公営住宅法施行令改正を受けての要望書


厚生・建設の担当部局(厚生省障害保健福祉部企画課/建設省住宅局)に
出したものです。
2000年8月11日

障害者欠格条項をなくす会
共同代表 牧口 一二・大熊 由紀子

DPI(障害者インターナショナル)日本会議
議長 山田 昭義

全国自立生活センター協議会(JIL)
代表 樋口 恵子

公営住宅法の新施行令(政令)の運用に関する具体的指針の策定を求める要望書

 私たちは、この度の公営住宅法新施行令の公布・施行にともない、居宅において介護を受けることが必要な障害者の単身入居が実現し拡大することを通じて、ノーマライゼーション理念に基づく障害者の地域自立生活が大きく前進することを切望しています。こうした観点から、介護を受けることが必要な障害者の公営住宅への単身入居が新施行令の運用によって、地方自治体で着実に実現することになる指針の策定がぜひとも必要であると考えています。

 つきましては、以下、介護が必要な障害当事者の視点から、指針策定に向けての提案を提出いたしますので、積極的に検討されるよう要請いたします。

1 本指針策定の目的
(1) この度の「公営住宅施行令の一部を改正する政令」では、居宅において介護を受けることにより単身入居が可能な者について、できる限り公営住宅への単身での入居資格が認められるよう規定の明確化を図る」(「1.趣旨」平成12月7月10日、建設省)とされている。
(2) 今回の政令改正が、「居宅介護」を受けることができるのであれば、「常時の介護を必要とする」者であっても単身入居が認められ、実際に障害者の単身入居拡大に活かされるように、具体的に規定の明確化を図ることが必要となっている。
(3) 今後、各都道府県・政令市・市町村自治体に周知、徹底するにあたっては、従来の「調査の内容と方法」を抜本的に見直し、確実に障害者の単身入居が実現し拡大していくことになる具体的指針を明記する。

2 運用面における従来の調査の内容と方法の見直しを行い、新しい指針に基づいて入居の判定を行う。
(1) 今回の政令改正の基本的趣旨として、建設省並びに厚生省が事業主体(公営住宅の供給を行う地方公共団体)に通知する文書に、居宅において「単身で介護を受けて生活することも積極的な自立生活である」という考え方の上に立って、「単身者も必要な介護を受けて自立生活を営むことができる。公営住宅において、必要な介護を受けることができる単身者の入居を促進する」という基本的考え方を明記する。
(2) 現実に申し込みを考えながらも躊躇したり、あきらめたりすることの多い障害者にとっては、入り口時点の募集内容の記述が決定的な意味をもつことになる。 したがって事業主体が発行する公営住宅入居者(単身枠)募集パンフレット・しおりなどに、「常時介護が必要な方は申し込みできません」または「申し込みできないことがあります」、あるいは「自活可能な方」「一人で生活できる人」といった記述は一切やめる。
  今後、募集パンフレットなどの記述には、「常時介護が必要な方も申し込みできます」を入れる。
(3) これまでの「自活状況申立書」は、公営住宅に入居した場合の日常的生活状況について、基本的に「自分ひとりでできますか」という質問構成になっているため、このままの運用では、結局「入居を認めない」事例が多く発生すると考えられる。
(4) これまでの「自活状況申立書」の書式は廃止し、介護を必要とする者が申し込みをした場合、必要な介護の項目と、公的介護派遣制度の利用状況及びそれを補う介助者の配置状況等を本人が記載すればいいことにする。
(5) 介護を必要とする者が申し込みをした場合、事業主体の職員は、本人から生活の状況を十分に聞かなければならないと判断した際、介護者の状況や必要な設備の有無および機器の工夫など、本人の説明を十分に聞き、不備があれば、本人と相談しながら改善しなければならない。
(6) 事業主体は、介護を必要とする者が入居の申し込みをした際に、入居が適切かどうかを判断するにあたって、市町村の福祉事務所長等に意見を求める場合、どのような事項について当該福祉事務所に意見を求めるのかを本人に事前に説明し、本人の同意を得た上で問い合わせ、その内容と結果については本人に公開する。
(7)本人と福祉事務所長の見解が異なる場合は、事業主体・福祉事務所・本人の3者で協議を行うことを必要とする。
以上


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