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障害者を取り巻く問題障害者の権利条約 制定へ向けて第3回国連障害者権利条約に関する特別委員会

第3回国連障害者権利条約に関する特別委員会
■■
6日目(6月1日 火曜日)〜 9日目(6月4日 金曜日)■■
 

団長である角参事官の特別委員会における発言の要旨を紹介し、代表団内での意見交換の内容を可能な範囲で報告します。

 

 

6日目(6月1日 火曜日)

◆4日目に障害者基本法改正に伴う附帯決議に関連し、以下の内容を記したメモをNGOから角参事官に渡した件について、法務省と内閣府から回答が寄せられた。
(メモ)「締約国は、障害者に対する障害を理由とする差別や虐待などの権利利益侵害が行われた場合の、迅速かつ効果的な救済のために必要な法的措置を行う。」
◆回答の要約
(法務省)
・「法的措置」の内容が不明確であり、国に対していかなる措置義務を課すものか明らかでない。
・参議院内閣委員会における附帯決議は、「必要な措置を検討する」義務を課しているに過ぎず、具体的な措置を発動することを課してはいない。また「権利侵害」の内容も不明確である。すでに草案第4条1項(b)に同趣旨の内容が包含されていると考えられる。
<関係条項>
(b) 平等の権利及び障害を理由とする非差別の権利が自国の憲法その他の適当な法令に組み入れられていない場合にはこれを定めること並びにこれらの権利の実際的な実現を法律その他の適当な手段を通じて確保すること。
(内閣府)
・「法的措置」については、附帯決議では使用されていない。
・「権利侵害」については、改正後の障害者基本法第3条3項として、新たに「何人も、障害者に対して、障害を理由として、差別することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならない」ことが規定されており、附帯決議の表現は、これを踏まえたものと思われる。

第18条〔政治的及び公的活動への参加〕
*角参事官
・(a)については、投票に関連して「政治的及び公的活動」への参加の確保を言っているが、この場合「公的活動」とは、(b)で規定している「公の行政の活動及び運営」とどう違うのか、はっきりしない。自由権規約第25条(政治に参与する権利)にそって修正することが望ましい。
・(a)の柱書きの「投票の手続」の前に、自由な情報を得て決定する機会を障害のある市民に提供することを入れる。(a)−(B)には、投票を実行する場合の必要なサポートを入れる。
・(b)−(A)は、「…団体を結成し及び加入する」を「参加する」に修正する。
<関係条項>
締約国は、障害のある人の政治的権利を差別なしに認め、かつ、次の措置をとる。
(a) 障害のある人が、直接に又は自由に選んだ代表を通じて(障害のある市民が投票し及び選挙される権利を含む。)並びに投票の手続及び設備が次のことになるように確保することにより、政治的及び公的活動に効果的かつ完全に参加することができる環境を積極的に促進すること。
(略)
(iii) 必要な場合には、投票する際の支援を障害のある市民に提供することを認めること。
(b) 障害のある人が公務の遂行に効果的かつ完全に参加することができる環境を積極的に促進すること。これは次のことを含む 。
(i) 政党、市民社会及び公の行政の活動及び運営に平等に参加すること。
(ii) 国内、地域及び地方において障害のある人を代表するため、障害のある人の団体を結成し及びこれに加入すること。

