「障害がある人の受験とその結果、試験時の配慮、試験広報」2004年


 2004年7月で、医師法や薬剤師法など27法令の障害者欠格条項を見直した法律が施行されてからまる3年になります。同法は、施行後5年をめどとして状況を把握検討し必要な措置を講ずる旨の附則を定めていました。“中間点にあたる2004年頭に状況把握と課題整理を”と提案して、2003年12月26日に、内閣府障害者施策推進本部、厚生労働省、文部科学省に、18団体の連名で質問状を提出しました。2004年4月9日に、質問の大半については回答と説明を受け、一連の現状把握をふまえた実のある協議の継続を申し入れました。受験とその結果・試験時の配慮・試験広報等は、初めてまとまった形で把握されたものとみられます。

 障害者欠格条項の見直しによって、何が変わってきているかは、各資格試験でどれだけの人が受験し、合格し、免許を交付されているかが、指標の一つになります。障害がある受験者はまだ少数であり、特定の職種に偏っていますが、それでも、かつては障害を理由に絶対的欠格とされていた試験においても、何人かは合格し免許を得る人が出ています。

 質問状提出時および4月9日のやりとりで、省庁側と障害者団体側の間で最も認識の隔たりがあったのは、試験広報の記述および試験時の配慮についてです。「申し出がなければ配慮は用意しない」「申し出があればていねいに説明するので、試験広報は現状の記述でよいと考えている」等の応答もありました。一方で、各試験において、いくつかの項目では「申し出があれば対応する用意をしていた」と回答されています。少なくとも、あらかじめ用意があることは示した上で、受験者のニーズを聞き対応していく姿勢が、試験実施者には求められています。受験希望者個々人が試験時にどのような配慮があるかを知り得て、自分に必要な配慮を選択記入して受験を申し込める形にする必要があることを、重ねて要請しました。なお、大学入試センター試験は以前から、そのような広報と申込み方式をとっています。

 問い合わせ先も住所と電話番号しかないのでは、聴覚・言語障害があって音声電話を使えない人は、問い合わせさえ困難です。ようやく、今年の薬剤師試験ではFAX番号などの追記がされる予定とのことでしたが、再度、情報アクセスの重要性について提起しました。

 すでに欠格条項を削除した医師国家試験受験や、相対的欠格となっている各資格にも、長年月続けられた欠格条項の「障害者は無理、だめ」という見かたは深く刻まれ、実際に、絶対的欠格だった当時と変わらない認識による教育・指導も行われているのが現状です。実際に受験できることを広く知らせ、受験者や関係者等の誤解や無用な不安を除き、必要な配慮を得て積極的に受験できるようにすることは急務です。

2003年中に実施の各試験について
     2004年4〜5月 厚生労働省調べをもとに編集
国家試験
都道府県試験
許可制の資格免許
試験広報の記述


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