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2004年8月20日

北海道知事  高橋 はるみ 様

北海道の医療費助成制度を考える連絡会
代表  小谷 晴子

重度心身障害者医療費助成制度見直しに伴う
フォローアップ事業に関する質問と意見書

 拝啓、時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。

 また、去る7月26日に私たちの要望であった面談に応じていただいたことにお礼申し上げます。

 この面談に当たりまして、私たちは、既に提出している陳情書及び署名要旨のとおり今回の改正が、私たち「障害者や患者の命を脅かす大きな問題である」ことなどを発言しましたが、残念ながら10月からの制度見直しの実施が明言されました。

 今回の制度見直しに対して私たちは、引き続き、陳情書及び署名要旨に掲げた1割負担導入反対等について、当事者の立場から運動を継続していく所存です。

 また、今回の懇談会で、知事自身の心情として「この見直しは本当につらい決断、判断だった。」と言われましたが、私たちにとっては知事以上に、つらい言葉として受け止めたものであり、翌日の新聞記事の報道内容には失望と怒りを禁じ得ませんでした。

 しかし、私たちとしては、今回の面談を意義のあったものにしたいと思っています。

 つきましては、知事及び保健福祉部長からご発言を頂いた内容に基づき、以下のとおり質問と意見を提出いたしますので、後日、担当課・室の方々から私たちへの説明と意見交換の場を設けていただけますようお願い申し上げます。

 ご多忙中、誠に恐縮ですが、よろしくお願いいたします。

敬具

1 フォローアップ施策について

 知事は、見直しに伴うフォローアップ施策の具体例として「相談体制の整備」、「社会参加の促進」、「地域生活移行の基盤整備」と発言されました。これらの事業は、国及び北海道の障害者施策を推進していく上で極めて重要な課題であるだけでなく、障害者が施設ではなく地域での生活を実現するためにも必要な施策ですので、私たち障害当事者の意見も十分に踏まえ、具体化を図っていただきたいと思います。

 更に、こうした施策だけでは、今回の制度見直しによって影響を受ける当事者の「医療が受けられなくなり命に関わる深刻な問題が生じたらどうしよう」という不安を解消できるものとはなっていないことから、見直しの実施後においても、こうした点からのフォローアップが必要と考えます。

 そこで、以下のとおり質問と意見を申し上げますので、所見を伺います。

(1)知事の発言にあった、現在、道が検討しているフォローアップ施策の現時点での検討内容の全般を具体的に教えてください。

(2)このフォローアップ施策について当事者及び関係者の意見をどのように反映していこうとしているのか、その反映方法について具体的に教えてください。

(3)障害を持っているために必要とされる医療行為(人工呼吸器、CPの二次障害、脊髄損傷者の褥痩や腎機能検査など障害程度悪化防止や障害特有のニーズ)で更生医療の対象となっていない疾患等を国に更生医療等による障害者の支援施策としての制度化を求めるとともに、こうした医療行為に対して道として独自の対応を進めること及びそのためにどのような医療行為が必要なのかを掌握することが必要です。

(4)事業見直し後の影響調査(特に住民税が課税されているが低所得世帯及び更生医療非該当者で継続的な医療行為を要する当事者)を実施し、制度見直しによる障害者や患者の実態を把握しそこで生じた課題への対応が必要です。

(5)見直し後におけるこうしたフォローアップ事業及び必要な事業の検討に当たっては、私たち連絡会もメンバーとした検討会等を設置し行政と当事者の協働作業で検討を進めることが必要です。

2 更生医療について

 知事は「更生医療を活用できる環境づくりを進めていく。」と発言されましたが、更生医療は、人工透析治療だけではなく、広く障害者に関わる医療制度です。しかし、制度自体が十分に知られておらず、その内容も不十分なものとなっています。

 そこで以下のとおり質問と意見を申し上げますので、所見を伺います。

(1)更生医療を活用できる環境づくりの進行状況と今後の取り組みを具体的に教えてください。

(2)更生医療の指定医療機関の拡大についてご説明がありました。確かに指定医療機関の拡大は重要ですが、私たちの実施した調査では、ほとんどの方が更生医療の制度自体を知りません。10月から見直しを控えて、更生医療機関の拡大に併せて重度医療を利用している障害者に対して今回の制度見直しについての情報提供及び更生医療の制度利用の周知と促進を緊急に実施する必要があります。

(3)本来受けられるべき更生医療が身体障害者手帳の記載内容等によって受給できないような本人の責任に属さない理由で不利益がもたらされることがないように実施する必要があります。

3 精神障害者の医療について

 保健福祉部長から精神障害者に対する医療費助成については、「実施主体である市町村との合意に至らなかったことや国の保健福祉施策との整合性という観点から、今回の見直しでは対応できなかった。」と発言がありました。

 そこで、以下のとおり質問と意見を申し上げますので、所見を伺います。

(1)市町村との合意に至らなかった主な理由と同じく国の保健福祉施策との整合性で対応できなかった理由を教えてください。

(2)「将来的な課題」として発言のあった精神障害者の保健福祉施策の充実については、現在、精神保健福祉法32条の適用により精神障害関係の疾患で通院治療については医療費負担の軽減はされていますが、入院には適応されていません。そのため精神障害者にとって入院時の負担は大きく、極めて深刻なものとなっています。こうした精神障害者の医療費負担の実態を把握し支援が早急に必要です。

4 特定疾患対策単独事業について

 特定疾患対策単独事業について、当事者及び関係者の意見をどのように反映していこうとしているのか、その反映方法について具体的に教えてください。

以上

DPI(障害者インターナショナル)北海道ブロック会議内
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