第19条〔アクセシビリティ(利用可能性)〕
*角参事官
・公共交通サービスが障害者に配慮できているという点では、東京の地下鉄はよくアクセスできている。機会があれば、ぜひ見にきていただきたい。
・政府の重要な役割は、民間企業にアドバイスすることである。1項の「構築された環境」において、(a)と(b)の「公共の建物」と「公共の目的に利用される設備」と、「コミュニケーションその他のサービス」等との関係がはっきりしない。公共利用を目的とする建物の確保の「効果的な措置」として、サービスの範囲が民間主体を含むものとなっており、広がりすぎてはっきりしない。
・本来は、公的部門と民間部門は分けて記述することが望ましいが、1項を義務化することは困難である。大きく変更するのは時間の制約上難しいので、1項の「効果的な措置をとる」と、2項の「適当な措置をとる」を「漸進的に実現する」に変更することが望ましい。
・2項(e)を「…生産に必要に応じて着手し及びこれを促進すること。」に変更。
・中村課長補佐のコメント:書きぶりとしておおむね、「確保する」というのは法律上、施行する状態にあり、「「効果的な措置をとる」は法律上の規定に基づいて必要な予算措置を行い、2〜3年位の間で具体的な改善ができるようにすることを意味する。
<関係条項>
1. この条約の締約国は、障害のある人が自立した生活を営みかつあらゆる生活面に完全に参加するための能力を確保するため、障壁を同定しかつ撤廃するための適当な措置をとるものとし、また、構築された環境、輸送機関、情報及びコミュニケーション(情報通信技術を含む。)その他のサービスのアクセシビリティを確保するための効果的な措置をとる。このような措置は次のことを含む。
(a) 公共の建物、道路その他の公共の目的に利用される設備(学校、医療設備、屋内外の設備及び公営の職場を含む。)を構築し及び改築すること。
(b) 公共の輸送機関の設備、コミュニケーションその他のサービス(電子サービスを含む。)を開発し及び改良すること。
2. また、この条約の締約国は、次のことのための適当な措置をとる。
(a) 公共の建物及び設備における点字表示を整備すること並びに読みやすくて理解しやすい形状を整備すること。
(b) 公共の建物及び設備のアクセシビリティを推進するための他の形態のライブ支援及び仲介者(案内者、朗読者及び手話通訳者を含む。)を提供すること。
(c) 公共の設備及びサービスのアクセシビリティに関する最低限の国内的な基準及び指針の実施を展開し、公表し及び監視すること。
(d) 公共の設備及びサービスを提供する民間主体が、障害のある人のあらゆる側面のアクセシビリティを考慮することを奨励すること。
(e) 入手可能な価格の技術を優先させて、新しい支援技術の調査、開発及び生産に着手し及びこれを促進すること。
(略)

第20条〔人のモビリティ〕
*角参事官
・19条と本条をまとめて整理する必要がある。
・(c)は、「必要に応じて」を付記し、「…生産に必要に応じて着手し、及びこれを促進すること。」にする。
<関係条項>
(c) モビリティのための新たな補助具、機器及び支援技術の調査、開発及び生産に着手し、及びこれを促進すること。

第21条〔健康及びリハビリテーションに対する権利〕
*角参事官
・目的達成のための状況づくりの一部として本条が位置づけられる必要がある。
・柱書きの「…確保するためのすべての適当な措置をとる」を、社会権規約第12条(身体及び精神の健康を享受する権利)の2項の規定にならい、「必要な措置をとる」にする。
<柱書き>
締約国は、障害のあるすべての人が、到達可能な最高水準の健康を享受する権利を、障害を理由とする差別なしに有することを認める。締約国は、障害のあるいかなる人もこの権利を奪われないことを確保するために努力するものとし、また、障害のある人が保健サービス及びリハビリテーションサービスを利用すること を確保するためのすべての適当な措置をとる。
(略)

7日目(6月2日 水曜日)

第22条〔労働の権利〕
*角参事官
・(e)の「合理的配慮」については、既存の人権条約にはない新しい概念であり、差別の定義とも関連して難しい問題を含んでいる。アファーマティブアクション(差別の積極的是正措置)等の特別措置とどのように区別できるのか、法的基準か、ガイドラインの策定からはじめていくのかを明らかにする必要がある。条文の書き振りによっては、見直すこともあり得る。
・(h)については、法的措置にとどまらず、職場の意識によっても大きな違いがある。脚注95は、第7条〔平等と非差別〕の直接・間接差別とも関連し、何をもって間接差別とするのかは他の人権諸条約でも議論が煮詰まってはいないので、条項の規定として盛り込むことは適切ではない。
・(j)の障害者に対する偏見の除去については、すでに草案第5条〔障害者に対する積極的態度の促進〕でカバーされていることから削除。

<関係条項、脚注>
(e) 職場及び労働環境における障害のある人の合理的配慮を確保すること。
(略)
(h) 雇用、職務継続、昇進、労働条件(同一価値の労働についての同一報酬及び平等の機会を含む。)及び苦情処理94 に関し法律を通じて障害のある人を保護する95こと並びに障害のある人による労働の権利及び労働組合の権利の行使を確保すること。
(略)
(j) 職場及び労働市場における障害のある人の貢献、技能、功績及び能力の承認を促進すること並びに職場及び労働市場における障害のある人に対する固定観念及び偏見と闘うこと。

