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第3回国連障害者権利条約に関する特別委員会
■■3日目(5月26日 水曜日)〜5日目(5月28日 金曜日)■■
団長である角参事官の特別委員会における発言の要旨を紹介し、代表団内での意見交換の内容を可能な範囲で報告します。
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3日目(5月26日 水曜日)
第9条[法の前における人としての平等]
午前の部(AM10:〜)開始前に、昨日の昼食時における角参事官との司法手続に関する意見交換を踏まえて、角参事官に下記の新しい追加項目の案文を渡す。
(案文)
「(g)障害のある人が、市民的政治的権利に関する国際規約において認められている刑事裁判上の防衛権及び民事裁判上の裁判を受ける権利を、他の者と平等な立場で享有し、行使することを保障するために、物理的またはコミュニケーション上の障壁を除去し、理解の困難さを軽減する適切で効果的な措置をとる。」
*角参事官の方で、部分的に上記案文の英文を修正し、下記の発言を行う。
司法手続におけるB規約(自由権規約)第14条〔公正な裁判を受ける権利〕の趣旨を踏まえて、手続上における適切な理解に対する困難をカバーするために、本条の(f)項の後に新しいパラグラフ(上記案文)を追加する。
知的障害者が現場において何が起きたかわからない、または視覚・聴覚の障害者も同じような状況に置かれている場合には、司法の公正な手続を確保することが必要である。
→日本政府の発言に対して、ボツワナ、II(インクルージョンインターナショナル)、DPIからも「支持」の発言が行われる。午前の部が終了後、IIの当事者委員であるロバートマーチンさんからも感謝の言葉が寄せられた。
第10条[身体の自由及び安全]
*角参事官の発言
2項(c)の(A)(定期的な審査)を削除。不服の申立や司法(裁判)に訴えることの方が、定期的な審査よりも重要である。現行の権限のある裁判所等の制度を使う方が有効に機能する。
2項(d)については、部分的に同じことを言っているので「…又はこの条約に違反して障害に基づいて自由が奪われた…」を削除する。
第11条「拷問または残虐な非人道的な若しくは品位を傷つける取り扱い若しくは刑罰からの自由」
*角参事官の発言
条項の重複を避けるため、2項の2行目を「…医学的又は科学的実験を受けることを禁止する。」で区切り、その後の条文は、12条2項に移す。
第12条「暴力及び虐待からの自由」
*角参事官の発言
2項について、強制収容と医療が混在している。EUの提案(強制的介入、収容、原則としては法律違反。しかし、例外的な場合もあり、法的な基準は必要)に賛成する。
会議終了後、午後7時より、宿泊ホテルロビーでJDF準備会の派遣団メンバーの会議を行う。第9条の司法手続きの日本提案は、昨日からの角参事官(日本政府代表)とのやりとりの成果であることが報告される。
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4日目(5月27日 木曜日)
午前の委員会開始前に、障害者基本法の改正案と附帯決議案が参議院内閣委員会で採択されたことを受け、附帯決議案三項の救済規定に関連して、草案の一般的義務(第4関係)か監視〔モニタリング〕(第25条、国内的実施の枠組)のところに適切な内容で盛り込めないかを検討してもらいたいという趣旨で、以下の内容を記したメモをNGOから角参事官に渡した。
(メモ)「締約国は、障害者に対する障害を理由とする差別や虐待などの権利利益侵害が行われた場合の、迅速かつ効果的な救済のために必要な法的措置を行う。」
第13条〔表現及び意見の自由、情報を利用する機会〕
*角参事官
本条では、公的分野(a)〜(e)と、私的分野(f)(g)に区別していることは評価したい。
(a)項の「適時に…公共の情報を提供すること。」については、公共の提供がすべてではなく、公的機関が民間機関に委ねて情報提供する場合がいい場合もある。
したがって、この部分は「適切な段階を経ることにより、最大限利用可能な情報提供を促進する」に変更することを提案する。
(e)項については、脚注43のコミュニケーションの支援者、仲介者の提供及び訓練第については、第19条(アクセシビリティ)の条項で検討する方が望ましい。
<参考>第13条
締約国は、点字、手話及び障害のある人が選択した他のコミュニケーション様式
