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第4回
障害者(児)の地域生活支援の在り方に関する検討会
傍聴感想 (DPI日本会議事務局次長 尾上浩二)
第3回の傍聴感想は、雑事に追われて書けずじまいの内、第4回目の検討会を迎えた。以下、第4回の検討会を傍聴して、気のついた点を記してみたい。
2回、3回の検討会は委員からの報告だったが、今回からは3回にわたってヒアリングが行われる。
本日のヒアリングは、重症心身障害者(重心)関係者、知的障害者本人、そして、地域ケアネットワークの実践関係者の、それぞれから行われた。
【地域生活に必要な資源・基盤の着実な形成を。施設中心からの転換を】
重症心身障害児(者)関係者からの報告では、会の発足した1964年当時の、国の姿勢は「障害が重く社会の役に立たぬものに国のお金は使えません」というものだった。それに対して、「たとえどんなに障害が重くても真剣に生きているこの命を守ってほしい」「社会の一番弱いものを切り捨てることは、その次に弱いものが切り捨てられることになり、社会の幸せにつながらない」と訴え続けてきたとの、基本姿勢が示された。
報告の中で繰り返し指摘されていたのは、重症心身障害児(者)自身から親や職員、回りの者が教えられてきたという点であった。「言葉」による形でなくても、表情や様々な反応で表現をし、そのことが回りの人間を動かしてきた。
また、在宅支援に関連して、レスピレーター(呼吸器)をつけたり、胃ろうチューブを通じた食事をする「超重症児」に必要なサポート等も説明された。保健医療、生活福祉、教育等様々な支援が重要との提起だった。
特に、強調されていたのは、「医療的対応を必要とすることから、専門性を備え施設といつも関わりをもたなければ生活ができない状態にあり」、その点から、脱施設といった場合、施設から退所した場合の具体策が必要ということだった。
「障害が重く社会の役にたたぬものに国の金は使えない」という時代からすると、徐々に障害者施策の中に重症心身障害者への対応が含まれるようになってきた。しかし、未だに児童施策に位置づけられていることに象徴されているように、十分な施策体系を持っているとは言いがたい。また、これは重症心身障害児(者)に限ったことではないが、施設を中心とした施策体系が長年続いてきたことから、様々な社会資源やサポート体制が施設の元に整備されてきた。
そうした施策体系の転換をはかり、地域生活支援を中心に組み換えようとするのが、「脱施設」の意味だと思う。「施設」という形で提供されてきた(あるいは、そういう形でしか提供されてこなかった)サポート体制や資源を、どのように地域の中につくっていくかが課題なのではないかと思う。また、そうしたことを目指した実践が、いくつかの地域で既になされている。こうした取り組みを全国的に展開していくための課題等も、この検討会で取り上げてほしいと思う。
【入所施設ではなく地域生活を。私たちに関することを決める時は、私たちの意見を聞いて下さい】
続く、知的障害者本人からのヒアリングでは、ピープルファーストと育成会の本人部会から3人ずつ発言がなされた。
いずれも、地域生活を進めていく上で必要な課題を具体的にあげられていた。入所施設ではなく、地域で生活できるようにしてほしいという点で共通した要望があげられた。
誰でも必要なヘルパーを使えるようになれば地域での自立ができるということや、住まい確保のための公営住宅の単身入居枠創設や、アパート・グループホームへの家賃補助制度等の提起があった。
また、脱施設化に関して、「これまで親の会が中心になって施設をつくってきたのだから、親の会が責任を持って脱施設化を進めてほしい」という提起もあった。これに関連して、私がその通りと思ったのは、次の点だった。「地域生活支援センター等をつくり相談にのってくれたり、安心して暮らせるようにして下さい。支援センターは施設や通勤寮の中などにつけずに、みんなの行きやすいところに作って下さい」という提起である。
一般には、「専門性の活用」という名目のもと、施設につくった方がよいかのような議論があるが、当事者は、それまで居た施設に相談に行くのは抵抗があるとのことだった。さらに言えば、施設の中での「専門性」が、そのまま地域生活を支援することの「専門性」と一致するとは限らない。いや、むしろ、この時も当事者からの提起にあったように、施設は一人ひとりを見るのではなく、一括りにして見る傾向がある。そうした中でつくられる「専門性」は、地域生活支援と相反する場合もあるのではないか。