第23条〔社会保障及び十分な生活水準〕
*角参事官

・(a)〜(e)の「確保するための措置」は、A規約(社会権規約)第9条及び第11条との関連でみると詳細すぎ、障害者一人一人がサービス等の提供を受けることができるようにする責任が必要以上に国にあるように読めるので、「すべての障害者に対して保障するような条件整備を行う」と修正する。
・(c)については、「重度と重複の障害」を区別すると、重度でない障害者は政府から支援を受けることができないことになりかねない。「家族」はターゲットが広がりすぎるので削除。
・(f)の「確保する」を「奨励する」に改める。
・2項の書き出しを「締約国は、他の人と同等に(略)」とする。

<関係条項>
1. 締約国は、障害のあるすべての人に対し、社会保険を含む社会保障の権利及びこの権利を障害に基づく差別なしに享有する権利を認め、かつ、この権利の実現を保護し及び促進するための適当な行動をとる。この行動は次の措置を含む。
(a) 障害のある人が、障害と関連のあるニーズにとって必要なサービス、機器その他の支援を利用することを確保するための措置
(b) 障害のある人、特に障害のある女性及び少女並びに障害のある高齢者がすべての社会保障計画及び貧困削減戦略を利用することを確保するための措置並びにすべてのこのような計画及び戦略において障害のある人のニーズ及び視点を考慮するための措置
(c) 困窮状況で生活している、重度の及び重複した障害のある人並びにその家族 が、障害と関連のある費用(十分な研修、カウンセリング、財政援助及び休息介助(レスパイト)を含む。)を賄うための国の援助を利用することを確保するための措置(これは自己を発展する意欲を阻害するものとなってはならない。)
(d) 政府の住宅供給計画への障害のある人のアクセスを確保するための措置(障害のある人に一定数割り当てられた政府の住宅供給を含む。)
(e) 障害のある人が、その所得に関して、税金を免除されることを確保するための措置
(f) 障害のある人が、障害に基づく差別なしに、生命保険及び健康保険に加入することができることを確保するための措置
2. 締約国は、障害のある人自身及びその家族のために、十分な生活水準(十分な食料、衣類、住居及び清浄な水の入手を含む。)についての及び生活条件の不断の改善についての障害のあるすべての人の権利を認め、かつ、この権利の実現を保障し及び促進するための適当な行動をとる。


8日目(6月3日 木曜日)

◆6日目から参加されている石塚さん(文部科学省初等中等教育局特別支援教育課課長補佐)と、5月27日に採択された障害者基本法の改正(「交流及び共同学習の促進」の部分)と附帯決議の教育の項目(五、障害のある児童・生徒とその保護者の意思及びニーズを尊重しつつ、障害のある児童・生徒と障害のない生徒が共に育ち学ぶ教育を受けることのできる環境整備を行うこと。)について意見交換。
*石塚課長補佐
・交流教育の概念は、もともと幅広いもの。「交流」を幅広い意味でみていけば、盲・ろう・養護学校と普通学校間の交流だけではなく、地域の普通学級に通っている障害のある子どもも「交流」の中に入っている。
・特別支援教育の対象範囲を普通学級の学習障害等の子どもに限定しているというのは誤解。文部科学省としては、当該の学校と教育委員会が学校の設備や教員の専門性が確保できていれば、障害のある子どもを受け入れてもよいという見解をとっている。2年前に改正された学校教育法施行令で盲・ろう・養護学校の就学が適当とされる「認定就学児童」の子どもが普通学級に通う場合でも、特別支援教育の対象となる。
・現行の制度では、普通学級で受け入れるための予算をつけることはできないが、学校現場で担当教員の判断だけではなく、本人・保護者、関係者の意見を聞いて判断した結果であればそれを尊重してよいと考えている。

第24条〔文化的な活動、レクリエーション、余暇及びスポーツへの参加〕
*角参事官
・1項の(a)〜(d)については、政府がカバーするものと、民間が行うものがあり、その範囲を区別することが必要。
・2項の「国際法の規定」を「国際的な同意に基づいて」に修正。
・3項のろう者の「言語的アイデンティティ」は、3条の定義の関係で検討するべきで削除が望ましい。
・4項の(a)〜(d)は、記述的になりすぎているのでシンプルなものにするべき。

