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障害者を取り巻く問題障害者の権利条約 制定へ向けて第3回国連障害者権利条約に関する特別委員会

 

■■日本政府とNGOとの意見交換会■■
   (兼第3回障害者権利条約特別委報告会)
 


○日時:2004年6月18日(金) 11時〜12時15分
○場所:経済産業省別館 920会議室

○政府側出席:
1.内閣府
       依田晶男 障害者施策担当参事官
       中村智子 障害者施策担当専門官
2.法務省
       松井洋 大臣官房秘書課課付検事
       清武世子 大臣官房秘書課渉外係長
       江口幹太 人権擁護局調査救済課法務専門官
3.外務省
       角茂樹 国際社会協力部参事官
       嘉治美佐子 国際社会協力部人権人道課長
       増子絵美 同課 事務官
       望月久子 同課 事務官
4.文部科学省
       石塚仁 初等中等教育局特別支援教育課課長補佐
       桜井康仁 同課 企画調査係長
5.厚生労働省
       大竹雄二 職業安定局高齢・障害者雇用対策部障害者雇用対策係長
6.国土交通省
       長谷川貴彦 総合政策局政策課課長補佐
       奈良和美 総合政策局交通消費者行政課専門官

○JDF側出席:
1.日身連 稲垣宏樹
2.JD 薗部英夫
     中島和
3.日盲連 笹川吉彦
4.ろうあ連盟 高田英一
5.育成会 長瀬修
6.全家連 江上義盛
7.「精神病」者集団 山本真理
8.リハ協 原田潔
9.DPI 金政玉
     宮本泰輔


○意見交換会概要:
 冒頭に、角参事官から第3回特別委について、公式なものではないと前置きをした上で報告が行なわれた。その後、JDFから出された質問項目をめぐってのやりとりと、意見交換が行なわれた。

<角参事官からの報告>
 NGOの参加方法について、全ての会合にオブザーバーとして参加し、政府間交渉でありながら各項目ごとに意見をいえるなど、今までにない例である。今後の各条文の細かい討議のあり方については、賛成・反対があったが、原則的にはこれまでのやり方を踏襲するだろう。現段階においては、クローズドセッションにはならない。議長団の決定はオープンな会議にすることだ。
 議論は、1月のWG草案をたたき台にして進められた。一読を行なった状態である。

 全般としては、以下のことを感じた。
 ・EUも述べていたが、既存の諸条約で保障されている権利が、実際には障害者が享受することを妨げられているということについてはコンセンサスがある
 ・この条約には、自由権・社会権の双方が盛り込まれることについてもコンセンサスがある。ただ、たとえば参政権を考えた場合、手話をつけないといけないが、社会資源の問題があり即時に実施できないこともあるように、権利の実現についてはひとひねり必要である。単純に即時とか、漸進とか分けることはできない。
 ・EUの言っている、既存の条約を当てはめるという考えにプラスして、積極的措置が必要であることについてもコンセンサスがある。
 ・国内法規や既存の条約との整理が必要であることも、コンセンサスがあるが、先進国側の方がどちらかというと既存の国内法に条約を当てはめようとしている。アフリカなどの方が強力な条約を求めていると感じた。

 また、個別の課題については、以下のことを感じた。
 ・定義については、医療モデルと社会モデルについて意見はあったが、討議には入らなかった。
 ・一般的原則・一般的義務について、障害者を特別扱いするのではなく、人間の一つの形態として受け入れることや、ユニバーサルデザインについても意見が出された。
 ・教育について、特殊学校の必要性については、多くの国が述べていたが、そのあり方や選択する権利については意見が分かれた。
 ・合理的配慮について、国際人権法をやっている人たちには新しい考え方だったが、WG以降の5ヶ月の間にWG参加国のメンバーは検討をしてきていたようで、おおむね概念自体は受け入れられていた。しかし、具体的に実行に移すにあたって、モラルとしてとらえるのか、法的なものとしてとらえるのか、どう合理的配慮を捉えるかが課題になってくるだろう。
 ・強制収容について、例外的な措置を講ずる場合の法的手続や救済措置につき、一般的な合意が得られた。
 ・国際協力を盛り込むことについては、ある程度の合意が得られた。資金援助の義務化については今回は出されなかった。

 日本政府の主な貢献として、以下のことを行なった。
 ・一般原則で、バリアフリー社会の実現を主張した。
 ・法の下での平等に関し、障害者、とりわけ知的障害者に対する裁判や尋問において不当な立場に陥ることを踏まえ、効果的措置をとるべきであるという発言を行なった。
 ・6月3日に合理的配慮についてセミナーを行い、部屋がいっぱいになるほどの参加があった。合理的配慮を国内法で規定している国からは、アメリカとオーストラリアの人が参加していた。アメリカからは、雇用の場でしか使っていないので混乱を招いていることや、国内法で合理的配慮が最も遅れているということが述べられた。また、質疑応答では精神障害や知的障害の人たちには合理的配慮の考え方をあてることは難しいのではないかという意見が出された。

