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トップページ障害者を取り巻く問題障害者雇用率未達成企業名開示

2003(平成15)年5月16日

声  明  文

障害者雇用における未達成企業の開示請求を求める裁判弁護団

 障害者雇用促進法の前身である身体障害者雇用促進法において1967年に法定雇用率の制度が定められてから既に30年以上もの長期間が経過しました。この間,1976年の同法の改正により雇用義務が「努力義務」から「法的義務」に変わり,1987年には同法の改正により,身体障害者雇用促進法が障害者雇用促進法になり,法の対象を身体障害者だけでなく,知的障害者を含めた障害者に拡大する改正が行われています。このように,同法においては,障害者の雇用に対する企業の社会的責任が強調されています。法定雇用率についても,1967年から幾度も引き上げられ,1998年には,0.2ポイント引き上げられ,民間企業においては1.8%になっています。
 それにもかかわらず,日本の企業の大半はいまだに法定雇用率を達成していません。それどころか,現在においては,長く続く不況のもと,障害者に対する解雇が急増している状況にあります。これでは,企業は社会的責任を十分に果たしていないと言わざるを得ません。厚生労働省が平成14年8月に発表した「身体障害児・者実態調査結果」(平成13年6月1日調査)中の「就業状況別身体障害者数及び就業率の年次推移」によると,平成3年に30.1%であった就業率が,平成13年には23.3%に減少しています。平成13年の23.3%という就業率は,過去の調査と比べても著しく低い就業率であり,一般の就業率(59.4%)と対比しても40%に満たない数字です。
 企業の側で障害者の雇用を促進しようとするならば,企業によっては新たな設備が必要であったり,障害者の就業を可能とするための方策を講じる必要がある場合が考えられますが,これまで必ずしも積極的にその努力を行ってこなかった企業が状況の改善を行うにはきっかけとなるものが必要であると私たちは認識しております。そのきっかけとして企業の名が開示されることは有益であります。さらにいえば,企業が障害者雇用促進法障害者の雇用が少ないことを反省し障害者雇用促進法その上で障害者雇用の促進に取り組んでいくことを社会にアピールすることは,むしろ企業の社会的評価を高くするものであります。
 他方,障害者雇用促進法は,雇入計画作成命令,公表制度等,雇用率達成指導に関連する制度を法定していますが,厚生労働省がどのような基準でこの制度を適用するかを明示していなかったため,厚生労働省が果たして適正に企業に対して雇用率達成指導を行っていたかが明確ではありませんでした。むしろ,上記のような障害者の就業状況に鑑みれば,厚生労働省のなす指導は十分ではなかったといわざるを得ません。
 私たちがこの度情報公開請求訴訟を提起した目的は,情報公開により,法定雇用率を下回る企業に対して障害者雇用を促進する契機を与え,かつ,厚生労働省が適正な雇用率達成指導について国民に対して説明責任を果たせ,国民的な議論を深めて行くことにあります。
 この度,本件訴訟において一部勝訴判決を得ることが出来ました。全面勝訴判決に至らなかったことは,残念ではありますが,裁判所が審査会の裁決の厚生労働省の答申を追認したことは,障害者の雇用状況に対する企業の社会的責任を十分に考慮したからに他ならないと考えます。
 この判決を契機に,厚生労働省が一層,雇用率達成指導を強化していくことを望みます。また,法定雇用率未達成の各企業がその社会的責任を十分に認識し,今後障害者の雇用促進に対して,一層努力をすることを求めるものであります。