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トップページ>活動内容>障害者に関わる普及啓発活動>広報 (機関誌)>連結・世界HP版 ■■ 刑務所制度は 精神病者を見捨てているのか? ■■ 2005.8.17付DPI世界本部のホームページから
コリーナ・ペンローズは23歳のとき、躁病からくる重度の精神病にかかっていて、交通量の多い道路の真ん中を横切り、交通を妨げたことがあった。結果として、治安妨害の罪で、警察に逮捕され、監房に入れられた。自分の状況について理路整然と説明できなくなってしまうような悲惨な状況の中、彼女は精神鑑定のためにコルントン・ベール刑務所に送られた。 精神鑑定は迅速に行われず、彼女は、1週間留置された。 「精神鑑定をしようとするとき、薬を与えないので、当然、症状は悪くなる可能性があります。当時、私は病状が大変重く、他の囚人達との上下関係について知らなかったので、私の振る舞いによって、周りの囚人はイライラさせられていました。たぶん、自ら危険を冒していたのだと思います。」 受刑者仲間と悪い関係になってしまったために、ペンローズは独房に入れられた。しかし、この独房に入れるという介入の仕方は、たとえ善意からくるものであったとしても、適切な説明がなされないことで、かえって追い込まれている人を危険な状態にさらした。「精神病で苦しんでいる場合、人と一緒にいることが事態を正常化する助けになります。完全に独りになってしまうと、深刻な状態になりかねないのです。」 最終的に彼女は、まだ若かったために訓戒を受けただけで釈放された。だが、彼女は、もし年齢が高ければ、刑事罰を容易に受けた可能性があり、結果的に将来の雇用機会に影響を及ぼしたのではないかと指摘する。そして、間違いなく、彼女は軽犯罪のために刑務所送りになった例外的な精神病者ではない。 現在のスコットランドの収監者数は、約6,700人となっている。60%以上の受刑者が、精神病に悩みながら刑務所に入ることになると推測される。これは一般人口における16%という数字と比較して明らかに多い。スコットランド刑務所サービス(SPS)保健部長であるアンドリュー・フレイザー博士は、受刑者の5%は、深刻で永続的な精神障害に苦しんでいるだろうと指摘している。この数字は地域社会における発症率の4倍に相当する。
刑務所内において、精神的苦痛が広く、かつ深刻に存在しているのであれば、何年も投獄されることもある受刑者たちに対して、頻繁に刑務所を出たり入ったりしている他の受刑者と共に、SPSはどのようなケアを提供できるのであろうか? 昨年のマックレーン博士の報告によると、インバーネス刑務所だけが、スコットランド中の刑務所の中で唯一、刑務所外の社会が提供しているものと同レベルの基準で保健ケアを提供していることがわかった。「刑務所内の投薬についてあれこれ言う人もいるようですが、それは言っても無駄です。至極当たり前のことです。精神保健医療について、受刑者は平等に利用することが可能だと思っておられるかもしれませんが、実際にはできません」 と博士は率直に言っている。保健医療の平等は、優先的な基準になりうると彼は指摘する。
フレイザーは、SPSが何を提供しようとしているのかも問題であるとした上で、受刑者が精神保健のニードを満たす質のよいケアを受けられていないのではないかという懸念を明らかにしている。「刑務所の運営綱領は同等な取り扱いについて触れていますが、それは単に書かれているに過ぎません。刑務所内におけるニードのレベルはあまりに広くて対処しきれないのです」 NHSは、驚くと思うが、スコットランドの刑務所において保健ケアサービスを供給していない。代わりに、刑務所長が精神保健戦略の解釈および実施、そして、NHSから独立した形での保健ケア契約の締結を行うことで、SPSは 「トータル・システム」を運営している。 どの程度このシステムが成功するかは、刑務所長が受刑者の精神的な健康を優先させるか否かにほぼ完全にかかっている。例えば、複合的な専門分野からなる精神保健チームは、あらゆる刑務所で活動可能であると目されているが、このシステムの基盤となる精神保健専門の看護師は、刑務所の裁量で容易に配置換えをさせられる。現在協議中の、人格障害を持つ人のためのサービスについての作業部会の報告草案においても、複合的な専門分野からなるチームが実際に幅広い専門知識を利用できているか否かに疑問を投げかけている。
フレイザーは、文化的そして、運営上の変化が必要であることを敏感に察しているようだ。「今のところ、私たちは、システムとしての精神保健の不備がどの程度あるかを明らかにしましたが、そのことについての対応能力は備えていません。刑務所事業は、保健事業ではありません。もっと、資源が必要かって?もちろん、必要ですよ」 少なくとも、釈放に向けて初期医療を受けている精神病受刑者のために、薬物療法と治療計画を統合することは、大きな意味があるだろう。しかし、スコットランドでは、現在、受刑者本人の家庭医(GP)と刑務所が契約しているGPとの間での医療情報の交換は公式にはされていない。頻繁に短い期間の服役をしている者あるいは恒常的に刑務所間を移動している者にとって、こうした状態が起こると、精神病の管理や緩和にとって重要な継続的なケアが事実上不可能になる。 もし、刑務所がイニシアチブを取らないのであれば、NHSが取らなければならないだろうと精神福祉委員会のマディリン・オズボーン博士は言う。「私たちは、NHSが刑務所に入所もしくは出所する人たちを捕捉できていないと感じています。精神障害のある人は、通院サービスを使うのが難しいために、すぐに再犯してしまうかもしれません。そして、再び刑務所に戻ることになるのです。」と博士はコメントしている。
フレイザーはオズボーン博士と同意見である。「NHSの一部には、時として私たちに理解を示してくれる人もいます。さらにNHSの意識を高めていく必要があります。 刑務所のシステムは総合的なケアの計画を見失っているのです。」
「私は、刑務所にいることで病気になったり、病気を悪化させたりさせないような環境を作り出したい。」とフレイザーは毅然と主張する。刑務所長たちがまちまちに保健政策を解釈し、ケアへのアプローチもばらばらに存在し、互いに矛盾しあっているが、そのような中でも、現在、苦悩の中にいる何千もの受刑者は、間違いなく苦悩を抜け出し自分の道を切り開くことを望んでいるだろう。 前のページへは、ブラウザの「戻る」でお戻りください。 最終更新日 2005.9.28 |