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■■  移動の権利を明記  ■■
−韓国で新しい交通バリアフリー法が制定される−

DPI日本会議 崔栄繁
※機関誌「DPI われら自身の声」Vol.21-1掲載記事より転載



 韓国では、4〜5年前より、障害当事者団体を中心にアクセス運動が非常に活発に行われてきた。毎週一度のバス乗り込み運動、地下鉄駅構内占拠、デモ、1ヶ月以上に渡る国家人権委員会占拠など、様々な運動が繰り広げられてきた。これは、階段リフトの不良による墜落死亡事故が相次ぎ、市バスや地下鉄を障害者がとても利用できる状態ではなかったことに対する怒りの爆発だった。そして、そうした取り組みの結果、ついに「交通弱者便宜増進法」(移動権法)が今年一月、韓国の国会で制定された。

法律制定の過程
 与党「ウリ党」も障害者団体にかなり近い立場にいるが、革新的少数野党の民主労働党の発議で国会に上程された。中心になったのは玄愛子(ヒョン・エジャ議員)で、運動を進めてきた「移動権連帯」や「便宜施設推進市民連帯」との連携による。当初は「移動権保障法」という法案名だったが、保守系野党などの反対もあり名を捨て実をとったという。議員・政党戦略も学ぶ点が多い。

法律の概要と主要な内容
 全34条と、付則5条からなり、条文は「総則」「交通弱者移動便宜増進計画」「移動便宜施設(バリアフリー施設)の設置基準等」「歩行優先区域」「補則」「罰則」の6章に分かれている。注目すべき内容としては以下の2つがあげられる。
@「移動権」の明記(第3条);これによって、バリアフリー施設の未設置等によって移動に大きな支障ができた場合や交通弱者の事故発生時に、被害を救済できる法的な根拠ができた。
A低床バスの義務化など(第2章);「交通弱者便宜増進計画」を立てることを義務化しており、その中で、低床バス導入の義務化と、導入に伴う費用の国・自治体の財政的支援の義務化、などを定めている。

今後の課題
  この法律の中身を見ると、細かな実施計画や施設物の基準などは大統領令・政省令によるところが大きい。その点で、障害当事者が、中身作りにどこまで参画できるかがまず一点である。第2点に、どこまで実効性を確保できるかである。明記された移動権を司法の場でどこまで生かせるか。日本と同じ大陸法体系の韓国は、司法の消極性などの問題点は日本とも共通している。当初は懲罰的賠償制度を盛り込もうとしたが失敗に終わっている。
  いずれにせよ、この韓国の壮大な試みが今年の交通バリアフリー法見直しによい影響を与えることを願いたい。

「交通弱者便 宜増進法」   

テキストページ   交通弱者便 宜増進法のPDFファイル(50キロバイト)

韓国の「障害者自立生活センター」一覧(エクセルファイル:54KB)

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最終更新日 2005.11.9