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第7回
障害者(児)の地域生活支援の在り方に関する検討会
傍聴感想 (DPI日本会議事務局次長 尾上浩二)
厚労省第7回検討会開催
いよいよ始まった本格議論〜今後の行方に注目を
■障害保健福祉部新体制になって初会合
去る9月8日、障害者(児)の地域生活支援の在り方検討会の第7回目の会合が開催された。
前回より傍聴希望者は全員入れるようになった。会場が変わったこともあるが、最初の頃より若干傍聴申し込み者が少なくなっていることも否めない(とはいっても、総勢50名以上だから、それなりの人数なのだが)。委員からの報告やヒアリングが続いてきたが、これから本格的な議論に入っていく時期でもあり、あらためて傍聴をはじめ検討会の議論への注視をお願いしたい。
今回は、冒頭、障害保健福祉部の人事異動の報告があった。社会援護局長に小島比登志氏、障害保健福祉部長に塩田幸雄氏、企画課長に村木厚子氏が新しく就任し、挨拶があった。塩田部長は1984〜85年の障害基礎年金設立や障害福祉法改正時の担当課長、村木さんは、1997年〜99年に旧労働省の障害者雇用対策の担当をしていた。今年4月に障害福祉課長が高原氏に変わったこととあわせると、1月のヘルパー上限問題に関わった厚労省スタッフの局長以下、部長、課長すべてが変わったことになる。当然のことであるが、この検討会が開かれるに至った経過や障害者団体との合意の内容をしっかり引き継いで、その趣旨にそった運営をされることを期待する。
■サービス体系、支援費制度でのシミュレーションについて事務局から報告
議題の一番目に、「地域生活を支えるサービス体系の在り方」について、事務局の小田島専門官から二つの資料説明があった。
一つは、「在宅障害者(児)の支援に関する主な施策」として、次の5つに分類した提示があった。1介護、2社会参加・日中活動・就労・就業、3教育・育成、保健、医療、4住まい、5経済的な保障。加えて、それらをつなぐ形での相談支援があげられている。
例えば、介護と社会参加の重なり部分は「移動介護」のみがあげられている。ホームヘルプサービスの居宅内と居宅外を分けて、居宅外の移動介護のみを介護と社会参加と重なる部分としているわけだ。しかし、これでは「社会参加」のとらえ方が狭いのではないか。
現状のサービスを一定整理して分類したものなので、こうした整理になるのは仕方がないかも分からない。だが、これまでの委員からの報告やヒアリングでは、障害者一人ひとりのニードに対応した一体的な人的サービスとしてパーソナル・アシスタント・サービスの必要性が提起されてきた。現状のサービス体系から、今後どのように組み換えていくかの議論が求められる。
二つ目は、「地域生活を支えるサービスの利用状況のイメージ」として、サービス利用状況のシミュレーションがなされていた。全身性障害者と知的障害者2ケース、障害児と視覚障害者2ケースの合計6ケースだ。
「平均的でも典型的なサービスでもない」との前提の上であるが、その中に、興味深いものもあった。全身性障害者(筋ジス)の20歳・学生のケースとして、大学以外の時間帯は日常生活支援とガイドヘルパーを使っていることを想定しており、月に450時間以上、時間帯による加算なども含めると月額103万円の支援費の利用となる。もちろん、当日、委員からも指摘のあった通り、「大学に居る時間はボランティアを確保する」という前提になっている点等に難点はある。だが、障害者団体の資料ではなく、厚労省の委員会の資料として、こうしたケースが上げられていることの意味も押さえておきたい。
一方、知的障害者については、家事援助とガイドヘルプのスポット的な利用のケースだけになっていて、「見守り介護」が必要なケース等は想定されていない。知的障害者の地域生活のイメージを、もっと広げていく必要があるだろう。
今後の検討会では、ぜひ、実際に支援費制度を利用して生活している障害者の生の声を聴く機会を設けてほしいものだ。
■利用実態のアンケートや実例について3委員から報告
その後、中西委員(DPI日本会議)、早崎委員(大垣市社会福祉協議会)、室崎委員(全国育成会)から報告があった。
膨大な資料に基づく報告なので詳細は省くが、自立生活センターのサービスと長時間介護が必要な障害者との関係等、示唆に富むものがあった。東京・大阪の250名とその他の地域250名の自立生活センターのサービス利用者に対するアンケート調査の結果だ。利用時間では平均は284時間だが、720時間と240時間前後のところに二つの山がある。また、利用内容は身体介護が多く、移動介護、家事援助の順となっている。その内、移動介護の9割が自立生活センターからのサービスを利用している。全体の利用時間数の8割を自立生活センターからのサービスで賄っていることになる。
また、自立生活センターのサービス評価について8割以上が満足していると答えている。高いのが「介護者が意見を尊重している」「時間延長など対応が柔軟」であった。また、自立生活センター以外の他団体との比較で差が大きいのは「利用者同士で知識や情報の交換ができる」という項目だった。
また、早崎委員、室崎委員からはそれぞれの団体のサービス利用状況の報告があった。いずれも、(施設サービスに比べて)サービス内容や利用量に変動があること、サービス提起の中でどういうサービスが必要かが明らかになる、サービス評価も行いやすいといった点を特徴としてあげ、今後の課題としてケアマネジメントの重要さを指摘した。
