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特定非営利活動法人(認定NPO法人)DPI(障害者インターナショナル)日本会議

Japan National Assembly of Disabled Peoples' International

A Voice Of Our Own(我ら自身の声)

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HOME>活動内容>2008年度活動報告>各事業に関する報告>政策提言活動

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活動内容

政策提言活動

障害者権利条約完全履行へ

2008年度は、政府による権利条約批准への具体的な動きが始まり、これに伴う活動が本格化した年となった。

DPI日本会議は、JDFの政策委員会・条約小委員会の事務局団体として、条約の国内履行に関する事業を取りまとめてきた。小委員会委員長は東俊裕条約担当役員、委員長代理を尾上浩二事務局長が担当している。

2008年5月3日、批准国が20を超え、権利条約が発効した。発効に伴って、政府は批准の準備を進めてきたようであり、2009年1月、第171回通常国会において条約批准を予定との公式文書が出された。障害者基本法の定時改正が行われる今国会で、障害者基本法を条約に対応する形で改正し、これを批准の条件とする、ということである。DPI日本会議を始め、JDFは国内法整備への道筋を明確にする高いレベルでの批准を求め、拙速な批准には反対してきた。障害者基本法ならびにその他のいくつかの政省令の改正のみが批准の条件となることは容認しがたく、JDFは一致団結してこうした政府の動きに対して取り組みを行った。現時点でこうした取り組みは成功しており、障害者運動の歴史に残る動きとなっている。こうした批准の動きの中で、公定訳(案)が非公式な形であるが示された。問題の多かった仮訳からJDFの意見を大幅に取り入れた形で修正され、私たちの取り組みが大きな成果を生んだ。政府(外務省)の努力も高く評価されるが、インクルーシブを「包容」と訳すなど大きな問題点も残されている。

一方、これまで重ねてきた政府との意見交換会も継続的に行っている。2008年度には個別省庁との意見交換会を6回開催し、意見交換会毎に意見書作りを行っている。これらの意見交換に伴う形で小委員会を12回行い、拡大小委員会も一度開催するなど、精力的に活動している。さらに、11月には大阪と岡山、2009年2月に仙台、3月には京都において、JDFの地域フォーラムを開催した。大阪、京都のフォーラムにおいては、事務局団体をDPI日本会議の加盟団体が担い、いずれも成功裏に終えた。

障害者差別禁止法

2007年10月、国会で「障害者差別禁止法推進議員連盟」の動きが始まったことを契機に、「政策研作業チーム」では、2009年の障害者基本法の「見直し」を視野に入れ、当事者の視点に立った「障害者差別禁止法」を作成していくための議論と検討を行ってきた。この検討作業においては、この間の権利条約の国連採択(06年12月)、韓国の差別禁止法の制定(07年3月)、国内においては、千葉県条例の制定(06年10月)、「日弁連法案概要」(障がいを理由とする差別を禁止する法律)の策定(07年3月)などの新しい動きとその内容に着目して議論を行ってきた。

2008年6月には「障害をもつ人への差別を禁止し、権利を確立する法律案(素案)」(通称「障害者市民案」)を作成し、ウェブサイトでパブリックコメントを募集し、「政策研」の構成団体や連携・共同行動が望まれる障害関連団体、関係者への「意見募集」を2ヶ月にわたって行った。意見募集の結果、11団体と21人の個人(当事者、支援者、研究者など)から、総数で113件(重複した意見も含む)が寄せられた。

政策研作業チームでは、寄せられた意見を「障害者市民案」に反映させていくための検討作業を行い、今後も継続的に検討を続けることを確認した上で、2008年12月に開催された第14回政策研全国集会の全体会において、「障害者市民案」のとりまとめに関する報告と提案を行った。

地方自治体の動向では、2006年に「障害のある人もない人も共に暮らしやすい千葉県づくり条例」(以下、千葉県条例)が全国で初めて制定されて以降、北海道、岩手県、愛知県、三重県、兵庫県、熊本県、沖縄県等で具体的な取り組みが進み、本年3月には、北海道で千葉県に続く条例が制定された。

当事者が主体になり、千葉県、北海道の条例を契機に障害者差別をなくす自治体条例づくりをさらに拡大していく運動を展開していくために、DPI日本会議はJIL人権委員会と合同で差別禁止条例制定に向けたプロジェクトを継続して行っている。

