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特定非営利活動法人(認定NPO法人)DPI(障害者インターナショナル)日本会議

Japan National Assembly of Disabled Peoples' International

A Voice Of Our Own(我ら自身の声)

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HOME>障害者を取り巻く問題>障害者権利条約>条約制定後のDPI日本会議の動き

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障害者を取り巻く問題

条約制定後のDPI日本会議の動き

日本政府の権利条約署名と仮訳文

2006年12月13日、障害者の権利条約(以下、権利条約)が国連総会において満場一致で採択されたのを受けて、DPI日本会議が事務局を担当しているJDF(日本障害フォーラム)条約委員会が中心となって『採択を祝う会』を12月16日東京にて行った。JDF関係者のほかにも障害者権利条約推進議員連盟(以下、議連)所属の議員やマスコミ関係者など、100名以上が参加する盛会となった。その後、JDFは組織改変を行い、条約委員会は政策委員会の中の権利条約小委員会とされ、継続してDPI日本会議が事務局を担当している。

国連は2007年3月30日、権利条約への署名を開放し、開放日当日に、82ヶ国・地域組織が署名した。それから約半年後の同年9月28日、日本政府が条約に署名した。これによって日本政府は批准への意思を示したことになる。さらに、署名に伴って外務省より政府仮訳文が公表された。

この仮訳文は多くの問題を抱えており、JDFとして署名に関する声明と仮訳に対する意見を発表した。そして条約小委員会において仮訳文の分析を行ってコメントを作成し、議員や関係各方面に問題提起を継続的に行ってきた。10月には議連総会が開催され、仮訳文に対して意見を表明すると共に政府の姿勢を追及した。さらに、福祉新聞社が発行した権利条約の啓発冊子においても仮訳に対するJDFのコメントを掲載した。

条約発効

2008年5月3日、権利条約の批准国が同年4月に20カ国を超えたことを受けて、発効した。これにより「障害者権利委員会」が同年11月に設置された。6月2日、JDFは発効を祝う会を東京で開催し、国連経済社会局(DESA)上級社会問題担当官の伊東亜紀子さんをお呼びした。ここでも、JDF関係者以外に議連やマスコミ関係者等、多数の方が駆けつけてくださった。

批准の動きと議会・政党への働きかけ

政府の批准への動き

2009年1月16日付けで内閣官房より示された「第171回国会(常会)『内閣提出予定法律案等件名・要旨調』」(以下、要旨調)で、権利条約の今国会での承認が予定されていることが明らかになった。外務省は以前より今国会での承認を目ざす立場は明らかにしてきてはいたが、この件について、JDF等に対する事前の連絡等はなされなかった。

政府・外務省は、「障害者基本法」(以下、基本法)やいくつかの施行令を主な担保法として権利条約に基づいて改正することで、批准の要件は満たすと考えた。また、批准すれば条約上の法的義務が発生するため、国内履行のためには一日も早く批准したほうがよい、ということである。

私たちの立場 ―完全実施に向けて―

DPI日本会議を含むJDFとしては、権利条約の批准は歓迎するも、拙速な批准には賛成できない、という立場を繰り返し表明してきた。理由は主に以下の3点である。

  1. 意見交換が尽くされていない
    権利条約採択後、JDFは政府との意見交換会を8回開催したが、多くの論点が未解決のままであり、意見交換をしていない省庁もある。国内法整備と政策の点検ができていない段階。
  2. 問題のある法制度の改革の道筋の不在
    権利条約に違反状態にあると思われる障害関連国内法制度が存在し、それらに対する取り組みが示されていない。合理的配慮義務と差別禁止の担保、司法へのアクセス、虐待防止、インクルーシブ教育の確保、政府から独立した監視機関の設置など、批准に必要であると思われる要件に対する解決の道筋をどのように政府が考えているのかが明らかではない。基本法のみの改正では全く不足している。
  3. 政府仮訳の問題

これらは、「子どもの権利条約」の批准に伴う国内法改正が、関連NGOのさまざまな活動にも拘らず一つも行われなかった、という前例への危機感と、日本の障害者が置かれている現状を、権利条約をテコに変えたいという思いが根底にある。