ピープルファーストからは、親元や入所施設から自立生活へのプロセスについて、
・入所施設、または親元から通所施設へかよう
・土日の余暇活動等当事者活動への参加
・ピープルファーストや自立生活センターなどに、自立生活に向けた相談
・自立生活プログラムの受講や、自立体験室の利用
・部屋探し、市役所へ制度利用のための相談
・自立生活のスタート
といったモデル的な流れが示された。
こうしたプロセスが当たり前に進んでいくような、メニュー(例えば、自立体験事業)やネットワーク化が進むような施策が必要ではないか。
そして、第1回目から議論になっていることが、今回も提起された。知的障害者の当事者参画をめぐってである。「私たちに関することを決めるときは、私たちの意見を聞いてください。検討会の委員に、知的障害のある人を入れて下さい」との提起があった。
前回からオブザーバーという形では参加しているが、やはり、分かりにくい形ではある。この日の検討会で、「オブザーバーというのは一体何ですか」という問い掛けがあった。これは、単にオブザーバーという言葉の意味についてではなく、一体、どういう位置づけで、この検討会に招かれているのか、その位置づけが不鮮明なことに対する問い掛けと言っていいだろう。
委員からも提起のあった通り、この点について委員の意見を集約し、誠実に対応をしてほしいと思う。
【施設に比べて乏しい地域の社会資源−開拓のためにはネットワークが重要。特区を使った選べる福祉を】
地域ケアシステムの実例では、滋賀県の実例が報告された。滋賀県ではいくつかの圏域に分けて、障害者生活支援センターが展開されるとともに、障害児・者サービス調整会議が設置されてきている。
報告された中島さんは施設での勤務を経て、支援センターのコーディネーターになられ、地域資源のネットワーク化に取り組まれた。施設とは違って、地域の社会資源が乏しい状況にあることを指摘された。地域での資源を開発し、ネットワークを進めていくには一人、一法人では限界があり、サービス調整会議で関係者が集まることが重要なことを指摘された。
支援費制度移行後の状況についても話されたが、その中で国のQ&Aの功罪を指摘された。実際のニードに対応してサービスを出していくためには、各自治体レベルで判断して進めてきた部分がある。それが、国のQ&Aが出る度に、これまで出来てきたことが削がれていく、「これ以上、国に問い合わせしないでほしいと思ったこともある」との報告は参加者一同の笑いを誘っていた。
また、支援費の支給量決定は結局行政が行うので、同じような障害や環境の人でも行政によって、さらには担当者によって大きく違うということも報告されていた。
支援費は利用者と事業者の対等な関係というが、実際にはまだまだ事業者本位の制度となっていること、特に施設に入居していた人は、その施設への帰属感が強く言いたいことがあっても言いたいことが言えない、本当に選択できるように変えていくことが必要だと提起された。
滋賀県で福祉サービスについて特区を使って、もっと柔軟に対応できるようにしたいという話が、興味深かった。今の支援費は月単位だが、これを日割りにして、例えば、施設から実家に帰っている間はホームヘルプサービスを使えるようにしたいということだった。施設から地域移行と言った場合、実際にサービス・資源を使いながら地域生活に慣れていくということが重要であり、その効果が認められれば、特区だけでなく全国的な制度の中に反映される必要がある。
今後、検討会は後2回(7月30日、8月26日)、ヒアリングを行う。これまでの委員からの提起とヒアリングを受けて、今後の論点整理に取りかかる時期である。
地域生活支援中心の政策体系への転換につながっていくように、そして、パーソナル・アシスタント・サービスをはじめ、地域生活支援の新しいサービスがつくられていくように、引き続き検討会の議論に注目していこう。
今後の予定
第5回 7月30日 自閉症関係者、横浜市、長野県北信圏域
第6回 8月26日 海外の動向 アメリカ、イギリス、スウェーデン、ドイツ
第7回 9/8(月) 14〜17時 内容未定
第8回 9/30(火) 10〜12時 内容未定
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最終更新日2003.6.11
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