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第6回DPI世界会議札幌大会報告集 世界の障害者―われら自身の声

Q&A 

障害者の機会均等化に関する基準規則ってなんだろう?(1)

(「われら自身の声」記事より)瀬山紀子(お茶の水女子大学 大学院)


 皆さんも、これまでも集会や本、また本機関誌の記事でも「障害者の機会均等化に関する基準規則」について読んだり、聞いたりしたことがあると思います。でも、基準規則ってどんなもので、いつどのようにしてできたのか、それを自分たちがどんなふうに活用していけばいいのか、わからないという方もいると思います。そこで、本誌では今回から数回に分けて基準規則について取り上げその有効性や具体的な活用法を考えてみたいと思います。今回は、連載の第一回目なので基準規則の全体像、作成までの過程や活用法を取り上げていきます。

Q 基準規則ってなぁに?

A 「障害者の機会均等化に関する基準規則」とは、1993年12月の国連総会で採択された障害者の社会参加や機会均等化、アクセシビリティ、教育などさまざまな分野にまたがる国際的な基準、ルールを示した規則です(基準規則の構成を参照してください)。皆さんもご存じの1981年の国際障害者年は、「障害者の完全参加と平等」を掲げた国際的な取り組みを促す年でした。(DPIも1981年に結成されました。)それに引き続いて1983年から1992年には国連障害者の十年が設定されました。基準規則は、この国連障害者の十年が終わった次の年に国連で採択されたのです。
 1981年の国際障害者年の次の年に国連総会で「障害者に関する世界行動計画」が採択されました。国際障害者年に関する宣言においてすでにとりあげられ、1981年にはすでに定着していた、“ハンディキャップ”は、障害をもつ人と“社会的な環境”との関連によって生じるものという定義を世界的に広げることとなりました。“障害”は個々人の身体的、医学的な問題にとどまらない社会的な環境や社会的な条件(例えば、駅や建物にある段差やさまざまな“障壁”や障害者の社会参加を阻む法制度など)によって作られているということが示されたのです。(この新しいリハビリテーションの定義は、DPIを結成した人たちが中心となってつくられたという経緯があります。障害を持つ人たち自らがそれまでの専門家によるコントロールを覆そうと作り上げ、認めさせたという意義がこの行動計画にはありました。)
 基準規則では、81年に採択された世界行動計画を実行に移していくためのもので、そこでは社会的な環境や社会的な条件を改善していく具体的な道筋と各国政府の取り組み状況の報告義務(モニタリング)が示されています。

Q 基準規則は、各国の政府にどのような拘束力を持つのですか?

A 基準規則が採択されるより数年前(1987)に、国連専門家会議で「障害者に関する差別撤廃条約」の提案と検討がなされています。条約化の提案は、実際には検討に終わり実現を見てはいません。特定の集団に対する差別撤廃を掲げた条約が必要か否かが問われたのです。日本も条約化に対して消極的だった国の一つです。でも、これから先、国連で女性への差別撤廃が条約化(1979)されたように、障害者への差別撤廃が条約化される可能性もあります。国連で差別禁止が条約化されるともちろん「規則」に比べて各国政府に対する拘束力が今よりも増すことになります。とはいえ、女子差別撤廃条約をみても必ずしも条約化されたことによって即国内の差別が撤廃される方向に向かっているとは言えないことも確かです。
 現在ある基準規則は、差別撤廃条約ほど拘束力を持たないとはいえもちろん全く力が無いわけではありません。基準規則には、各国政府へのモニタリング(障害者差別をめぐる各国の現状を基準規則に即して監視していくこと)に関する規定があります。これが、この基準規則の大きな特徴です。各国政府は、自分たちの国の社会的な環境や制度が基準規則に照らし合わせてどのような状況にあるのかを判断し、報告することが求められているのです。しかし、油断してはいけません。日本政府が提出した回答を見ても、基準規則に照らし合わせた制度の改変を積極的に行っていくという方針は見えてこないのです。それには、私たちの側が基準規則を理解し、それと国内の状況との隔たりを政府に積極的に提示していくことが求められるのではないでしょうか。

Q 基準規則をどんな風に活用していくことができますか?

A DPI障害者権利擁護センターで発行しているTOOL BOXは御存知ですか?この本は、詳しい書名を『国連障害者の機会均等化に関する基準規則を地域で生かすガイドブック-TOOLBOX-』といいます。作成したのは、フィンランド障害者協議会で、基準規則を私たち一人一人が身近な地域や社会で使いこなしていくための道具として活用するための具体的な提案をしています。この本は、私たち一人一人が暮らす身近な地域が障害をもっていても生きて行きやすい場所となっているかを基準規則に則してチェックしてみることを提案しています。例えば、「文化活動を享受する権利」という項目では、「美術館では視覚障害者は作品に触れることが許されていますか?美術館はろう者のために手話による案内か、案内に手話通訳者をつけるサービスを提供してくれますか?」など、具体的な質問が用意されています。これを読むことで、私たちは基準規則が私たちの身近な生活をどのようにサポートしてくれるのか、私たちにはどのような権利があるのかをとても具体的に知ることができるのです。

 基準規則は、私たち一人一人の生活をより暮らしやすいものにしていくための具体的な方法を私たちに教えてくれるとても便利で有効なものです。次回は、基準規則の具体的な中身を見ていくことにしましょう。
(★基準規則に関する質問や活用法についてのアイデアがあったら本誌編集部までぜひ声をお寄せください。)

 

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