

 2008年6月からは、基準の聴力に届かない場合に、聴覚障害者マーク・特定後写鏡装着条件付きの免許が交付されるようになりました。2009年度からの警察庁委託調査研究においては、この免許で運転できる車輛車種の限定条件を外す内容で検討が進められているところです。

 ところがその一方で、2010年11月、指定自動車教習所の入所条件のなかに、現行法の条件をも逸脱した厳しい条件の付されている事例が、多数あることがわかりました。

 2010年11月末時点で、群馬県・埼玉県・東京都の指定自動車教習所の公式ウェブサイトを調べたところ、121か所のうち約半数(62か所)に、聴覚障害にかかわる入所条件が書かれていました。そのうち、「10メートル離れて90デシベルの警音が聞えること」が13か所、「普通の会話ができること」・「音声の会話が聞き取れること」のように「会話」を条件にするものが36か所あり、「身体障害がない人」を条件とするものさえ2か所ありました。いずれも、現行法が規定する条件を逸脱しています。

 これらの記述は、旧法と変わりがないかまたは旧法にも存在しない条件を教習所の入所条件に定めていることを表現するものであり、きわめて大きな問題です。これらの記述を読んだ人は、障害があると教習所への入所もできないと解釈するでしょう。

 従って、これらの記述は早急に削除願います。それと同時に、各教習所が、聴覚障害者を受け入れる姿勢をもつようにしていくことが必要です。最近の警察庁調査(註2)においても、普通免許に係る教習を実施している教習所のうちで、実際に聴覚障害者を受け入れたことがある教習所の割合は1割未満でした。実際に受け入れて、教習生と教習所との個別具体的な相談調整によって、合理的配慮(註3)を提供できるようにしていくことが、今、各教習所に求められています。従来遅れてきた教習環境を改善するために、貴職の方針と計画が重要になっています。

 教習において誰にとっても大切なことは、安心して安全に教習を提供し受講することができる環境づくりです。そのことは、免許交付後の運転の基礎でもあります。

 本件についても意見と情報を交換し環境改善を進めていくことが必要となっていることから、上述の基本的な問題整理と併せて、三団体として次の各項目を申し入れます。


項目
1)全教習所の入所条件と受け入れ姿勢の現状を調査し、現行法を逸脱している入所条件は、早急に削除されるようにすること
2)聴覚障害者が実際に教習所に入所し、手話通訳や筆記通訳などの情報アクセス保障をはじめ必要な配慮を得て受講できるようにしていくために、環境整備の方針と計画を作成すること
3)教習の好事例やノウハウは、テキストや要領などで啓発・広報し、各教習所での実施に役立てること
4)上記について三団体と十分な協議をおこないながら検討実施すること
以上

註1
詳しくは下記の公開シンポジウムアピール(2006年10月15日付)にも記載している。
http://www.jfd.or.jp/info/2006/20061015-unmen.html

註2
各都道府県下の教習所の、聴覚障害者の受け入れ態勢(2009年12月時点)について、各都道府県公安委員会を通じて2010年1月に調査が実施された。普通免許に係る教習を実施している教習所は全国に1349校あり、そのうち聴覚障害者の受け入れが可能と回答した教習所は955校(70.8%)、調査時点で受け入れ実績がある教習所は96校(受け入れた人数は149人)だった。

註3
国連障害者権利条約は、障害に基づく差別には合理的配慮を行なわないことも含まれると定義している。日本政府も2008年に条約に署名し、現在、内閣府障がい者制度改革推進会議を軸に、条約批准にむけて国内法の整備を進めている。


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