これに対して、国のケアマネジメント研修を担当している谷口委員からは、「障害者ケアマネジメントは、介護保険の手法とは異なっており、あくまで手法である。また、ADLに基づくものではなく、その人のニードと支給量が適切かをみる必要がある」との指摘があった。
さらに、太田委員からは、「障害者は、これまでお仕着せの生活を送っていた。指導員が力を持っていた。ケアマネジメントの在り方について十分注意をしておく必要がある」といった提起もなされた。
■「一人称の介護」へ−高齢者介護研究会報告〜介護保険との統合問題が話題に
続いて、高橋委員(立教大学)からは、今年6月にまとめられた「高齢者介護研究会報告書」の説明がなされた。
「これまでの高齢者介護はパターナリズムに基づくものだった。三人称のケアだった。これからは二人称、一人称のケアになる。自分のケアという意識になってくる。一方で、障害者のケアは利用者が当事者だった。高齢者も障害者に追いついてきた」と、三人称(自分には関わりがない)から二人称(身内のため)、さらに一人称(自分自身)へとの変化を生み出す視点からの提起が行われた。
「高齢者の尊厳を支えるケアとは、在宅で365日、24時間の安心を提供するということ。これからは家族介護は期待できないということを前提にサービスを提供する。切れ目のない在宅ケア、新しい在宅ケア、施設か在宅でなく、中間形態がある。施設は地域にでてきてサービスを展開することがが必要」と指摘された。
そして、そうした「地域包括ケアを作るという視点から長期ケアを考える必要がある。その際、介護保険はニードに対応してサービスを伸ばせる制度であり、高齢者福祉に対するエンジンと言える」との提起があった。
それを受けて、京極委員からは「研究会報告を待っていた。移動介護や教育・就労等の社会参加部分をどうするかという問題があるが、時期がきたら、障害者も介護保険に入れてほしい。ただ、その時期と、どのような条件でという問題がある」との発言があった。
率直にいって唐突な感は否めない。研究会報告は、高齢者介護を一人称のものに組み換えていくというダイナミックな見直しの必要性が強調されていた。そうした介護保険そのものを現状のものから変えようということとと、(時期と条件という留保付きとは言え)現状の介護保険に組み入れるということは、まったく別次元での議論であるはずだ。
今後、検討会を積み重ねていく上で、実際の制度・政策論に入っていくことが、当然、期待される。その際に、「先に結論ありき」ではなく、これまでの委員からの報告やヒアリング等を十分ふまえた丁寧な議論がなされる必要性を感じる。
■来年度概算要求について説明〜年末の予算案まで引き続きの注目を
最後に高原障害福祉課長より来年度予算の概算要求について説明がなされた。「基本方針は義務的経費(年金・医療を除く)の増加を認めない。裁量的経費の総額を2%減(科学技術振興費を除く)。ただし、裁量的経費の要望額については、2%減の額の2割増まで認めるという厳しい状況がある。支援費制度について今年度は11カ月予算だが、来年度からは12カ月予算になるので、それに対応した予算化(平年化)と障害者プランに見合った増加ということで取りくんだ」との説明があった。
具体的には、ホームヘルプサービスについてについては12ヶ月分17.6%増、人数にして1530人増ということだ。新障害者プランではヘルパーについては5年で15000人の増だから単年度平均で3000人となる。これに比べて、約半数の増加だから、とても障害者プランを反映したとは言えないのではないか。また、平年化するために9%増は当然増に当たり、実質は8%余りということになる。この間、検討会でも支援費制度に伴ってサービス利用者・時間とも増えていることからすると、ギリギリの予算確保というのが正直なところではないか。
それ以外に目立った点は、今年から始まった地域生活推進特別モデル事業の箇所数が増えたこと(今年度77から101か所)、地域生活体験事業(仮称)が新規事業化されていることくらいである。地域生活体験事業(仮)については、「障害者が家族から離れ、自立生活を営むことができるよう、地域生活を体験する場を与え、必要なサービスを提供」との補足説明がなされている。この検討会でも、多くの委員から地域生活をステップアップしていくための自立体験的なプログラムの重要性が指摘されていた。それを多少とも反映させたということだろうか。
概算要求について、しっかり見ておかなければいけないのは、「要望額については2割増まで認める」という財務省の方針だ。あくまで要望として(のみ)認めるということだ。昨年も同様に概算要求で2割増しの予算を要望したにも関わらず、年末の最終の予算案になった段階で大幅に削減され、それがヘルパーの上限問題の引き金になったことは記憶に新しい(あわせて、相談事業の一般財源化も行われた)。
いよいよ検討会も、ヒアリングが終わり、本格的な議論となっていく。
元々、この検討会が設置されるきっかけとなった「国庫補助基準」や裁量的経費として位置づけられているヘルパー制度の見直し、そして、パーソナル・アシスタント・サービスをはじめとする地域生活支援の人的サービスの新しい在り方を提起し、新しいサービスの創設や既存サービスの大幅な組み替えができるか−こうした要望や疑問に答える議論が検討会でなされる必要がある。
傍聴をはじめ検討会の議論への注視や働きかけを、引き続き進めていこう。
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最終更新日2003.6.11
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