障害者自立支援法

「自立支援法」成立以降も、「地域生活をあきらめない!」と粘り強い取り組みを進めてきた。2008年度も全国大行動実行委員会と連携して、政党シンポジウム(6月)、1031全国フォーラム(10月)等の集会や、厚労省交渉(7月、2月)に取り組んできた。

深刻な人材難に陥った重度訪問介護等については事業者、利用者、ヘルパー等の多角的調査を行い、政党シンポジウムや厚労省交渉の資料として活用し、報酬改定に一定の影響を与えた。

「自立支援法」3年後見直しに関して、社会保障審議会・障害者部会の最終報告が12月に示された。障害者部会でのヒアリングにDPI日本会議からも意見提起を行ったが、報告に反映されることはなかった。3年後見直しの附則に示された「障害者の範囲」や「所得保障」は先送りされるとともに、支給決定の仕組みやサービス体系等の基本骨格は変わっていない。DPI日本会議としては、地域生活を権利として実現し「制度の谷間」を解消する「障害者総合福祉サービス法」の実現をめざし、各政党ヒアリング等に対応してきた。

2008年10月31日には応益負担や支給量等をめぐって「自立支援法」の違憲性を問う訴訟が全国9地裁でおこされ、「めざす会」を日本障害者協議会(JD)等と共同で立ち上げ、資金カンパや傍聴活動等の幅広い協力を呼びかけてきた。また、生活保護の「移送費」問題をはじめとした、様々な抑制・切り捨ての動きに対しても、他団体と協力しながら取り組みを進めてきた。

交通アクセス

「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」(以下、バリアフリー新法)が制定されてから、約2年半が経過した。旧法の「高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律」(以下、交通バリアフリー法)の基本方針に基づく目標年次である2010年も間近に迫っていることで、一部バリアフリー新法の効果・評価等の見直しが始まろうとしている。バリアフリー新法がめざした交通施設にとどまらない、建物や歩道・都市公園・路外駐車場までを含む社会インフラの整備、ならびに障害当事者参画による重点整備地区の基本構想策定に関しては、その実効があがっているとは言えない。また、我々がもっとも重要な問題として捉えている「移動権(利用権を含む)」の確立はされておらず、「乗車拒否や利用拒否」は、後を断っていない。

DPI日本会議としては、こうした状況の改善に向けて、2008年度においても継続して、下記活動をおこなった。

それぞれの地域で基本構想の策定を提起し、当事者としての意見提起をすることのできる障害者を育成することを目的として、JIL、交通エコロジー・モビリティー財団ならびに福祉のまちづくり学会と共催で、10月と2月、第2回「バリアフリー障害当事者リーダー養成研修」(以下、「バリアフリー研修」)事業を行った。これまで56名が研修を修了している。この研修事業は、2009年度も引き継がれることとなる。

「移動権」の確立、「乗車・利用拒否」の禁止にあたっては、権利条約の完全実施に向けての動きを踏まえて、積極的な問題提起を繰り返してきた。また、乗車拒否のもっとも顕著な事例である「ハンドル型電動車いす」の鉄道利用に関しては、国土交通省が設置した検討会議にDPI日本会議から当事者側委員として参加し、原則的にすべての車両の利用を求める立場からの意見提起を行ってきた。また、「ハンドル型電動車いす」に関しては、事故予防の観点から安全基準を強化し、法的に規制するという方針を、経済産業省製品安全課が打ち出していることに対し、安易な法的規制強化は問題を複雑化させ、現実の安全確保に繋がらないというハンドル型電動車いす使用障害当事者の視点に立ち、同課との協議を行っている。

視覚障害者を始めとするすべての移動制約者の駅ホームにおける安全確保のための施設として、強く求め続けてきたホームドア・可動式ホーム柵に関しては、「鉄道駅におけるホームドア等の整備の促進に関する委員会」を踏まえて、新線のみならず既設線においても徐々に整備が進んできているが、新線・新駅においても整備がなされない事例もあるため、より一層の整備促進に向けて強く求め続けていく。

これらの「バリアフリー研修」事業や各種検討委員会の成果は、まだまだ不鮮明であり、当事者主体のバリアフリー環境整備や乗車拒否の根絶、視覚障害者等の安全確保等に関しては、今後とも継続的な取り組みが必要となる。

