「障害のある人の欠格条項ってなんだろう?Q&A」
出版記念イベント(2023年)


その1
大熊/大熊由紀子でございます。共同代表を仰せつかっています。福祉と医療、現場と政策の間に横たわっている広くて深い川に橋を架ける、志の縁結び係&小間使いを名乗っております。今日私の「えにしメール」を読んで来てくださった方、有難うございます。
 福島智さんはとても有名な方ですから、ここにも本が3冊ありますけれども、目が見えなくて、耳がきこえない、東京大学の教授でいらっしゃいます。福島さんは、ずっと、目も耳も普通だったんですが、9歳のときに見えなくなり、18歳のときに聞こえなくなったという障害をもっていらっしゃいます。
 福島さんと私が映っているスライドを映していただけますか?(写真 左端 福島さん 右端 大熊さん) こんなふうで、普段ですと、間に指点字の方が入っていないと、私と福島さんは話せません。福島さんは、もともとはしゃべれた方なので、関西弁でとってもユーモラスにお話しされるので、今日来ていただけると本当によかったんですが、ちょっと体調を崩して私が代理を務めています。
(写真:福島さん、指点字通訳者、大熊さん)
 福島さんは関西の人ですから、ウケるということがすごく大事なので、この指点字の人が、今の話はとてもウケたよ、というふうに伝えると、にんまりとされるという、そんな素敵な方です。このように福島さんは、普通だと会話ができないんですけれども、不思議なことにメールですと何時間でもお喋りできるという、そういう間柄でございます。
 今日出てくる方のほとんどは、障害者手帳をもってらっしゃって、私がいずれ障害者手帳を持つであろう人間、福島さんが男性、私が女性、ということで、二人でこのお役をさせていただいております。
 次のスライドは、福祉と医療、現場と政策をつなぐ「えにしの会」で、東大の教授だとか、知事さんとか、読売新聞の方が司会したシンポジウムですけども、福島さんがみんなの前で話すときには、長時間なので、右と左に点字通訳の方がいらっしゃる。そういうふうでないと会話がなりたちません。
 私は共同代表などになっていますが、実はかなり無知蒙昧でして、福島さんとご飯食べながら打ち合わせしようなんていうことで、そのつもりで行きましたら、福島さんは、ご飯食べるっていうことと、点字通訳を通じてしゃべるということが両立できないっていう、そういうようなごく初歩的なことも私はわからないなりに、この会を世の中に知らせる係をやっております。2000年には朝日新聞にいたので、門前払いは社会にも不幸、という社説を書いたりして、私はPR担当というところです。福島さんが、この会の頭脳です。
 このあと話してくださる臼井久実子さんが、この会を立ち上げここまでひっぱってきた方。実は本当の中心人物は臼井久実子さんです。まだ誰もけっかく条項の「け」の字も知らなかった、その字を社説で書くと、「けっかく」とは肺病の結核か、と言われる、そんな時代から、ずっとこの問題を丁寧に追いかけてきた方が、次に出て下さる臼井久実子さんです。耳が不自由なのですが、言葉がしゃべれますので、文字通訳を見ながら、みなさんと会話ができるということです。
 どうぞこれからみなさん、とってもすばらしい、目がみえない、耳がきこえないけれどもみんなから名医といわれている方とか、てんかんと、うつ病にまでなったのに、とっても朗らかで、講談師塩梅(あんばい)さんという芸名を持っていらっしゃる方とか、次々すばらしい方がでていらっしゃいますので、楽しみながら、でもこの欠格条項という不平等なことを知って欲しい。福島さんは下宿しようという時にも断られましたし、大学の入学試験のときも断られて、一次はいいけどニ次はだめというのを、かいくぐって今にいたっています。では臼井さん、よろしくお願いします。

瀬戸山/大熊さんどうも有難うございました。続いて、さきほど紹介がありました臼井久実子さんに本の誕生の経緯やこの本への思いをお話いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
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初出:障害者欠格条項をなくす会ニュースレター89号(2023年12月発行)


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