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第6回DPI世界会議札幌大会報告集 世界の障害者―われら自身の声

Q&A 

障害者の機会均等化に関する基準規則ってなんだろう?(5)

(「われら自身の声」記事より)瀬山紀子(お茶の水女子大学 大学院)


さて、今回は気になる就労に関する課題(規則7)と、所得保障、社会保障に関する課題を取り上げます。

Q.就労に関して、基準規則ではどのような行動を政府に求めているのですか?
A 基準規則7には、「就労分野での法と規則は、障害を持つ人を差別してはならず、その就労への障壁を築いてはならない」と書かれています。現在、障害を持つ人たちの就労への障壁となっているものには、どのようなものがあるでしょうか。特定の職に就くのに必要な資格などの受験資格に、障害を理由とした欠格条項による門前払いはないでしょうか。もしあるとしたら、それは就労への大きな障壁です。基準規則によれば、そのような障壁は取り除かれるべきものです。しかし、現在もなお専門職の資格試験を受験するときや、試験の行なわれ方そのものにさまざまな欠格条項や差別が存在しています。現在、政府によって進められている欠格条項の見直し作業も、この就労に関する基準規則に照らして考えてみることができます。また、障壁には、職場などの働く物理的な環境に関わることもあります。規則では「職場と職場構内を多様な障害を持つ人が利用できるように設計し、適応させる方策」を政府の行動計画に入れるべきであると書かれています。アメリカをはじめとする障害者差別禁止法をもつ国では、合理的な配慮義務があるのにも関わらず、職場環境などの整備を怠っていることが明らかになると、それは「差別」であると定義されます。
 日本では、「障害者の雇用の促進等に関する法律」という国の法律に基づいて、民間企業、国、地方公共団体に対して、一定の割合の身体的な障害を持つ人、知的障害を持つ人を雇うことが義務づけられています。しかし、この法律は、障害を持つ人の働く権利を掲げた障害を持つ人のための法律ではなく、障害を持つ人を雇う会社などのための法律です。基準規則では、「政府は、障害を持つ人の通常の就労への統合を積極的に支援すべきである」と書かれており、政府は、障害を持つ人が働く権利を行使するために、障害を持つ人々に力を与えなければならないと書かれています。その意味でも、身近な会社や地方公共団体で、障害を持つ人が働く権利を行使し、それぞれの働き方で働ける制度的な基盤づくりは、これからの大きな課題だということができます。

Q.所得保障と社会保障については、どんな規則が設けられていますか?
A 所得保障・社会保障は、障害を持った人たちが、生活することを保障するための重要な課題です。基準規則では、「政府は障害もしくは障害に関する要素によって一時的に所得を失った、もしくは減らした、または就労機会を否定された障害を持つ人に対し、適切な所得援助の提供を保障すべきである」と書かれています。一つ前の就労の項に書いたように、障害をもつことで、就労機会を否定されたり、障害を理由にして職をもてない状態に置かれることは、基準規則が定める機会均等化に反することです。基準規則では、あくまでも、障害を持つ人が通常の就労へ統合されるための支援を前提とした、所得保障・社会保障の仕組みを作ることが目指されています。
 同時に、所得保障や社会保障は、障害を持つ人に対する差別的取り扱いにつながるものであってはなりません。その意味で、所得保障制度、また社会保障制度は、障害をもつ人だけを対象とするのではなく、広い意味で、すべての人(将来、障害をもつ可能性のある人という意味でも)が利用可能な制度として確立させるべきだとする議論もあります。

 

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