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【超注目!】駅無人化の検討会(ガイドライン化)スタート! (第1回駅の無人化に伴う安全・円滑な駅利用に関する障害当事者団体・鉄道事業者・国土交通省の意見交換会)

2020年11月09日 バリアフリー

検討会の様子

 駅の無人化が全国で広がっています。全国約9500駅の半数近くが無人駅となり、これまで障害者が利用できていた駅が無人化され、前日までに連絡しないと利用できなくなった、全く利用できなくなったという事態が続出しているのです。

 今春のバリアフリー法改正国会審議でもこの問題は議論となり、附帯決議に「無人駅の増加が障害者の社会的障壁とならないように支援体制の整備を検討し、事業者が取り組むべき事項をガイドラインに定める」といったことが盛り込まれました。これを受けてこの検討会が立ち上がったのです。ポイントは、4つの障害者団体とともに、JR6社と大手民鉄16社が検討会のメンバーになっていることです。

 先の新幹線の検討会と同じように、障害者団体と事業者が直接意見を交わし、ガイドラインを策定します。非常に重要な検討会ですので、ぜひともご注目ください。

障害者による無人駅利用時等の課題

 11月6日に開かれた第一回検討会(対面・オンライン併用)では、4つの障害者団体から実際の困りごとの事例が報告されました。

●視覚障害者団体より

  1. 個々の駅の実情に合わせて駅員を常駐させる、利用が見込まれる時間帯は駅員を配置する
  2. インターフォンは視覚障害者が利用できるものに。インターフォンはどこにあるかわからない。新技術を導入して駅員に繋がるように
  3. 転落防止のためにホームドアの整備と内包線付き点状ブロックの整備
  4. 駅員、乗客からの声掛け、見守りの推進
  5. 事前連絡が求められるが、必要な時間に必要な人的支援を受けられる体制の確立
  6. 国・自治体・鉄道事業者が連携して安全に利用できる駅へ。前もって予約しなくても、すぐ利用できる体制をお願いしたい

●聴覚障害者団体より

 障害者割引の切符は自動券売機では購入できず、インターフォンは音声のみでコミュニケーションが取れない。深夜等で周りに協力を仰ぐ人がいなければ更に困難になる。災害時に音声での案内しかない場合は、何が起こっているかわからない。振替方法や避難方法もわからない。電車が来ないままずっと待つことになり不安が増す。

 先日、パンタグラフの不具合で電車が動かなくなり、発車するまで長時間要したが、何時に出発するか正確な情報が得られずに困った。突発的な電車のスケジュール変更や、途中駅から車両を切り離して別方向に向かうことなどが音声案内だけではわからず、目的の電車に乗れないことがある。

 観光名所通過時に車内アナウンスで名所の案内が流れていることがあり、あとから絶景スポットだとわかり悔やむことがある。モニターで、文字で話ができるようにしてほしい。

●DPI日本会議より

 10月に集めたアンケートから事例を紹介。車椅子は事前に連絡しないと利用ができない。前日までの連絡を求めるものが多いが、3日前までに連絡必要というところもある。知人のお葬式に行くときに本来の2倍位時間がかかり、大切な人の大切なときに間に合わず、やるせない気持ちになった。

 孫の運動会に行こうとしたら目的の電車に乗れず自分は諦めて妻だけが行った。もともと利用していた時間帯が急に無人化されて乗車が困難になった。目的の駅は駅員がいないため一つ先の駅で降ろされる。いまでも目的の駅では降ろしてくれない。

 一方で事業者が工夫している事例もある。車椅子の場合はホームまでバリアフリー化されて行けるようになっていれば、残る大きな課題はホームと車両との段差と隙間。乗る駅と降車駅で駅員配置が整わないと乗れない。これを改善するために、車両やホームにスロープを常備し、乗務員が乗降介助をしている事業者がある。

 京都市営地下鉄烏丸線、水間鉄道(貝塚市)、京福電鉄(京都)、東急電鉄こどもの国線、伊予鉄道(愛媛)でやっている。伊予鉄道は私も利用したが、車椅子5人位で利用したのだが、ホームで待っていると来た電車の運転手が降りてきてホームに常備しているスロープを使って乗降介助してくれた。

 車椅子大人数だったので2つのドアに分けて乗せてくれた。降りるときも同じ方法で。事前連絡も必要なく、その場で全く待たずに乗降でき、非常に快適だった。水間鉄道は地元の障害者団体が要請して実現した。スロープを常備して乗務員が乗降介助するのは非常に有効な方法なので、ぜひとも全国の事業者で実施してほしい。

▽DPI日本会議が提出した資料は以下からダウンロードできます。

駅の無人化で障害者が困った事例と好事例―2020年10月DPI日本会議調査―(ワード)

水間鉄道への取り組み(PDF)

京都・京福電鉄でのスロープ対応の例(PDF)

●全国自立生活センター協議会(JIL)より

 車椅子ユーザーは駅のバリアフリー化とホームの段差と隙間があるために乗降支援が必要。視覚障害の方は、ホームからの転落リスクと降りてからの方向がわからない。聴覚障害は、遠隔監視があってもインターフォンではコミュニケーションが取れない。

 多くの無人駅は事前予約を求められる。障害者だけ特別の対応を求められ、やるせなさを感じる。予約をしても、事情があって乗り遅れたり、予定が変わった時は対応してもらえない。目的の駅が無人駅だと有人駅まで行ってくださいと言われる。

 対応策としては、車両やホームにスロープを置いておき、乗務員に対応してもらう方法が有効。停車時間中に乗務員がやるのは難しいという回答もあるが、なんとかならないのか。乗降介助は駅員業務という内規になっていると聞いているが、運転手、車掌がやれるようにしてほしい。駅は有人対応を基本にして。緊急時対応もあるので。

今後

今後のスケジュールは、年度内に3回意見交換を行い、年度末には中間まとめ、来年夏頃には最終まとめ(ガイドライン化)という流れです。次回は日程未定ですが、事業者から無人駅で取り組んでいる工夫等の事例を報告していただくということです。

まとめ

 これまで無人駅で障害者の利用の利便性が損なわれないようにするために、どのような整備や対応をすべきか議論されたことはなく、ガイドラインもありませんでした。長年求め続けてついに検討会が立ち上がり、ガイドラインを策定することになりました。

 検討会の最後に国交省から、今日の障害者団体からの意見は社内に持ち帰って伝えてほしい、乗務員のスロープ対応等は工夫すればできそうなものがあるので、どういう工夫ができるか検討していただきたい、という発言があり、国交省のやる気も感じました。ぜひとも良いガイドラインを策定できるように、今後も全力で働きかけていきたいと思います。

事務局長 佐藤 聡

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