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障害者を取り巻く問題障害者の権利条約 制定へ向けて第3回国連障害者権利条約に関する特別委員会

第3回国連障害者権利条約に関する特別委員会
■■1日目(5月24日 月曜日)〜2日目(5月25日 火曜日)■■
       

団長である角参事官の特別委員会における発言の要旨を紹介し、代表団内での意見交換の内容を可能な範囲で報告します。

 

1日目(5月24日 月曜日)
 

第1条[目的]
(午前中の登録手続がおくれたため、途中からの入場で十分聞けていない。)

第2条[一般的原則]
角参事官の発言

(a)〜(e)については、一般的には賛成である。
日本としては、権利の自由権的内容(即時的実施)とそれ以外の社会権的内容(漸進的実施)の双方を含めるアプローチを基本的に支持している。日本も、「バリアフリー環境の実現」を基本に社会的な面だけでなく、精神的な面(偏見などの意識上のバリア)も含めて社会の改善をする必要があると考えている。
原則を文書として記述する場合には、例えば「この条約の目的を実現するために、行動において締約国は、次のような原則を導き出す必要がある」等の書きぶりがあるのではないか。

 

第3条[定義]
*角参事官の発言
(「障害」「障害のある人」「障害を理由とする差別」の)定義については、国によって状況や法制度の違いがあり、法的義務も出てくる。一旦、定義を決めてしまうと各国政府に対して大きな負荷を課してしまうことになるため、各国の政治的、経済的、文化的事情や法制度の違いを反映し、多くの国が締結できるように柔軟なものにしていく必要がある。
差別の定義については、女子差別、人種差別撤廃条約等の定義関連を参考にして、各国ごとの法制度などにも配慮して検討すべき。

第4条[一般的義務]
*角参事官の発言
本条に含まれていない要素として、障害者の権利の擁護・促進のためには、障害者をエンパワーメントし、自己の能力をフルに開花させ、自活していくことを支援するという観点が欠かせないが、本条では、その観点が落ちているため、次の点を新しく明記することを提案する。→「自己の能力を最大限発揮することで、障害者自ら充足することのできる
環境を整備する」

(※参考〔日本政府のポジションペーパー 03年12月〕:(1)目的 障害者を特別視するのではなく、一般社会の中で普通の生活が送れるような条件を整えるべきであり、(略)障害者の自立を促進し、社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動への参加を促進することを障害者権利条約の目的の柱として提案する。(2)盛り込むべき原則(ハ)他方、障害者の社会への参加、参画を実質的なものとするためには、障害者の活動を制限し、社会への参加を制約している諸要因を除去するとともに障害者が自らの能力を最大限発揮し自己実現するよう可能な限り支援するべき。(ニ)障害の有無にかかわらず、誰もがその能力を最大限発揮しながら、安全に安心して生活できるよう、ソフト・ハード両面にわたる社会のバリアフリー化を可能な限り推進する。)

「救済措置」(脚注18関係)については、条約が自由権、社会権(注:社会権規約には、救済に関する規定はない)の双方の実現を求めているため、「一般的義務」の条文に一律に規定される条文を置くのは難しい。


2日目(5月25日 火曜日)
 

第5条[障害がある人に対する肯定的態度の促進]
*角参事官
社会全体としての意識向上が必要であり、このままでよい。(議長から、積極的な意見として評価される)
第6条[統計およびデータ収集]
*角参事官
統計・データ-自体は、障害者の実態や現状を踏まえた対策を取るためには必要なので賛成。政策ツールとして役立つものであるが、プライバシー保護の保障が必要。
(d)・(e)項については、あまりに詳しく限定的になっている。この点は各国の政策判断の問題であり、少なくとも義務づけることにはなってはいけないで反対。
 
第7条[平等および非差別]
*角参事官の発言
2項−(b)の直接差別と間接差別のちがいの基準、または「認識された障害」の基準が明らかでないため、1項及び2項(a)の「差別とは、あらゆる区別、排除、制限であって…」の中に含められることから、削除を求める。(脚注24,25関係)
 
脚注24. 作業部会の構成員の中には、この条約は直接的差別と間接的差別の双方に明確に言及すべきであると考えた者もいる。他の構成員の中には、両形態の差別の区別は十分に明白でないと考えた者もいる。そのような者は、パラグラフ1の「あらゆる形態の差別」とパラグラフ2(a)の差別の「効果」の双方が、間接的差別の概念を包摂していると考えた。
25. 特別委員会は、この用語の範囲について検討し、この用語が、障害のある人が自分自身について認識する場合と社会が障害のある人を認識する場合とのどちらに適用されるか、を検討することを望むかもしれない。
 

3項(差別の免責事由)については、悪用される可能性があるので「既存の人権諸条約の内容と合致する範囲内で」という限定を付すべきだ。(脚注26関係)

