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障害者を取り巻く問題
特別支援教育とインクルーシブな教育の違いについて

文部科学省作成「特別支援教育の対象の概念図」(PDFファイル・外部リンク)
※障害の程度で、学ぶ場所を分けている。これがおかしい!
※特別支援学校、特別支援教室、通級の対象児を障害種別で決めるのは、おかしい!
特別支援教育が、障害者権利条約で定めるインクルーシブな教育へと転換するためには、少なくとも次の点についての検討が必要になります。
1. インクルーシブな教育では、障害の種類と程度によって、学ぶ場所を限定しない
- 「概念図」では、通級指導と特殊学級、盲・ろう・養護学校で学ぶ障害の種類を区別している。
→ インクルーシブな教育制度では、障害の種類や程度で学校や教室を限定しない! - 通常の学級で学ぶ障害をもつ児童・生徒には、LD・ADHD・高機能自閉症(アスペルガーを含む)のみを例示している。
→ インクルーシブな教育制度では、通常の学級で学ぶ障害をもつ子どもは、LD・ADHD・高機能自閉症(アスペルガーを含む)だけではなく、身体・知的障害を含めたあらゆる障害をもつ子どもが学ぶ。 - 軽い障害をもつ児童・生徒と重い障害をもつ児童・生徒は、学ぶ場所が異なっている。
→ インクルーシブな教育制度では、障害の程度で学ぶ場所を限定しない!
2. 通常学級で学ぶ障害をもつ児童・生徒に対し、合理的配慮を提供すること
- 条約は合理的配慮について、「特定の場合において必要とされる、障害のある人に対して他の者との平等を基礎としてすべての人権及び基本的自由を享有し又は行使することを確保するための必要かつ適切な変更及び調整(第2条)」としている。障害をもつ児童・生徒が通常の学級で学ぶ際に、平等を保障するという視点から、必要となる変更や調整を行わなければならない。
- 学校教育では、一人ひとりどのような合理的配慮が必要となるのかを個別に決定するべきである。その際に、必ず障害をもつ本人および保護者が、その合理的配慮の提供方法、提供期間、提供場所と時間について、合理的配慮提供者、責任者と十分話し合いを行い、合意しなければ実施できないよう、決定過程での本人および保護者の参画を確保するべきである。
- 特別支援教育支援員を合理的配慮の一つとするのならば、その他の合理的配慮と同様に、障害をもつ本人および保護者と提供方法、提供期間、提供場所と時間について、合意できなければ、実施することはできないとするべきである。
3. 1と2を実現するために
1と2を実現するために、障害をもつ児童・生徒の就学先を通常学級を原則とするように、特別支援教育で行われる就学指導、手続きの見直しを行う必要がある。学校教育法の改正に伴い施行令第18条の2が改正され、障害のある児童の就学先の決定に際し保護者の意見聴取が義務付けられたが、相談→説得というこれまでの構造は変わっていない。したがって、インクルーシブ教育を制度として実現するためには、施行令第5条をはじめとする法制度の改正が必要となる。
特別支援教育支援員 2007年度よりはじまりました。
2007年度から小中学校に在籍する従来の身体、知的障害に加え、LD、ADHD、高機能自閉症をもつ児童・生徒に対して、「学校生活上の介助や学習活動上の支援」を行う特別支援教育支援員が配置されることになりました。これまで自治体の単費で実施されてきた学内介助が、特別支援教育支援員として制度化されたという事です。2007年度については、約250億円の措置を予定し、2008年度までに全公立小中学校に1人を配置することとしています。
特別支援教育支援員は地方交付税措置で実施されるため、市町村が積極的にこの財源を活用するかどうかが、課題です。逆に、必要な財源が確保できると判断され交付税措置されない自治体にとっては、この制度化によってこれまでの財源不足の解決にはならないため、配置時間不足への解決策とはなりません。
実施にあたっては、新たに実施要綱を作ったり、要綱の見直しをする自治体は少なく、プールや課外活動、遠足などで介助者が配置されないために障害をもつ児童・生徒が参加できないなどの問題は解消されていないようです。
文科省は、地域の小中学校に在籍する障害をもつ児童・生徒への支援として通知していますが、特別支援学校に特別教育支援員の配置をした市町村教育委員会もあり、果たしてインクルーシブ教育の制度化に向けた条件整備となるのか疑わしい実態もあります。
加えて、依然として入学時に親の付き添いを求める学校の姿勢は変わっていないことや、現在も付き添いを強制されている障害をもつ児童・生徒がいることから、粘り強い地域での取り組みが必要になります。
このように、これまでの問題を温存した形ではじまった特別支援教育支援員の制度化ではありますが、自治体によっては交渉によって新たに支援員が増員されたところもあることや、特別支援教育支援員が新たな隔離や分離につながらないように地域で共に生き・学ぶための支援を提供するよう交渉をした地域もあります。
いずれにせよ、特別支援教育支援員の実施については、分離を強めるものとしないように、監視が必要であるといえます。