参考資料 ■障害者欠格条項をなくす会ニュースレター72号(2018年3月下旬)から転載 『法案』について 「成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律案(本号上、『法案』と記述)」の基本情報を見ていきます。 『法案』の趣旨として、法律案要綱には次のとおり書かれています。「成年後見制度の利用の促進に関する法律に基づく措置として、成年被後見人等の人権が尊重され、成年被後見人等であることを理由に不当に差別されないよう、国家公務員法等において定められている成年被後見人等に係る欠格条項その他の権利の制限に係る措置の適正化等を図ること。」 『法案』直接対象の法律は176本、その中に含まれる法律を準用しているために実質的に見直し対象となる法律(準用法)とあわせて184本を確認しています。何をどのように変える内容? まず、成年後見制度にかかわる欠格条項を全て削除する内容で法案が出されています。成年後見制度に関する欠格条項の全廃は悲願です。 その上で、「心身の故障のため職務を適正に執行することができない者として政省令で定めるもの」といった「心身の故障」欠格条項を新設・追加するものが124本(68%)あります。NPO法、社会福祉士及び介護福祉士法などです【1群】。 現行法に「心身の故障」欠格条項や機能障害にかかわる欠格条項があり、新たには「心身の故障」欠格条項を設けないものが41本(22%)です。国家公務員法、地方公務員法、警備業法、弁医師法、弁護士法などはこれにあたります【2群】。 本人の法定代理人が成年被後見人等である場合に欠格条項としている法律もあります。こうした法律19本(10%)については、成年後見制度にかかわる欠格条項を削除するまでで、「心身の故障」欠格条項を追加しないものとなっています【3群】。 上の【1群】は、成年後見制度に関する欠格条項は削除するが個別審査が必要、個別審査として「心身の故障」欠格条項が必要、と発想されてきたようです。士業などは試験や選考の個別審査が行われているものであり、「個別審査」のための「心身の故障」欠格条項の新設追加は矛盾します。例えば社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士、保育士など、現行法には機能障害の欠格条項も「心身の故障」欠格条項もなく、障害のある人も少なからず従事しています。現行法にもない「心身の故障」欠格条項を新設追加する発想と内容には大きな疑念があります。また、政省令でどのように定めるかも注視していかなければならないことです。ぜひ議論を。 『法案』対象の法律を「心身の故障」欠格条項から見た分類 法律数 1群 【新設】心身の故障欠格条項を新設・追加 124(68%) 2群 【据置】現行法に心身の故障欠格条項や障害にかかわる欠格条項がある 41(22%) 3群 【不設】後見欠格の削除までで、心身の故障欠格条項は設けない法案 19(10%) ■最近の報道から 2018年4月18日 東京新聞・中日新聞 社説 「欠格条項見直し 障害者の活躍支えたい」