障害者の所得保障に関する取り組み

2007年度も障害者の所得保障のあり方に関して、論議が交わされてきた。厚生労働省内に設けられた「障害者の所得の確保に関する検討チーム」からは、就労対策以外の方向は出されなかったが、「自立支援法」の見直しに関連して、自民党、公明党の与党プロジェクトからは、障害基礎年金の引き上げ、社会手当としての住宅手当の創設等の内容の方針が示された。また、DPI日本会議として、積極的に課題の整理と、政策提起を行った「障害者の所得保障に関する研究委員会」(全社協障害者団体連絡協議会)も、2年間の検討を踏まえた政策提起を行った。その内容としては、障害基礎年金の引き上げ、無年金障害者の解消、各種給付基準の抜本的な見直し、住宅手当を含む新たな社会手当の創設等を含むもので、DPI日本会議のかねてからの主張が盛り込まれたものであった。

DPI日本会議も協力して行われた国立社会保障・人口問題研究所の「障害者の所得保障と自立支援施策に関する調査研究」は2007年度が最終年となり、障害者の生活と所得保障の実態に関するデータが明らかにされた。また、この研究チームは加盟団体である「障害者の自立と完全参加とめざす大阪連絡会議(障大連)」の協力のもとに、9月に大阪において、所得保障問題についての集会を盛況のうちに行った。

厚生労働省が2007年秋に突然打ち出した、生活保護基準の一律引き下げに関して、DPI日本会議としては、「反貧困ネットワーク」の人々とともに、引き下げを阻止する行動に取り組み、財政抑制を第一義とする厚生労働省の引下げ案をひとまず押し返すことができた。

インクルーシブ教育の実現に向けて

2008年度の教育に関する取り組みは、2007年10月に行われたDPI日本会議の内部討議によって共通認識として確認された、障害者の地域での自立生活を広げていくための前提としての障害児教育であるべきとの認識のもとに進められた。

まず、権利条約批准の国内法整備をめぐるJDFと文部科学省との二度にわたる意見交換会においては、障害児の就学が他の子どもたちと違う扱いを受けていることについて「異別取扱い」となっている点の是正を求め、地域の学校に就学した際の支援が十分に行われていないことなどを追及してきた。また、文部科学省が設置した「特別支援教育の推進に関する調査研究協力者会議」に対しては、当事者団体からのヒアリングとしてDPI日本会議のメンバーがJDFの一員として出向き、権利条約批准にあたっての意見提起を行なってきた。

しかし、文部科学省は、今年2月にこの協力者会議の中間とりまとめとして「特別支援教育の更なる充実に向けて」を公表し、現在の特別支援教育が条約と矛楯しないとの見解を表明している。

2007年12月に活動を開始した「障害者権利条約批准・インクルーシブ教育推進ネットワーク」では、DPI日本会議のメンバーが共同代表や事務局長となって取り組みを進めてきた。ネットワークでは、権利条約批准に際して、障害児も原則として地域の学校に籍を置くことや就学後の合理的配慮として必要な支援も受けられるように国内法の整備を求めること等を目標として、原則統合を求める全国の団体や個人を各地元の事務局として取り組みを拡げてきた。同ネットワークでは、昨年10月に、就学指導委員会をなくした埼玉県東松山市長を招いた全国集会を東京において開催し、300名の参加を得た。

また、日本教職員組合が設置したインクルーシブ教育検討委員会では、インクルーシブ教育を学校現場で実現していく取り組みの一貫として、2009年3月に新たな学習指導要領を批判的に活用していくことを目的とした「インクルーシブ教育をめざして」という最終報告をまとめた。DPI日本会議は、同委員会に2名の委員を出し、当事者としての意見提起を積極的に行ってきた。

障害者の所得保障

「自立支援法」に関連して、各方面から見直しの必要性が提唱されている所得保障の課題であるが、2008年度も具体的な動きが見られないままに経過してしまっている。「自立支援法」の見直し作業を進めてきた自民党、公明党による与党プロジェクトからは、2007年に年金水準の引き上げを柱とした、障害者の所得の確保に関する方針が打ち出されてはいるが、それを具体化するための施策は講じられてはいない。与党プロジェクトが2007年12月に示した方針と、2009年3月に明らかにされた「基本方針」とでは、その論調において、財源のあり方や住宅手当の扱い等で微妙な変化が見受けられる。DPI日本会議としては、2008年度の方針に基づき、年金水準の引き上げ、無年金障害者の解消、既存の手当制度の見直しと住宅手当の新設といった所得保障の課題と方向性を、「政策研」の分科会や、「自立支援法」の抜本的見直しを求めて活動している全国大行動実行委員会の意見として盛り込み、この課題に関する運動をリードする役割を担ってきた。

