| ■
70名の傍聴参加のもと、第1回検討委員会が開催される
5月26日に、障害者の地域生活支援の在り方についての検討委員会の第1回会合が開催された。
今年1月にヘルパーの上限問題が急遽浮上し、3週間に及ぶ全国的な闘いが展開された。その結果、1月27日に合意事項が確認された。その中の「利用当事者も交えた検討委員会の設置」が、ようやく実現した。
この検討委員会のテーマは、ホームヘルパーの国庫補助金交付基準の見直しはもちろん、それだけにとどまらずに今後の地域生活支援の在り方、特に障害者の自立と社会参加を支える介助サービス=パーソナル・アシスタント・サービスの実現につながるかどうかが注目されるところ。
今回、第1回目の会合についても、多数の傍聴希望が寄せられた。DPI関係からだけでも30名近く、マスコミ関係者や議員等も含めて、傍聴者は総勢70名に登った。
あの全国闘争の結果として開催される検討委員会だから、当然とも言えるが、あらためて大きな関心が寄せられていることを実感する。
■知的障害の当事者参画、精神障害者施策との関連について意見提起
当日の詳しい内容は、別掲のメモ(正式の議事録ではなく、傍聴者によるメモです)を参照頂きたいが、第1回目会合ということもあり、検討委員会の構成やテーマ、進め方等についての意見交換が主だった。
まず、DPI日本会議から参加している中西委員からは二度に渡って、知的障害についての当事者委員の参画について提起を行った。今回の検討委員会の結果は、今後の制度やサービス、そして一人ひとりの生活を左右するものである。そうした点から、知的障害者自身が参加できるようにしていくことは当然のことであろう。
「座長と事務局で検討」となったが、誠意をもって検討されることを期待する。
また、この検討会と精神障害者関連のサービスについての質問がなされた。事務局からは、精神障害者関連施策については別の委員会で検討がなされるので、この検討委員会は身体と知的の分野を対象とするという応答だった。しかし、これも複数の委員から提起のあった通り、地域生活、医療モデルから社会モデルへの転換という前提で考えると、少なくとも、精神障害者関連施策の検討状況などが逐次報告されることが必要であろう。
■支援費制度の実施状況をめぐって
〜はたして順調に実施されているのか?
議事1.障害者(児)の地域支援施策の現状についてでは、特に、支援費実施状況速報調査について意見が集中した。
事務局からは、昨秋段階での利用見込み数に相当する人が支給決定されていること、事業者の数が全国の市町村数を上回る数となっていること等を指摘した上で、「順調に実施されている」との報告があった。
それに対して、「実際に相談活動の中で見聞きしている状況と食い違う」「事業者としては指定を受けていても、実際には知的障害者のサービスを受けていないところもある」「視覚障害者の移動介護については、単価が低いこともあり受けてくれる事業者はあまりない」等の問題提起がなされた。
再度、より突っ込んだ分析がなされた調査や資料を求める声が相次いだ。
■今後の進め方をめぐって
〜来年度予算に向けての協議、はたらきかけが必要
今後の進め方については、6〜8月に委員からの意見発表、先進事例や関係者からのヒアリングを行い、9月〜検討項目にそった議論という流れが事務局から示された。
この中で、議論になったのは大きく二点あった。
一つは、1月のヘルパー上限問題の発端となった国庫補助基準の見直しや来年度予算との関係、二つ目は、支援・サービスの在り方と財源等の議論の関係である。
来年度予算等に関連したことは、「別の場での協議も含めて」という応答が事務局からあった。私たちも、検討委員会の動きに注目するとともに、平行して来年度予算に関連してや交付基準の見直しについては、別の形での協議や働きかけが必要だろう。
もう一点は、サービスの在り方と財源確保の議論について、様々な意見が出された。この間、介護保険の見直しとリンクする形で「財源確保のためには介護保険への組み込み止むなし」という議論がなされがちだった。しかし、この検討委員会が「半年や一年で終わるものではない」と一定の期間にわたるものであることをふまえるならば、理念やサービスの概念規定(障害者の地域生活を支える人的サービスとは何か、その理念と対象範囲、そして、諸外国のパーソナル・アシスタント・サービスの実例等)の議論を行い、それを実現するシステムや資源の整備、新しい制度の構築に向けた論点等について、しっかりとした議論が望まれる。
要は、これまで、「ホームヘルプ」という文字通り居宅内に焦点を絞ったサービスの拡大解釈・運用で来たが、今回の検討委員会は、障害者の地域での自立生活を支援するサービスを新しくつくりあげる視点から進められる必要があると思う。
■今後のヒアリング、議論の動向に注目を
最後に、その他では、大熊委員と中西委員からの資料提起があった。大熊委員は、自らのホームページの記事から、北欧でのパーソナル・アシスタント・サービスの実例と、知的障害者の参画について紹介があった。
中西委員からは、今後の検討委員会での議論について、理念や論点、そしてヒアリング等について詳細な提起が行われた。
これらの提起についても、今後の検討ということになった。
これらの提起が、真剣に受けとめられ、今後の検討委員会の進め方、論点整理に活かされることが、ぜひとも必要だ。
今回は第1回目ということで、実質的な内容についての議論は行われなかった。しかし、知的当事者の参画や今後の検討の進め方について重要な意見提起が相次いだ。
今後6月に2回(6月9、24日)、その後も毎月1度くらいのペースで検討会が開催される予定だ。当分、委員からの意見提起、ヒアリングが行われ、それをふまえて、9月から論点にそった検討が行われる。
1回目の検討委員会を傍聴して、事務局側も、まだ明確な議論の枠組みや進め方について、未だ明確に固まっているわけではないとの印象を持った。今後、検討委員会を開催しながら論点を整理していくことになるのか。その点から、当面の委員間での意見交換やヒアリングは重要な意味を持つのではないだろうか。
月に1、2度の開催と、かなりハードなスケジュールで進められる。私たちも、息切れすることなく、傍聴活動に継続して取り組んでいこう。
|