<関係条項>
1. 締約国は、障害のあるすべての人が文化的な生活に参加する権利を認め、かつ、次のことを確保するためのすべての適当な措置をとる。
(a) 障害のある人が、自己の利益のためばかりでなく、その地域社会を豊かにするために、創造的、芸術的及び知的な潜在能力を育成し及び活用する機会を有すること。
(b) 障害のある人が、すべての利用可能な形態(電子文書、手話及び点字を含む。)並びに音声装置及びマルチメディアの形態を通じて、文学作品その他の文化的作品の入手を享受すること。
(c) 障害のある人が、すべての利用可能な形態(字幕及び手話を含む。)を通じて、テレビ番組、映画、演劇その他の文化的活動の鑑賞を享受すること。
(d) 障害のある人が、文化的な講演又はサービスがなされる場所(例えば、劇場、美術館、映画館、図書館、飲食場等)の訪問を享受し、かつ、可能な限度において国の文化的に重要な遺跡の訪問を享受すること。
2. 締約国は、国際法の規定を尊重すると同時に、知的財産権を保護する法令が障害のある人による文化的な作品の入手機会を妨げる不合理又は差別的な障壁とならならないことを確保するため、すべての適当な行動をとる。
3. ろう者は、他の人との平等を基礎として、その独自の文化的及び言語的なアイデンティティの承認及び支持を受ける権利を有する。
4. 締約国は、障害のある人が、他の者との平等を基礎として 、レクリエーション、余暇及びスポーツの活動に参加する権利を認め、かつ、次のことのため、適当な措置をとる。
(a) 障害のある人が、地域的、国内的および国際的なスポーツ活動の主流に参加することを奨励し及び促進すること。
(b) 障害のある人が、スポーツ活動を企画し及びそれに参加し、かつ、他の参加者に利用可能な支援について同一の指導、訓練及び資源を受ける機会を有することを確保すること。
(c) 障害のある人がスポーツ及びレクリエーションの開催地に訪れることができること並びに障害のある子どもが教育制度内のスポーツ活動関係に平等に参与することができることを確保すること。
(d) 障害のある人が、レクリエーション、余暇及びスポーツ活動に係る団体の関係者によるサービスを利用することができることを確保すること。

第25条〔監視(モニタリング)〕:第4回特別委員会に持ち越し

〔国際協力〕(作業部会報告・付属書U)
*角参事官
 ・個別の条文を設けることを支持する。国際協力の欠如はこの条約を実施しない言い訳になる可能性があると憂慮し、国際協力の明記によって条約の実施が促進されるであろう。また、それは情報交換、実践原則の交換、及び南北間、南同士、そして北同士の協力を含むと考える。
・メキシコ及び中国の提案を検討する予定であるが、メキシコ案の2(e)にある、「二国間、地域的及び国際的な経済協定を促進し」という文言が、新たな機構を作ることを意味するのか或いは既存の機構を利用することを意味するのか明確にするよう求めたい。

◆JDF準備会主催で下記のセミナーを開催
・午後1時15分〜2時45分
・主催:JDF(日本障害フォーラム)
・協力:日本国連代表部、国連ESCAP
・テーマ:障害者に対する合理的配慮
*スピーカー(敬称略)
・アンドリュー・バーンズ(オーストラリア国立大学教授)
・アヌラダ・モヒト(インド国家人権委員会、障害関係特別報告者)
・グレーム・イネス(障害差別次席弁務官、オーストラリア人権・機会均等委員会)

・長田こずえ(国連ESCAP)
・角茂樹(日本外務省)
・東俊裕(JDF、DPI日本会議)
*コーディネーター
・長瀬修(JDF、全日本手をつなぐ育成会)
・参加者約40名
・【討議資料】作業部会草案の重要条項についての意見提起(JDF準備会04年5月14日作成)の翻訳版(英文)を配布
*全体的に「合理的配慮」を考える上で、興味深い発言がスピーカーや参加者から出された。別途報告作成を検討。


9日目(6月4日 金曜日)
(午前)
前文について討議
*角参事官:言及なし
(午後)
第3回特別委員会報告 討議 採択

終了

 

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最終更新日2004.6.16