を通じて、障害のある人が表現及び意見の自由を行使することができることを確保するためのすべての適当な措置をとる。また、締約国は、障害のある人が、他の人と平等な立場で、情報を求め、受け及び伝えるためのすべての適当な措置をとる。この措置は次のことを含む。
(a)
多様な種別の障害を考慮して、障害のある人に対し、その要請に応じ、適時に、追加の費用を伴わず、かつ、その選択した利用可能な形態及び技術を用いて、公共の情報を提供すること。
(b) 障害のある人が代替的なコミュニケーション様式を公の対話において使用することを是認すること。
(c) 代替的及び拡大的なコミュニケーション様式を使用することができるように障害のある人を教育すること。
(d) 障害のある人に適した新たな技術(情報通信技術及び支援技術を含む。)の研究、開発及び生産に着手し及びそれを促進すること。
(e) 情報への障害のある人のアクセスを確保するための他の適当な形態の援助及び支援を促進すること。
(f) 公衆にサービスを提供する民間主体が、その情報及びサービスを障害のある人にとって利用可能かつ使用可能な形態で提供することを奨励すること。
(g) マスメディアが、そのサービスを障害のある人にとって利用可能なものにすることを奨励すること。
第14条〔プライバシー、住居及び家族の尊重〕
* 角参事官
1項については、特別の権利を付与する趣旨ではないので、「一般と同等に(equally with other persons)」という言葉を挿入すべきである。
同項(e)の「直接的又は間接的」という文言は分かりにくいので、削除し、その代わりに「all kinds of disabilities」を挿入する。
<参考:関係条項、脚注>
2. この条約の締約国は、婚姻及び家族関係
に係るすべての事項において、障害のある人に対する差別を撤廃するための効果的かつ適当な措置をとるものとし、特に、次のことを確保する。
(c)
障害のある人が子どもの数及び出産間隔について自由にかつ責任をもって決定する権利(他の者との平等を基礎とする。48)並びに障害のある人にこの権利を行使することができるようにするために必要な情報、生殖及び家族計画に関する教育並びに手段にアクセスできる権利。
(d)
子どもの後見、監督、管財、養子縁組又は国内法令にこれらに類する制度が存在する場合にはその制度についての障害のある人の権利。これらの権利を保障するため、締約国は、障害のある親が子どもの養育についての責任を遂行するに当たり、その者に適当な支援を与える。
(e)
子どもがその親から分離されないこと。ただし、権限のある当局が、司法の審査に従うことを条件として、適用可能な法律及び手続に従ってその分離が子どもの最善の利益のために必要であると決定するときは、この限りでない。子どもは、障害のある親から、その障害を直接的又は間接的な理由として分離されない。50
<脚注>
48 作業部会の理解では、この条文草案は、家族の人数に関する締約国の国内政策について取り扱うものでなく、この点につき、障害のある人が公衆と異なって取り扱われるべきないことを単に規定するものである。それゆえ、特別委員会は、このサブパラグラフにおいて「他の人との平等を基礎とする」という表現が必要であるか否かを検討することを望むかもしれない。
50 特別委員会は、このサブパラグラフの第2文のための他の案を検討することを望むかもしれない。この案には、「直接的又は間接的な」という文言を削除すること、この文言を「のみ」に置き換えること、又は、この文に関する肯定的な案(たとえば、「締約国は、障害のある人に対し、その子どもと共に暮らすことができるようにするための適当な支援を与える」等)による置換が含まれる。
■5日目(5月28日 金曜日)
◆午前の部の開始前に、中村さん(外務省条約局国際協定課課長補佐 26日午後から参加)に、救済に関する規定を位置づけるとしたら、草案の「一般的義務」(第4条)か、国内実施措置〔モニタリング〕(第25条)のどちらが適切なのかという点について聞いてみた。
「一般的義務」のところで、条文の書きぶりを曖昧にすると司法救済も入ってきて、そうなると国内の司法制度との関連が出てきて国内的な措置としては困難になる。
理由は、「救済」は自由権(即時的実施)と対応関係にあるため、社会権に関する漸進的実施については、ある事案について30年も40年も何もしなかったというのは話にならないが、基本的に対象外に置かれる。
そう考えると、「一般的義務」よりも、国内実施措置(モニタリング)の仕組みの機能の中に位置づけた方が、行政救済や準司法的救済が位置づけやすくなり、検討の余地、可能性が出てくるのかもしれない。
第15条〔地域生活における自立した生活及びインクルージョン〕