その後の経過

2009年3月の初めに権利条約の国会承認のための閣議決定がされることが明らかになった。JDFとして、「少なくとも国会承認・批准は、当事者参画のもとでの改革の道筋をもう少しきちんと見せてからにしてほしい」と、議連などさまざまなルートを通じて国会議員に働きかけた。その結果、自民党や公明党の関係議員の尽力で3月6日の閣議決定は見送りとなった。民主党の議員からも国会質問や外務大臣への申し入れが行われた。3月18日の議連総会では、小野寺五典議連事務局長(自民党衆議院議員)は、すべての関係者が納得できる形で権利条約が国会に提出されるよう努力していくことと、その過程においてJDF等の意見が尊重されることは大切だと述べた。これは、私たちの思いを深く受け止めていただいたものと解釈している。

現在は、法律による定時改正を迎えている基本法について、権利条約に即した改正作業を与党・野党で現在行っている最中であり、与野党や政府に対して、機会を見つけてJDFとしての見解や視点を伝えている。各政党とのヒアリング等を行っており、公明党、民主党とは複数回にわたってさまざまな意見交換を行っている。

公定訳(仮)

この一連の動きの中で、外務省より権利条約の「公定訳」が国会議員に示された。「包容教育」等のゆずれないいくつかの問題点はあるにせよ、JDFの意見を大幅に取り入れたものになった。外務省の努力はかなり評価できるものである。JDF等に対して外務省より正式に公定訳を示されたものではないが、国会議員に示したということで、谷博之事務所ホームページからの引用、という形で「公定訳」を利用できるようになった。

外務省はこの公定訳を閣議決定と国会承認の際に公表するものであるとして、現段階では公表していない。今後の修正の可能性もふまえ、この「公定訳」を「公定訳(仮)」ということで紹介させていただく。JDFでも条約小委員会が中心になって、「公定訳(仮)」の評価を行い、修正についてもいろいろな方面に働きかけていく予定である。内容の評価等の詳細はDPI日本会議機関誌「DPI」Vol.25-1を参照。

政府との意見交換会 経緯および内容

JDFは、条約小委員会を中心に政府との意見交換会も継続的に行っている。2007年8月には関係9省庁が出席する意見交換会を、2008年2月には内閣府に関連する項目について内閣府との個別の意見交換会を開催した。それ以後も、厚生労働省、文部科学省、総務省と計6回の意見交換会を行い、意見交換会ごとにJDFとしての意見書作りを行っている。ちなみに、採択後は現在までに小委員会を20回以上開催している。

現在は、法務省関連項目意見交換会や2度目となる総務省関連意見交換会の準備を行っている。

第1回意見交換会(2007年8月9日 関係9省庁が参加)

採択後、初めての意見交換会。権利条約の規定が確定したという意味で、意味のある会合であり、条約制定までの意見交換会に参加してきた全ての関係省庁が参加する形態をとった。

