2013年2月6日 新潟県知事 泉田 裕彦 殿 DPI日本会議 議長   三澤了 障害者欠格条項をなくす会 共同代表 福島智 大熊由紀子 (公印略) 担当連絡先: 東京都千代田区神田錦町3-11-8 武蔵野ビル5F DPI日本会議 事務局長 尾上浩二 TEL 03-5282-3730 FAX 03-5282-0017 Mail office@dpi-japan.org  私たちは、障害者の人権確立をめざして、障害に基づく法制度の制限(障 害者欠格条項)を撤廃するよう、それぞれの立場から長年取り組んできてい る団体です。これまでの取組を反映し、国レベルで医薬安全衛生、運輸交通、 住宅などの分野で、障害や病気があれば受験からも排除したり業務や行為を おこなう資格を認めないとされてきた障害者欠格条項は、削除などの見直し が行われて来ました。  公務員採用制度についても、地方公共団体の障害者職員採用試験において、 「介助なしに通勤かつ職務遂行できる」ことが受験資格とされていること等 の問題を提起してきました。このような受験資格に示されている、障害があ るからできない・できないからあらかじめ受け入れないという障害者観と姿 勢が極めて旧弊であり、どうすれば共に働けるかという視点をもって、適切 な介助や支援、雇用環境の調整のもとで、これまで締め出してきた障害や病 気がある人の就業を可能にすることが、公正平等な社会への第一歩だからで す。  上述のことと併せて、点字・手話通訳・筆記通訳・拡大文字・音声読み上 げパソコンといった、それらを欠くならば受験自体が成り立たないニーズを 把握したうえで、ニーズに沿って試験を実施するようにと要請してきました。  既に、都道府県や政令指定都市のいくつかは、上述のような受験資格を廃 止し、実質的に公正平等な試験になるように取り組んできています。  これらの課題は、障害者権利条約の批准にむけて設置された内閣府障がい 者制度改革推進会議、および、障害者政策委員会に設置された差別禁止部会 の議論においても重視され、昨年末にかけて詳細な意見文書が提出・公表さ れています。  以上の認識に基づき、以下の点を提起します。 記 1.このたび公表された新潟県(県庁及び地域出先機関)の障害者非常勤職 員募集案内は、障害を理由にした受験資格の制限であり、合理的配慮の否定 でもあります。これは、現行障害者基本法第四条の差別禁止の規定に明らか に反するものだと考えられると共に、障害者権利条約の批准という喫緊の課 題に向けたわが国の制度改革という潮流に逆行する、極めて後ろ向きな対応 だと言わざるをえません。 2.貴職が、本件がはらむ前述のような問題点を認識されたうえで、 @ 応募の要件等のイ「自力により通勤ができ、かつ、介助なしに職務の遂 行ができる人」を廃止すること A 応募の要件等の「勤務場所にはエレベーターがありません」(村上,新 発田,長岡,魚沼,十日町,上越,佐渡)、「勤務場所は、執務室内が狭く広い 机が置けない箇所と、エレベーターが設置されていない箇所のため、車いす を利用しての勤務はできません」(三条)の記述も、「どうすれば共に働け るか」という視点を欠き、車いすユーザーなどを特定して排除するものなの で、削除すること B 考査についての「点字、手話通訳及び筆談による対応は行いません。」 という記述を削除した上で、点字・手話通訳・筆記通訳・拡大文字・音声読 み上げパソコンなど、受験者のニーズに沿った方法での試験を実施されるこ と C 上記の点について、2月7日までに、文書にて回答すること の四点を要請します。 以上