公営住宅の単身入居を求める要望書


2002年9月18日

国土交通大臣
扇 千景 様


こらーるたいとう
代表 加藤 真規子

ピープルファースト東京
代表 大澤 たみ

ピープルファースト東久留米
代表 小田島 栄一

全国精神障害者団体連合会
代表 山口 弘美

DPI(障害者インターナショナル)
日本会議 議長 山田 昭義

JIL(全国自立生活センター協議会)
代表 中西 正司

障害者欠格条項をなくす会
共同代表 牧口一二 大熊由紀子


公営住宅の単身入居を求める要望書


○「ピープルファースト東京」は、1995年12月に、ピープルファーストはなし合おう会として発足しました。ピープルファーストは、知的障害者の運動です。「障害者である前に一人の人間としてみてもらいたい」という意見でつけられたそうです。昨年11月にピープルファースト東京」として出発しました。まだまだ問題がたくさんあります。それを一つ一つのりこえなければなりません。それを専門家じゃなく、親じゃなく、当事者の生な声で言うのが一番ひびくと思います。なぜならば、制度を使うのは当事者だからです。「ピープルファースト東京」では、いつも厚生労働省や都庁に行って交渉をやっています。自分たちの制度について交渉を行っています。交渉をして変わったところは、ヘルパーの時間がふえたことです。少しずつですけど、かわってきました。「声」をだして制度が変わるようにがんばります。

○「こらーる・たいとう」」は、精神障害者本人の会です。活動内容はピア・サポートセンターの設立運営、権利擁護事業、出版などです。他障害や市民運動の方々とも連帯して、「優生思想」や「欠格条項」の撤廃を求めています。障害を持つ人々のための「権利法」制定にむけて運動しています。

○「ピープルファースト東久留米」は、今年の5月4日に立ち上げました。前から東久留米でピープルファーストを作りたかったので、やっとつくれました。なんでピープルファーストを作りたかったかというと、各地でつくってもいいかとおもいました。ピープルファーストが地域にできて、みんなもこられるような会があちこちにあれば、なかまがふえて活動も広がっていくと思ったのです。ピープルファーストでは会議やカラオケなどのレクレーション、通信の発行などの活動をおこなっています。


 知的障害・精神障害がある人は公営住宅に「単身入居」することがなんでだめなのか。アパートは借りにいくとき不動産屋にいってみつけてもらっているけど、家賃がたかい。ふつうのアパートは家賃がたかいだけでなく、大家さんの好ききらいでかしてくれなかったりする。ほかにも、大家さんから、ほかの人がさわいでいるのに自分のせいにされることがあります。

 知的障害・精神障害がある人は少ないお金でやっている人も多いのでアパートのお金がたかいとほかのものにえいきょうがあるのでこまります。

 公営住宅にはいればくらしがよくなるとおもいます。公営住宅から率先して、自立したい人に開放するべきだ。みんなが自立していくためにも、わかい人も区別をしないでいれてほしい。知的障害・精神障害をもっていても、生活保護をもらっていたり、50歳以上の人はもうしこめます。

 わかいからといってだめというのは差別ではないか。これから自立していく人も生活には家とかあってはたらけば、知的障害・精神障害者も公営住宅にはいれればいいと思います。

 公営住宅は東京だけの問題ではありません。知的障害・精神障害者だということだけで公営住宅に単身入居する制度がないことは、まだ知的障害者・精神障害者の人権が守られていないということです。差別がなくならない原因のひとつでもあります。

 身体障害の人は、ひとりで申しこめるのに、どうして知的障害や精神障害の人はもうしこめないのか、おしえてほしい。

一緒にくらしていた家族が亡くなってから、公営住宅からおいだされた知的障害者がいる。

ひとりでくらしている人もいます。

「知的障害者だからひとりでくらせない」ということではありません。できないところは、支援してくれる人や制度があればいい。実際、地域でひとりでくらしている知的障害者はいます。
 知的障害だからといって、今まで住んでいた所に住めなくなることは差別です。

 また、「単身入居」ができる対象者について定めている施行令は、2000年に、おもい障害をもっている人も介助がうけられていれば単身入居できるように改正されましたが、実際には、制度の運用が、施行令改正前と変わっていない実例が、各地から報告されています。
 今年度もまだ以前のまま「常時の介護を必要とする人は入居できません」と入居者募集のしおりや必要書類に書いている自治体があります(大分県・兵庫県三木市)。
 DPI・JIL・なくす会は、施行令改正を受けて2000年8月、当時の建設省と厚生省に要望書「公営住宅法の新施行令(政令)の運用に関する具体的指針の策定を求める要望書」を出しました。この要望書では、「一人で買い物、炊事、入浴、トイレ…ができるか」で判定してきた従来の「自活状況申し立て書」を廃止し、本人の同意の上で十分に話し合いながら手続きを進め、必要な介助を受けながら単身入居できるようにしていくことを提起しました。
 しかし、現在も大分県では、「一人で○○ができるか」を記入して「他人の世話を受けずに身の回りのことができる。入居後常時の介助を必要とするようになった時は、ただちに住宅をあけわたす」ことを宣誓する「自活状況申し立て書」が、提出必要書類になっています。
 そのほか、てんかんを理由に単身入居できないとされている例があります。
 このような実情に対して、私たちのようぼうを出しますのでこたえてください。


ようぼうすること

@ 知的障害者や精神障害者について、今まで「単身入居」をみとめなかった理由を
せつめいすること。


A 知的障害、精神障害者の「単身入居」をみとめること。

B 公営住宅法施行令は、障害者欠格条項見直しの中で、常時介護が必要な人も介護を得られるなら単身入居できるものへと、不十分ながらも改善された。しかし、その改善された部分の意味が、関連業務をおこなう職員にまで伝わっていない状況がみられる。
 改めて、各都道府県・市町村をはじめとする事業主体に周知徹底すること。


C 上記Bの際、事業主体に、施行令改正後の運用の現状を次の点で調査し、調査結果を私たちに説明すること。
ア 入居者募集のしおりや関連の書類は、施行令改正を受けて書き換えているか。「常時介護が必要な人は申し込めない(ことがある)」「一人暮らしができる人」などの記述を残していないか。
イ 「自活状況申立書」の文面と、運用は、どのようになっているか。それは、施行令改正以前と以後で変わっているか。
ウ 事業主体は、入居申込み者本人の同意なしに、当該の市町村の福祉事務所などに対して、意見や、本人の個人情報を求めていないか。

D 施行令の運用指針を示して、施行令改正以前と変わらない運用をなくし、改正の実効があがるようにすること。

E 施行令自体についても、私たちの意見を聞きながら継続して見直しを行うこと。


以上



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