*角参事官
(a)と(b)は自由権(即時的実施)、(c)と(d)は社会権(漸進的実施)として位置づけられる。(b)の趣旨は、すでに(a)でカバーされており、第10条1項(b)とも部分的に重なっているため、(b)は削除し第10条に移すことが適当である。
(a)はそのままとし、(e)を新たな(b)として一まとめにする。(c)(d)は、一つにまとめた上で漸進的な実現を図る趣旨の文言を入れることを提案する。
<関係条項>
この条約の締約国は、障害のある人が自立した生活を営み、かつ、地域社会で完全に暮らすことができるための適当かつ効果的な措置をとる。この措置は次のことを含む。
(a) 障害のある人が、その居所及び生活形式を選択する平等な機会を有することを確保すること。
(b) 障害のある人が、施設への収容及び特定の生活形式を義務づけられないことを確保すること52。
(c)
地域社会における生活及びインクルージョンを支援するために並びに地域社会からの孤立及び隔離を防止するために必要な居宅サービス、在宅サービスその他の地域社会支援サービス(人的支援を含む。)を障害のある人が利用できることを確保すること53。
(d) 公衆向けの地域社会サービスが、平等を基礎として障害のある人に利用可能であり、かつ、そのニーズに適合することを確保すること。
(e) 障害のある人が、利用可能な支援サービスに関する情報にアクセスできることを確保すること。
<関係脚注>
52作業部会の構成員の中には、この原則を受け入れる一方、締約国がこの原則を例外なしに保障することは難しいと考えた者もいる。他の構成員の中には、この論点はパラグラフ1(a)で取り扱われているので、このパラグラフが余分であると考えた者もいる。
53作業部会の構成員の中には、締約国が、パラグラフ1(c)及び(d)で言及されているサービスの利用可能性を確保すること、特にサブパラグラフ1(c)における人的支援の提供を約束することを確保することが困難であると考えた者もいる。
第16条「障害のある子ども」
*角参事官
障害のある子どもの権利の重要性は認識している。本条は、5項以外は子どもの権利条約第23条(障害児の権利)でカバーできるため、EUの立場に賛成。ワーキンググループの提示した草案は、子どもの権利条約第23条がバラバラな形で入っており、このままでは各国の立法機関は混乱を避けられない。
(EUの立場)
「本条は、子どもの権利条約の第23条にすでに含まれているものに付け加えるものはないと考える。本条の価値は疑問。本条約はすべての障害のある人に適用されるべきであり、障害のある人の中のカテゴリー間で区別をつけることは好ましくないと考える。そうすることが、一定のカテゴリーの人がその他の人よりも少ない権利しか与えられていないという印象を与えることになるからである」として本条を削除する提案をした。子どもについての言及は、前文で行うというものであった。(玉村報告から)
<関係条項>
5.
障害のある子ども及びその親、又は障害のある子どもの法的責任を負う若しくはそのケアを行う他の者は、適当な情報、照会及びカウンセリングを提供されるものとする。このようにして利用可能とされる情報は、それらの者に対し、それらの者が十分かつインクルーシブな生活を営む潜在能力及び権利についての肯定的な見方を提供しなければならない。
◆昼食時に、第17条(教育)に関連して、角参事官に私(キム)から下記の意見を述べた。
・現行の学校教育法施行令における盲・ろう・養護学校が適切であるとする認定就学児童の基準では、画一的な障害の程度のみで、養護学校就学が決められている。子どもの可能性を最初から奪ってしまうのが今の制度である。
・従来から文部科学省が言ってきた「重度・重複障害児への教育のためにも特別(分離)教育の形態が必要である」という趣旨の発言をすることは、大変ネガティブな印象を与えかねず、むしろ本人や親などの意思を最大限尊重した選択肢の提供が必要であるという考えかたを前面に出していただきたい。
第17条「教育」
*角参事官
(玉村報告)
日本政府は、
1項については、原案を支持。
2項については、この項全体を努力義務と位置づけたEU案を、この条項を実現する上でバランスが取れているとして、支持。
3項の柱書と(a)(b)は原案を支持。(c)については、EUの提案の最後に、「upon careful consideration of the best
interests of students with disability(障害のある生徒の最善の利益を慎重に考慮した上で)」を付加し、限定を加える.
