国土交通省からの回答 「障害者に係る賃貸住宅問題」に関する
国土交通省への質問状について


1. 公営住宅の単身入居制度は、特に居住の安定に配慮する必要がある者を対象としているものであり、知的障害者、精神障害者についても、住宅困窮度の観点から単身入居の対象とすることも考えられるところですが、一方、このような方々が地域において安心して自立した生活を営むことも重要であり、医療面等も含めた自立生活上のケア等の支援が不可欠であると考えられるところです。
2. このため、公営住宅においては、単身の知的障害者、精神障害者に地域での生活の場を提供する方策として、日常生活上のケア等の支援が安定・継続して提供される体制が整っている「グループホーム事業」に公営住宅を目的外使用により提供することにより対応しているところです。
3. 今後とも、グループホーム事業への公営住宅の一層の活用を図るとともに、さらにホームヘルプサービス等の在宅福祉施策の実施状況を踏まえ、障害者福祉を担当する関係行政機関、公営住宅の事業主体である地方公共団体とも連携を図りつつ、知的障害者、精神障害者の単身入居について引き続き検討して参りたいと考えています。
4. なお、障害者の居住の実態について、国土交通省及び厚生労働省が直接ヒアリングを実施すべきではないかとのお尋ねですが、日常生活のケア等の支援体制やホームヘルプサービス等の在宅福祉施策の実施状況等の実情や、民間賃貸住宅を含めてすでに単身入居している障害者の方の居住実態などの地域の実情の把握については、基礎的自治体である市町村等において、十分に実態を把握することが重要ではないかと考えているところです。
5. また、公営住宅の単身入居に係る取り扱いについては、平成12年に「公営住宅法の一部を改正する法律の運用について」として国から事業主体に対して通知しており、公営住宅法施行令第6条第一項ただし書きに規定する取り扱いについても、事業主体においては、入居申込者の心身の状況、日常生活上の基本的な動作における常時の介護の必要性、受けることができる介護の内容等を総合的に勘案して行うことと示しているところですが、この通知に反している事例が見つかれば、事業主体に対して報告を求め、必要に応じて是正を求めて参りたいと考えています。
6. 平成14年6月に(財)日本住宅管理協会及び(社)全国賃貸住宅経営協会が実施した「賃貸住宅の実態把握アンケート」の集計結果によれば、「入居者を制限している」と回答した経営者は約25%にのぼります。
 また、入居者の限定条件は、「外国人が不可」が47.3%で最も多く、次いで「単身の高齢者」(42.3%)、「高齢者のみの世帯」(30.9%)、「障害者のいる世帯」(20.9%)となっています。
 入居者を限定する理由としては、家賃の不払い、住宅の使用方法、他の入居者等とのトラブルや事故等に対する不安を挙げる者が多くなっています。
7. 国土交通省としては、賃貸住宅への入居を望む人が円滑に安心して入居できるような賃貸住宅市場の整備を行うことが重要であると考えており、高齢者や外国人のみならず障害者の方も含め賃貸住宅に入居を希望する者が不合理な入居制限を受けないよう配慮すべきものと考えています。
8. 障害者の居住の安定については、そのニーズが高度で個別性が高いことから、民間においては、障害者のニーズに適合した住宅の供給が十分に促進されることは期待しにくいため、地方公共団体等が公営住宅等を主体とした対応を進めているところです。
 今後とも、障害者の住居の安定の確保のため、関係省庁や地方公共団体と相談しながらこれらの施策を推進して参りたいと考えています。


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