 次回は、各条文についてかなり具体的な議論になることが予想される。こういうNGOとの意見交換をする機会を何回か設けていきたい。

<JDFの質問事項を巡って>
(嘉治:外務)
 質問項目1 バリアフリーについては今後も主張していきたい
 質問項目2 エンパワメントについても引き続き主張していきたい
 質問項目3 政府全体として検討していく必要があるため、今回は要請として受け止めたい
(依田:内閣府)
 質問項目4 改正された障害者基本法が6月4日付で公布されたが、参議院で附帯決議が付いた。この附帯決議を踏まえて検討していきたい
(桜井:文部科学省)
 質問項目5 障害者基本法の附帯決議について、従来から文部科学省では盲ろう養護学校による交流学習を進めてきたが、これをさらに進めていく趣旨として捉えている
(?:法務省)
 質問項目4 法務省単独でできることは限られている。政府全体で調整していくことだと思う
(嘉治:外務省)
 質問項目7 経済協力局とよく相談していきたい。額で勝負するのではなく、質の配慮を行なっていきたい。途上国の参加費補助については、国連のDESAと接触した際に、任意拠出基金への日本政府からの拠出の一部を参加費に回してほしいと要望した
(角:外務省)
 質問項目7 アフリカグループは、NGOを積極的に呼ぶべきだといっておきながら、討議の場からは排除するような発言をしており、矛盾をしている印象を持った。後ろ向きの印象を受けてしまう。この件については、NGOからも言ってほしい
(長瀬:育成会)
 質問項目7 カナダ、中国、チェコ、デンマーク、メキシコ、カタール、スウェーデン、英国から25万ドルが途上国のNGOの参加にイヤーマークされている。日本も600万円の任意拠出から1割でもイヤーマークしてほしい
(嘉治:外務省)
 質問項目8 (1)から(3)については、議長団が検討中で情報がない。(4)についてもわからない
 質問項目9 女性や先住民のときもそうだが、NGOの存在感が増している。先進国のNGOが多いこともNGO排除を唱える国の理屈となりうる。そうした懸念を払拭するために、途上国のNGOの参加を支援することも効果的な対策だと思う。さまざまなNGOがあるが、どうすれば効果的に国際社会のドロドロにゆがめられないでNGOの参加が得られるか、工夫しながらやっていくしかない
(長瀬:育成会)
 質問項目9 今回の特別委員会でも、シングルイシューのNGOの発言もあった。NGO全体で言うと、そうしたシングルイシューのNGOも来る。そうしたNGOを排除することはできないが、この条約については、障害者組織を絶対に守るという姿勢で政府も臨んでほしい。

<質問事項以外のやりとり>
(高田:ろうあ連盟)
 言語の定義について、手話を独立した言語として位置づけるような取り組みを日本政府としても行なうべき
(角:外務省)
 定義については、8月の次回特別委で行なうのではないか。手話を独立した言語として認めることには、EUをはじめ難色があった。少数民族の言語などとの関係があると思われる。
(高田)
 これは、少数民族の問題とは異なる。また、日本語そのものを否定しているわけではない。
(金:DPI)
 今後、たとえば、もし、手話を独立した言語として位置づけた場合にどういう問題がおきると想定しているのかなど、具体的に示しながら議論を進めていきたい。
(桜井:文部科学省)
 ろう学校では、最大限に日本語の言語体系の能力を伸ばした上で、手話などのコミュニケーション手段の習得を行なっている
(高田)
 文部科学省の立場はまったく私たちとは異なる
(桜井)
 手話を否定しているわけではない。教育論の話になってしまうが、他者との社会参加を考えると、日本語の言語体系を学ぶ必要がある。
(長瀬:育成会)
 81年からスウェーデンではろう者の第一言語を手話にした。また、ニュージーランドでも今年に入って、英語・マオリ語に続いて手話を公式言語とする法案が出ている。大前提として、70年代から言語学的に手話が付属物ではなく、言語であることが確立されていることがある。
(桜井)
 どちらを先に学ぶかについては、研究がしっかりある状況にないと認識している。
(金)
 口話を教えられることが抑圧的であると当事者たちが感じているという事実があり、そうした事実からどうすべきかを考えないといけない

(長瀬)
 第2条2(a)で、「自己決定」について、autonomyに変わっている。障害者運動のこれまでの主張を考えても、self-determinationの言葉が必要である。この言葉が民族自決の意味で使われてきたからということだが、本当にこの条約で用いた場合でも民族自決としての読み方があるのか
(望月:外務省)
 日本として強い意見があるわけではない。次回の対処方針で検討したい。
(嘉治:外務省)
障害関係の人たちには、それほどの意識はないかもしれないが、国際条約に携わってきた分野の人たちには、self determinationという言葉は、やはり特別な語感があるので、抵抗感を抱くのは、理解できる。条約は最後は言葉。さらに議論を重ねて、適切な言葉をさがしたい。

(金)
 empowermentについては、第2条で入れた方がいいのではないか

 最後に、第4回特別委までに改めて協議を行うことを双方確認して、会議は終了した。
 

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最終更新日2004.7.7