「障害のある人の欠格条項ってなんだろう?Q&A」
出版記念イベント(2023年)


その1
(写真:瀬戸山さん)
瀬戸山/本日の司会の瀬戸山です。よろしくお願いします。東京医大で教員をしています。本日たいへん多くのかたにご参加いただき有難うございます。関心の高さを感じるとともに、緊張していますが、よい回にしたいと思います。
 2023年4月「障害のある人の欠格条項ってなんだろうQ&A」という本が出版されました。出版の経緯はのちほど臼井さんのほうから説明がありますか、障害のある人の欠格条項がなぜ問題で、どうしたらいいかを考える1冊だと思っています。日本は2014年、障害者権利条約に批准しています。今もなお欠格条項がある、あったことによって障害があるとできないだろうという思い込みによる偏見が社会に蔓延し、やりたいことを阻まれている人が多くいます。昨年2022年8月に行われた国連による初の対日審査の結果をうけた総括所見で、心身の故障と書かれた欠格条項は侮蔑的であり、このような法規制は廃止することを、日本は勧告されています。現代社会では、障害を「医学モデル」ではなく「社会モデル」でとらえます。つまり、障害は個人の内側ではなく、様々な特性がある人をインクルージョンできない社会の側に存在するものであり、社会の側の調整が必要であると考えます。資格取得などでは、一律の障害名ではなく、その人が社会との相互作用で何ができるかを個別に判断して、社会の側を調整する姿勢が必要です。国連から勧告を受けている日本社会の現状を踏まえ、今回は、障害があり資格取得をして働いている当事者の体験から、障害のある人の欠格条項にまつわる問題をみなさんと考える機会にしたいと思っています。ひとりひとりに自己紹介していただいてお話しいただければと思います。
 今ここでお名前だけ読み上げます。最初に福島智さん、大熊由紀子さんから問題意識の共有をいただきます。その次に本の編者である臼井さんから、その後、執筆者である、障害のある医療職者3人にお話をいただきます。福場将太さん、関口麻理子さん、加納佳代子さんにお話しいただきます。最後に、障害のある人の権利について長く取り組んでこられた弁護士の藤岡毅さんにお話をいただきます。このイベントを通じて、障害があるけれども医療者になりたい、資格取得をして働き生活をしたいという子どもたちの未来を阻まないように社会を変える方法を、みなさんと一緒に考えたいと思っています。
 登壇者の話にもでてきますが、障害のある従事者がいることは社会にとって大きな価値があることが、近年あきらかになっています。私自身も肢体障害のある看護師ですが、いち当事者として、医療系の大学につとめる教員として、この問題について考えていきたいと思っています。本日短い時間ですが、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは続いてプログラムを進めていきます。福島智さんと大熊由紀子さんに、メッセージをいただきます。どうぞよろしくお願いします。
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初出:障害者欠格条項をなくす会ニュースレター89号(2023年12月発行)


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