第2回意見交換会(2008年2月14日 内閣府関連条項について)
  • 個別省庁との意見交換会の第1回目。主な争点は、第1条、第2条、第4条、第5条の差別禁止法と基本法関連、障害の定義、第33条の監視(モニタリング)機関
  • 差別禁止法制度の必要性については検討を行っている、とのことであるが、JDFの求めている個別の包括的な差別禁止法については、明確な態度を表明しなかった。
  • モニタリング機関は人権擁護法案の行方とからみ、内閣府の外局に障害者権利委員会を作るべきとのJDFの立場と、法務省を中心に取り組むべきであるとする政府の立場平行線。
第3回意見交換会(2008年5月26日 厚労省関連条項について)
  • JDFとして、障害福祉部門は特に第19条自立生活条項に関連。特定の生活様式を強要されず、障害のない人と平等に誰とどこに住むか選択する権利。これはいわゆる福祉法の問題や自立支援法等の幅広い問題と関係するとし、特に、医療モデルを厳格に適用する障害者手帳制度、手帳所持者以外の福祉サービス利用の制限、定率負担や医学モデルを基礎とした障害程度区分の問題等。
  • 厚労省障害福祉部門は、権利条約と自立支援法の趣旨は合致との立場。
  • 労働部門においては、「権利条約対応のための研究会」を立ち上げるなど、合理的配慮の問題については一定の努力をしているが、いわゆる福祉的就労の問題や特例子会社という障害者のみの別体系の雇用形態の問題、雇用促進法と重度障害者の定義の問題などが残された。
第4回意見交換会(2008年8月26日 文科省関連条項について)
  • JDFとして、インクルーシブ教育制度を規定している第24条と、現行の特別支援教育制度の問題を提起。インクルーシブ教育への政策の転換の確認として第24条の「インクルーシブ」の解釈や障害をもつ子どもへの異別取り扱い、すべての障害のある子どもが教育を受けるために必要な支援や合理的配慮義務の実施の体制、手話の習得及びろう社会の言語的なアイデンティティの確保や特別支援学校の狭隘化等の問題を提起した。
  • この意見交換で何らかの合意を見た、という事はなかった。
第5回意見交換会(2008年10月17日 内閣府関連条項について-2回目)
  • 主要省庁の第2回目の個別意見交換会の最初の省庁となる。第2回意見交換会の論点を深めた意見書を提出。
  • 基本的に第2回意見交換会での意見の差を縮めることはできなかった。差別禁止に関しては法制度の検討の必要性は認めたが、基本法における定義の問題が浮き彫りになった。
第6回意見交換会(2008年10月29日 厚労省関連条項について-2回目)
  • 福祉部門では、第19条と国内福祉施策の関連について、突っ込んだ意見を提出。労働部門のような条約対応の取り組みをきちんとすべき、との意見も出した。
  • 関連福祉法の改正は行う予定はないとのこと。支援法は条約の趣旨に合致との立場を維持。社会保障審議会障害者部会での議論からも権利条約を意識していない。
  • 労働部門について、合理的配慮以外の差別の問題の取り組みの必要性と障害者の定義については問題であるとの認識を確認。
第7回意見交換会(2008年11月27日 文科省関連条項について-2回目)
  • 第4回意見交換会の質疑を元に意見書を作成
  • インクルーシブの質問条項に、課長が「重要な検討課題の一つ。ヒアリングでのJDFの意見も踏まえて、具体的なスケジュール。協力者会議の検討。できるだけ早い批准のために委員にも早い結論」との回答。また、通常学級に在籍している子どもたちの特別支援教育について総合推進事業を行っているとの回答。
  • 通学や介助等については親や支援者の同伴が求められている現状について「ケースバイケース」との回答。
  • JDFとの意見交換の枠については、外務省主催の推進チームと協力者会議、ということで進めたいとの言明がされた。
第8回意見交換会(2009年3月10日 総務省関連条項
  • 「コミュニケーション・情報アクセシビリティ関連」「政治及び公的活動への参加関連」、その他「専門家や自治体職員、教員等に対する研修等」「個人情報保護法」等に関する意見書についての意見交換。現在、記録の整理中。
  • 特に、政治活動等の公的活動における情報保障が権利として認識されていない点は大きな問題であると思われた。

JDF地域フォーラムとDPI日本会議

2008年2月には名古屋においてJDFの地域フォーラムとしては初めてとなる「JDF地域フォーラムin東海」が開催された。同年3月には札幌で「JDF地域フォーラムin北海道」を開催し、本格的な条約の啓発活動を開始した。両フォーラムとも当該地域におけるJDFの構成団体が実行委員会を組織し、成功裏に終えることができた。両フォーラムの事務局団体はDPI日本会議の加盟団体が担っている。2008年8月には愛知障害フォーラム(ADF)が結成された。同年には大阪、岡山、仙台、京都で地域フォーラムがそれぞれ開催され、大阪と京都ではDPI日本会議の加盟団体が事務局を担当した。現在のところ、2009年中には熊本と富山で開催が予定されており、熊本フォーラムはDPI日本会議の加盟団体が事務局団体を担っている。

また、大きな動きとしてADFに続いて大阪障害フォーラム(ODF)が2009年9月結成・発足に向けて準備を進めている。

DPI日本会議独自の取り組み

書籍発行
DPI日本会議は、条約の啓発活動の一環として解放出版社より独自に「障害者の権利条約でこう変わるQ&A」を出版した。中・高校生でも理解できるものを目ざして作成したものであり、初版の3000部以外に1000部の増刷を行った。全国各地でさまざまな活動に利用されている。
権利条約批准の条件と公定訳(案)に対するコメント
DPI日本会議では、担当役員や事務局により、権利条約の批准のための条件案をDPI日本会議事務局試案として作成した。詳細はDPI日本会議機関誌「DPI」Vol.25-1を参照。