(2)除外率制度の縮小について


 技術革新、職場環境の整備等が進む中、障害者にとって困難と考えられていた職種においても就業可能性が高まっており、特例子会社制度、助成金の充実等の条件整備が図られ、さらに、障害者の資格欠格条項の見直しが進められており、除外率制度に関する状況が変化してきている。
 こうした中で、企業の除外率、国及び地方公共団体の除外職員の制度は、ノーマライゼーションの理念から見て問題があること、職場環境の整備等が進んでいる実態と合わなくなっていること、障害者の雇用機会を少なくし、障害者の職域を狭めるおそれがあること等から、不合理となっている。
 このため、企業の除外率については、職場環境の整備等を更に進めつつ、今後、周知・啓発を行いながら、準備期間を置いて、一定の期間をかけて、段階的に除外率を引き下げ、縮小を進め、廃止を目指すべきである。この場合、準備期間としては2年程度とし、除外率の引下げ幅としては各業種ともまず10ポイント下げることとし、一定の期間としては次の障害者基本計画の計画期間を目安の期間とすることが適当である。
 国及び地方公共団体の除外職員についても、企業との均衡を考慮して、同様の方向で進めることとし、実態もふまえて機関ごとの除外率に転換を図り、縮小を進め、廃止を目指すべきである。この場合、国、地方公共団体のあらゆる職種で障害者雇用が進むことが必要であるが、国民の生命の保護とともに、公共の安全と秩序の維持を職務としており、その遂行のためには職員個人による強制力の行使等が必要であるような職員については別途の取扱いが必要である。
 なお、除外率縮小により障害者雇用の拡大が図られるよう、周知・啓発を進めるとともに、次回の法定雇用率見直しの際には、除外率縮小による障害者雇用の進捗状況、障害者の就業を容易にする技術革新等の状況、関係者の理解の進展状況等についての評価を行い、所要の措置がとられるべきである。


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