4項については、EU案を支持。
5項については、原案を支持。
◆EUの提案(提案書あり)は、11点の修正提案であるが、主要なものとしては以下のものである。
パラグラフ1「この権利を漸進的に・・・達成するため」を削除。「子ども」を「人」
にかえる。
パラグラフ2で endeavour
to を挿入して、「確保するよう努める」と努力義務規定に
したこと。
パラグラフ2−a can
choose(選ぶことができる)を can avail of(利用することがで
きる)としたこと。
パラグラフ3 「一般教育システムがいまだ障害のある人のニーズを適切に満たしていないところでは、締約国は代替的な教育の形態を促進するために適切な手段をとるものとする。本条の下で提供されるいかなる代替的な教育の形態も(次のようなものとしなければならない)」に変更。
パラグラフ3−c 「十分な説明に基づく自由な」を削除し、「一般教育体系と特別教育体系の選択を許す」に変更。
パラグラフ4 「締約国は、障害のある人が多様なコミュニケーション様式を用いた教授を選択できることを確保するため、適切な手段を取るものとし、教師が違ったコミュニケーション様式を用いることを確保することによって、障害のある就学者(student・生徒・学生)に対し質の高い教育を確保するものとする」に変更。
<関係条項>
第17条〔教育〕
1.
締約国は、教育についての障害のあるすべての人の権利を認める。この権利を漸進的にかつ機会の平等を基礎として達成するため、障害のある子どもの教育は次のことを指向するものとする。
(a) 人間の潜在能力、尊厳の意識及び自尊の意識の完全な発達並びに人権、基本的自由及び人間の多様性の尊重の強化
(b) 障害のあるすべての人が自由な社会に効果的に参加することができるようにすること。
(c) 子どもの人格、才能並びに精神的及び身体的な能力の可能な最大限度までの発達
(d) とりわけ、教育を個人の特殊事情に合わせることにより、子どもの最善の利益を考慮すること。
2. この権利を実現するため、締約国は次のことを確保する。
(a)
障害のあるすべての人が、自己の属する地域社会において、インクルーシブかつ利用可能な教育を選択することができること(幼年期及び就学前の教育の利用を含む。)。
(b)
必要とされる支援(教員、学校のカウンセラー及び心理学者の専門的研修、利用可能な履修課程、利用可能な教育の媒体及び技術、代替的及び拡大的なコミュニケーション様式、代替的な学習計画、利用可能な物理的環境、又は障害のある学生の完全な参加を確保するための他の合理的配慮を含む。)を提供すること。
(c) いかなる障害のある子どもも、その障害を理由として、無償のかつ義務的な初等教育から排除されないこと。
3.
締約国は、一般教育制度が障害のある人のニーズを十分に満たしていない場合には、特別の又は代替的な学習形態を利用可能なものにすることを確保する。いかなる特別の又は代替的な学習形態も、
(a) 一般教育制度で提供される同一の基準及び趣旨を反映しなければならない。
(b) 一般教育制度への障害のある子どもの参加を最大限可能な程度まで認めるようにして提供されなければならない。
(c) 一般制度か特別制度かを十分な説明に基づいて自由に選択することを認めなければならない。
(d) いかなる意味においても、障害のある学生のニーズを一般教育制度において満たすことに引き続き努める締約国の義務を制限するものであってはならない。
4.
締約国は、感覚的な障害のある子どもが、適当な場合には手話又は点字の教育を受けること及び手話又は点字で履修することを選択することができることを確保する。締約国は、手話又は点字に通じた教員の雇用を確保することにより、感覚的な障害のある学生に対する良い教育を確保するための適当な措置をとる
。
5.
締約国は、障害のある人が、他の者との平等を基礎として、高等教育、職業訓練、成人教育及び生涯学習を利用することができることを確保する。このため、締約国は障害のある人に適当な支援を与える。
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最終更新日2004.6.16
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