また、在日外国人障害者の無年金問題に関しては、在日外国人障害者等の当事者団体と協力して、国会、政府、そして地方自治体等に対して、当該障害者の無年金状況からの救出のための手だてを講じることを求める活動を行った。

一昨年から続けられてきた反貧困ネットワークの運動は、経済不況の深まりとともに大きな広がりを見せている。障害を持つ人の貧困問題に対応するため、DPI日本会議はネットワークの構成団体として、派遣村での障害を持つ人の相談対応等の活動に積極的に取り組んできた。

雇用・労働

2008年12月19日に「雇用促進法」が改正された。今回の改正では、障害者の法定雇用率未達成企業に課される納付金の対象範囲が、従来の従業員数301人以上から、今年の7月からは、201人以上、15年4月からは、101人以上に拡大されることになった。但し、経過措置として、それぞれ適用開始から5年間は減額される。

また、週20時間以上30時間未満の短時間労働者として身体および知的障害者を雇用した場合は、1人につき0.5人として雇用率への算入が認められることになった。

DPI日本会議は、この見直しにあたって、「障害および重度障害の定義の見直し」や「ダブルカウントの廃止」等を、国会における参考人質疑やヒアリングおよび文書で求めてきた。

こうした要望事項を法律に反映することはできなかったが、附帯決議として「難病患者等を特定求職者雇用開発助成金の対象とすること」、「労働能力に基づく障害および重度障害に関する認定の在り方について検討を行うこと」、そして「権利条約批准に向けて雇用分野における合理的配慮規定等について検討を行い、障害者の労働者としての権利の確立を図ること」が盛り込まれたことは、権利条約の批准や次回の見直しに向けて取り組みを進める糧になるといえる。

また、神奈川県横須賀市の一般事務(身体障害者対象)の受験資格として新たに、障害者が必要とする配慮を提供しないとする要件の設定が明らかになったため、その廃止を求めた。その結果、横須賀市はこの要件を見直したが、こうした自治体の障害者採用試験に関する応募要件には、差別的な項目が今なお含まれている。

生命倫理・優生思想

DPI日本会議は、障害者が地域の生活者として、また社会人として生きることは、障害のない者同様、当然のことであり、そこに差別があってはならないと主張してきた。その命の平等性がここ数年の福祉予算の削減の政策により、危うくなってきている。それは、障害者を「国家にとって『役に立たない者』」・「社会のお荷物」として位置付けてきた社会があるからである。この根底には優生思想が強く流れている。

そうした社会状況を背景に、「臓器移植法」の見直しや「尊厳死法」、「治療停止ガイドライン」策定等、障害者の存在そのものを否定する法制化の動きが強まっている。また、親による障害児殺しも後を絶たない。

DPI日本会議は、これらの優生思想に基づく政策や動きに対して取り組みを進めてきた。産科医療補償制度については、「優生思想に基づく『産科医療補償制度』に抗議する障害当事者全国連合」に参加し、厚生労働省に対する抗議行動・交渉を行った。

女性障害者

2007年に活動を再スタートさせたDPI女性障害者ネットワークを中心に、女性障害者が抱える特有の問題や課題についての取り組みを進めてきた。

昨年度に引き続き、機関誌「DPI」に障害女性に関する記事を連載し、強制不妊手術や、障害女性の貧困、2009年1月にスタートした産科医療補償制度の問題点を明示している。

また同ネットワークでは、再開後の活動内容を中心に「DPI女性障害者ネットワーク活動報告&資料集2007」としてまとめ、5月に発行し、6月には第24回DPI日本会議全国集会in岩手(以下、岩手集会)において、映画「忘れてほしゅうない-隠されてきた強制不妊手術-」を上映、意見交換会を行うなど、女性障害者のネットワークの構築のため積極的な活動を進め、その間、「障害者市民案」に対し、「性と生殖」、障害がある女性に関する条文への意見、対案の提起や、女性差別撤廃条約政府報告に対するNGOカウンターレポートへの意見提起などの検討も行ってきた。

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