「裁判員制度の概要について(骨格案)」への意見・要望


「裁判員制度の概要について(骨格案)」への意見・要望
障害者欠格条項をなくす会
 私どもは裁判員制度について、それ自体、多大の問題点が含まれているものと認識し、この制度導入にあたっては、さらなる慎重な吟味と、国民的な論議の深まりを求めるべきだと考えます。
 その前提の上で、現時点での「裁判員制度の概要について(骨格案)」に対し、「欠格条項」廃棄の立場から、以下の意見・要望をお伝えします。

 検察審査会法は、かつては、「耳の聞えないもの、口のきけない者及び目の見えない者」は検察審査員になることができないとしていました。1998年に奈良で、籤で選出した聴覚障害者を失格としています。その当事者が異議申立をしたことを契機に、見直しが始まりました。その結果、1999年に、上記の欠格条項を廃止したのです。この過程は、1999年の民法改正および、政府の障害者にかかわる欠格条項の見直し作業とも重なっています。現行の検察審査会法には、成年被後見人・被保佐人を含めて、障害者に関係する欠格条項はありません。
 その後2002年に、大阪で聴覚に障害がある人が審査員になりましたが、最高裁が手話通訳者派遣手配する等、必要な支援のもとで参画できるように運用しています。
 新しい裁判員制度も、この一連の経過、検察審査会法での教訓を十分にふまえる必要があります。つまり、ここでまた再び、障害にかかわる欠格事由を設けてはなりません。その上で、障害がある人が必要な支援をえて参画できる制度にすることです。

従って、骨格案のうち、次の部分は削除すべきです。
・2−(2)−(ウ)心身の故障のため裁判員の職務の遂行に支障がある者

次の内容を追加する必要があります。
・裁判員が職務を遂行するうえで、必要な補助者・補助的手段をこうじる。
 この、必要な補助者・補助的手段とは、例えば、手話通訳者や要約筆記者の派遣、文字情報の点字化・拡大文字化、あるいは音声化、そのほか補助者の配置、機器の利用や設備環境の配慮です。これらは、裁判員が申し込める形にし、どのような方法が適切かについてもその裁判員とよく相談しながら実施することが大切です。

 裁判員制度の理念は、市民の司法参画とされています。そこからは、障害がある人を含む多様多彩な市民が、主体的に参画できるものが必要とされます。検討過程から幅広く参画できるようにし、検討には十分に時間をかけて議論を尽くすことを求めます。


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