脚注26. このパラグラフは、中核的な国際人権諸条約のいずれにも見られないものだが、この概念は、それらの条約体の法解釈において発展してきたものである。自由権規約委員会は、たとえば、市民的及び政治的権利に関する国際規約第26条に関する一般的意見にこの概念を含めた。作業部会は、特別委員会の検討のために、三つの選択肢を討議した。a) このパラグラフを条約本文に含めるべきでない。b) このパラグラフは、間接的差別の禁止の例外としてのみ、含められるべきである。c) このパラグラフは、あらゆる形態の差別に適用すべきである。これらの選択肢に加えて、作業部会の構成員の中には、このパラグラフの末尾に「並びに国際人権法に合致する」という表現を加えることを提案した者もいる。特別委員会は、「合理的配慮」という用語を検討する場合には、次の諸点を検討することを望むかもしれない。
脚注27. 作業部会は、非差別原則の遵守を確保するために、この条約には「合理的配慮」のような概念が必要であると考えた。
 この概念が多様な部門(たとえば、雇用や教育など)に難なく適用され得ることを確保するために、また、法的伝統の多様性を尊重するために、この概念を一般的で柔軟性のあるものにする必要があることに対して、作業部会で広範な合意が得られた。
 また、「合理的配慮」に帰するところになるものを決定する過程は、(それが個人に特有な配慮の必要を意識的に取り扱うべきであるという意味で)個別化されるべきであるとともに、その過程では個人とその関係のある主体とが相互に協力するべきである。ある主体がいかなる特定の「合理的配慮」をも受け入れるように個人に強制することは許されないと解される。しかしまた、一定の幅のある「合理的配慮」――各々の合理的配慮は当然合理的なものであるが――が利用可能な状況においては、個人は自己に好ましいものを選択する権利を有しないと考えられた。
 使用者及びサービス提供者が合理的配慮を提供しない理由として「不釣合いな負担」を援用することは、国の資金の使用可能性によって制約されるべきであるとの一般的な合意があった。
 作業部会の構成員の中には、「合理的配慮」の欠如がそれ自体差別を構成するとの提案を支持した者もいる。この見解を支えるものとして、社会権規約委員会の一般的意見5を強調した者もいる。
 作業部会の構成員の中には、「合理的配慮」の概念が関係国内法令の下で実現され又は形成される方法を、この条約は命ずるべきでないと考えた者もいる。特に、そのような者は、国の責任を主として規定するための国際的な法的文書が、民間主体の側の「合理的配慮」の欠如を非差別原則の侵害として構成することは不適切であるとの見解を表明した。

「特別措置」に期限を設けるべきか、または永続的なものにするべきかについては、女子差別撤廃条約第4条の2において、母性を保護するための積極的措置を暫定的なものと位置づけていないことを踏まえる必要がある。「合理的配慮」が行われたとしても必然的に能力差が生じる重度障害者等に対する積極的措置は、期限を設けない方がいい場合もある。すべての「特別措置」について、将来的に廃止するという考え方は適当ではない。
(脚注28、29関係)

脚注28. 「特別措置」という語は、他の国際人権条約で用いられている。特別委員会は、この語を障害の文脈で用いることの適切性について、また、代替的な語が用いられ得るか否かについて討議することを望むかもしれない。
脚注29. 特別委員会は、障害の文脈における特別措置が時間的に制約されるべきものか、あるいは、より永続的なものであるべきか、を討議することを望むかもしれない。
 
第8条[Right to life  生命に対する権利]
*角参事官

このパラグラフをそのまま維持することを支持する。武力紛争、自然災害、内戦などの状況下での生命に対する権利を盛り込むという数カ国の提案に対しては、このパラグラフが意図している趣旨を希薄化させる可能性があるので、別の条項で検討すべき。
 

◆昼食時、角参事官へNGOから意見具申
@第7条3項(差別の免責事由)については、既存の人権諸条約にはどこにも規定がない中で、ことさらに障害者の条約に特化してこれを盛り込むと、各条の実体規定との関係で、必ず既存の人権条約よりも下回るものになるのではないか。例えば運転免許の資格取得の場合を考えても、資格取得に必要な要件(技能等)を満たしているかどうかで個別的に判断されるべきで、一律に〜の障害に対して一定の制限をすることになれば、差別の放置につながる可能性がある。
第7条で位置づけると、「あらゆる形態の差別」に適用される恐れがある。政府として、どうしても必要があるとするのであれば、各条ごとに検討して必要と思われる場合に提案するべきで、この点はぜひ見直してほしい。
A司法手続との関係で、もう少し踏みこんだ条項が必要だと思う。例えば刑事事件で知的障害者やろう者等が被疑者になった場合に、取調官の問いにすべて「Yes」と答えたり、手話通訳者がいないために対応できない場合が多くある。現行法で保障されている一般の権利は障害者にとってなきに等しい状態であるが、サポートできる規定がまったくない。

 

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最終更新日2004.6.16