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トップページ障害者を取り巻く問題> 就労問題>障害者雇用率未達成企業名開示

■■ これまでの経緯  


 今回の情報公開は、2001年5月17日、日本航空の低い障害者雇用をめぐり、同社の株主オンブズマンである関西の森岡孝二大学教授他2名が、90年以降の歴代社長3人を相手に起こしていた株主代表訴訟で、「日航側が障害者雇用促進法が求める法定雇用率について2010年度までに達成すること」、「2001年(平成13年)度末までに全国平均の雇用率を達成すること」、「障害者の補助器機を導入するなど支援体制を推進すること」、「法定雇用率に達成するまでの間、その年度毎の雇用率をホームページで公表する」という法定雇用率を実現するための初めての訴訟として画期的な和解が成立したことが契機となっています。この訴訟に参加した弁護士や株主オンブズマンも含めた市民団体が、この次に同じような訴訟を提起することを含め、障害者法定雇用率実現のための方策を練って考えたのが障害者雇用率の情報開示請求でした。

 東京では、2001年10月7日、DPI(障害者インターナショナル)日本会議の金政玉氏が開示請求人となり、東京労働局長に対して障害者雇入れ計画の実施状況報告書(雇用率が低い企業に対し雇入れ計画を出させる報告書で、これがきちんとされない場合に制裁的な公表がされることになっているもの)と雇用率未達成企業一覧を、情報公開法に基づきそれぞれの全面開示請求を行いました。しかし、東京労働局長は同年12月10日、殆どの部分を不開示とする決定をしたため、2002年2月1日付で本件不開示決定につき厚生労働大臣に対し行政不服審査法に基づく審査請求の異議の申立を行ない、情報公開審査会(内閣府)において審査が開始されました。

 一方で、東京だけではなく名古屋では森弁護士が、大阪では株主オンブズマンが同じように情報公開請求をしたところ全面不開示となったために、同年年3月8日、東京地裁に対して障害者雇用情報公開訴訟を、本件の東京、名古屋、大阪と一緒に東京地方裁判所に障害者雇用情報公開訴訟を提起しました。(その後、裁判は分離され、名古屋は訴えを取下げ、その裁判は東京と大阪で分かれることとなりました)

 この裁判において、私たちは以下のような主張をしました。

 第1に法定雇用率の制度は1960年より民間事業所について努力義務となったが、その後40年以上もの長き期間を経過した現在に至っても法定雇用率を達成しておらず、2001年年6月1日現在においても1.49%にとどまっており(2002年には1.47%に下がっている)、56.3%の事業主が未達成となっている状況である。1960年の同法制定時には、身体障害者雇用率については3年以内の計画で達成することとの付帯決議がなされていたにもかかわらず、40年以上もの長期間にわたって未達成状況が継続され、雇用納付金で済ませて誤魔化そうとしている民間事業所及び行政の責任は重大であること。

 第2に1975年の国連「障害者の権利宣言」やILO第159号条約「職業リハビリテーション及び雇用(障害者)に関する条約(1983年採択、92年批准)」及び同168号勧告は、障害者の基本的人権を国内的に保障していくため、加盟各国が障害者雇用対策のための具体的措置を取ることを義務づけており、また平成13年8月31日国際人権(社会権)規約委員会は日本政府の報告に対する最終見解において、障害のある人に対する差別規約を撤廃し、あらゆる種類の差別を禁止する法律を制定するよう、また公の機関に対する法定雇用率を達成するよう勧告している。このような国際的潮流からしても、日本の民間企業の過半数が、かくも長期間、法定雇用率の未達成を放置した状況で、雇用納付金を納め、金で障害者雇用を代替することを続けていることは、障害者の人権を軽視し、個人の尊厳を遵守すべき憲法13条などに反していること。

 第3に障害者雇用計画作成を義務づけられた事業主が、厚生労働大臣の適正実施勧告に従わないときに、その旨の事実を公表する制度であるが、法定雇用率未達成事業所のうち、特に悪質な事業主を制裁的に公表することを目的とするものであって、原告らが求めている法定雇用率の達成の状況についての公表とは、まず公表の対象が異なる。過半数の事業主が未達成のままという現状を考えるなら、未達成事業主の障害者雇用状況を積極的に情報開示することは同法の目的とする障害者雇用促進に資することは明白であること。

 厚生労働大臣に対する行政不服審査法に基づく審査請求の申立を受けて、情報公開審査会は2002年11月22日付で、「雇用率未達成企業一覧につき、障害種別の一部を除いて企業名などは開示すべきこと、また、障害者雇入れ計画の実施状況報告書については、企業名以外の雇入れを予定する障害者の数、雇用の状況及び計画の実施状況は開示すべきである」と、ほぼ私たちの要求に添った全面的開示に近い開示の答申を行ない、厚生労働大臣も、同年12月9日付で、この答申を受け上記と同じ裁決を行ないました。

 2003年5月16日、東京地裁は、すべての全面開示には至りませんでしたが、情報公開審査会の答申を追認する判決を下しました。このような経緯を通じて、本年9月、未達成企業一覧表などが公表されたのです。

 

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最終更新2003.11.19