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強制不妊手術 「優生手術に対する謝罪を求める会」が与党及び超党派議員チームに要望書を送付

2018年11月03日 要望・声明権利擁護

旧優生保護法による強制不妊手術の被害者に対する謝罪及び補償を定める法律の作成について、与党のワーキングチームによる検討が行われるなか、10月15日、日本弁護士連合会は、日本障害フォーラム(JDF)を通じ、障害者団体数団体に被害者の実態把握状況と今後の法案作成に関するヒアリングを実施しました。

DPI日本会議からは尾上浩二副議長、藤原久美子常任(DPI女性障害者ネットワーク代表)、崔栄繁議長補佐が参加し、国による謝罪、被害者への通知は個別の検討を行うこと、また優生保護法の運営実態等に関する歴史的な真相追及を行う、独立した第三者機関による調査検証が行われるべきこと、さらに法律の名称・性格に関して被害者の尊厳・人権を回復するものとすべき等、意見を述べました。

その後、法案の骨子案が10月下旬にまとまりつつあるとの報道を受け、「優生手術に対する謝罪を求める会」が10月30日、与党旧優生保護法に関するワーキングチーム、優生保護法下における強制不妊手術について考える議員連盟、および同連名の法案作成のためのプロジェクトチームに下記の要望書を送付しました。全文を掲載します。


2018年10月30日
優生手術に対する謝罪を求める会

貴ワーキングチームが会合を重ねておられるという報道を、私たちは期待をもって見守ってまいりました。近々骨子案が固まることを知り、報道されているいくつかの点について、私たちの意見と要望をお送りします。ご検討いただき、さらに、私たちの意見を直接聞いていただく機会をいただければ幸いです。

・法律の名称は、「優生保護法による被害からの人権回復のための法律」にして下さい。

・法律に被害者への反省やお詫びが明記されることについて
お詫びの明記は、ぜひ実現してください。私たちは「謝罪」という言葉が適切だと考えますが、何についてのお詫びなのか、それが分かりやすい言葉であることが重要です。優生保護法は、特定の疾患や障害を有することを理由にある人を「不良」とみなし、その人の尊厳を傷つけるとともに、性と生殖に関する健康と権利を侵害しました。憲法にも違反すると言えます。これを表す言葉として、次のような文面を期待します。
「優生保護法は、強制的に施術された被害者たちの尊厳を傷つけ、性と生殖に関する健康と権利を奪った。このことに対してお詫びする」

・人権回復の対象者の範囲について
報道では、手術が強制であったか、同意にもとづいたかを問わず、また、記録のある人だけではなく、記録のない人、子宮の摘出や放射線照射など、優生保護法の規定を逸脱した手術を受けた人も対象者に含めるとのことです。私たちは広い範囲の被害の回復を求めてきましたので、これをたいへん歓迎しております。
一方、優生保護法が母体保護法に改正された1996年以前の被害に限るとも聞きます。優生保護法の規定による手術であれば、法が存在した時期に限ることは理解できます。しかし、法の規定を逸脱した手術は、法改正の時期で区切ることはできません。また、改正にあたり、優生保護法の差別性は検証されず、正されることも広報されることもありませんでした。そのため、優生保護法の影響は消えることがなく、被害も長年にわたって続いているのです。1996年以前に限ることは、しないでください。

・被害者であることの判定の方法について
手術記録のない人については、手術痕、本人の証言、周囲の人の証言、当時の住所地や置かれていた状況を総合して判定するとも聞きます。このなかで、手術痕の確認は必須条件としないことを求めます。手術後に長い年月が経つ、あるいは別な手術を受けることによって、手術痕は確認が困難になる場合があります。何より、被害者が知らない医師に再び自身の身体をさらす苦痛は大きく、そのために被害の訴えを躊躇することも考えられるからです。

・自治体や病院、施設に残った記録などで特定された人に対する通知について
記録などで特定された対象者個人に、通知はしない方針であると聞きます。被害者が記録にある住所に現在は住んでいない場合、本人以外に配達される可能性、また、手術を受けたことを秘している場合、その意思に反して周囲に知られる可能性など、新たな問題が生じる虞れがあることは理解できます。
しかし、新たな問題の危険は考慮しながらも、被害者本人が自分から訴える困難を考えると、被害者の人権に十分配慮しながら、住所をたどる、関係機関に照会するなどの努力をする必要があるのではないでしょうか。その方策について、被害当事者や家族、支援団体、障害者団体、医療・福祉関係者と知恵を集めながら一人でも多くの被害者に謝罪と補償が届くようにしてください。

それでも通知ができない人が出てくる場合、そのことを周知徹底してください。とともに、通知を受け取れない被害者が自分から訴える上での困難を、とことん取り除かなくてはなりません。まず、国が被害者に対して謝罪と補償の意思を表明する必要があります。「あなたの人権を侵害し苦痛を与えたことはたいへん申し訳なかった。お詫びと償いをし、あなたの名誉を回復していただきたいので、相談をしてください」とまずは表明すべきでしょう。同時に、人権回復の制度を広く告知し、相談や質問ができる窓口を整備する必要があります。記録がない被害者が訴えるためにも、これらは必要です。訴えの期限を5年程度とするとの報道もありますが、それでは短すぎるでしょう。

・優生保護法を調査し検証する委員会の設置を、法律に書き込んでください。
被害者の人権回復は、早急に行ってください。同時に、それと平行して優生保護法の検証が行われるべきと考えます。
法の成立や改正の経緯の調査、被害の実態解明、手術に関わった人々からの聞き取りから、問題を掘り起こす作業が必要です。関係者の年齢を考えれば急がなくてはなりません。調査と検証の対象範囲には優生手術はもちろん、本人が望まないのに、あるいは知らされずに優生上の理由から行われた人工妊娠中絶手術も入れるべきです。
調査と検証する委員会は報告書を作成して、差別の解消に向けた今後の施策立案の資料として貰いたいと思います。優生保護法の誤りについて広報を徹底し、教育、医療、福祉などさまざまな分野で差別が解消されるために、これは欠かせません。
委員会は、行政から独立した第三者機関とし、委員には、優生手術の対象となった遺伝性とされた疾患や障害のある人たち、およびその人たちの権利を擁護・支援する人たちを含むこと明記して下さい。

・法律ができた後に、その運用について細かな規定が必要となるでしょう。
その検討の席に、障害当事者や支援者が参画できるようにしてください。

以上

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なお、法案骨子案は10月31日に発表され、それに対し11月2日に全国優生保護法被害弁護団が「与党旧優生保護法に関するワーキングチーム「基本方針骨子」に関する弁護団コメント」を発表しています。

▽優生手術に対する謝罪を求める会フェイスブック/a>

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