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トップページ障害者を取り巻く問題社会福祉基礎構造改革支援費支給制度改革のグランドデザイン案」について2005年1月25日、28日

 

2005年1月28日

厚生労働大臣 尾辻秀久殿

「障害者の地域生活確立の実現を求める全国大行動」実行委員会
 

「グランドデザイン」についての緊急要望

当事者抜きで「グランドデザイン」を決めないで
障害者の地域生活の後退は認められない
 

 私ども「障害者の地域生活確立の実現を求める全国大行動実行委員会」には、自立生活センターやヘルプセンター、作業所やグループホーム等、障害者の自立支援に取り組んでいる全国各地の563の障害者団体が参加しています(ほとんどは障害当事者の団体です)。身体、知的、精神障害、難病といった様々な障害当事者団体が集まり、障害種別を超えて地域生活・自立生活を実現できるサービス・法制度を求め活動を続けています。
 昨年10月に「今後の障害者保健福祉施策の方向(改革のグランドデザイン案)」が示され、12月には「障害者自立支援給付法(仮)」の骨格案が示されました。
 この法律では、「介護給付」以外の個別給付は「訓練給付」とされるなど、旧来の身辺自立・職業自立を中心にした自立観が色濃く打ち出されています。これまで、障害当事者からの提起を受けて積み上げられてきた自立と社会参加の理念に基づく制度やサービス、地域生活・自立生活の後退をもたらしかねないと危惧しております。
 また、東京都や政令指定都市で構成する大都市民生主管局長会議からも緊急要望が出されている通り、支給決定方法の変更や市町村計画、国・都道府県の補助の見直し等、実施に当たっての十分な準備がなければ、大きな混乱を生み出すことになります。
 「グランドデザイン」とそれに基づく「自立支援給付法」は文字通り障害者施策全般に渡る見直しであり、障害者をはじめ支援団体、地方自治体等、関係者にその与える影響は極めて大きく、慎重な検討が求められます。障害者の地域生活・自立生活を巡る実態やこれまでの施策展開との整合性の検証を図っていく、丁寧な検討が必要であると考えます。
 このまま2月に法案を国会上程することは、余りにも問題が大きいと言わなければなりません。「グランドデザイン」について、少なくとも半年から1年かけて、私たち当事者団体との十分な議論の上で検討・法案化を行うことを、あらためて求めます。
 つきましては、下記の通り要望します。
 

 「私たち抜きに、私たちに関することを決めないで下さい」
  1. 「グランドデザイン」、並びに「自立支援給付法」は、文字通り制度全般の見直しであり、障害者のサービス・生活に大きな影響を与える。また、これまでの障害者施策の展開との整合性や障害者の実態との検証もないままである。特に、地域生活に関連する仕組みやサービスは2006年度から実施予定とされているが、余りにも拙速である。少なくとも半年から1年かけて、私たち当事者団体との十分な議論の上で検討・法案化を行うこと。

  2. また、その実施に当たっては、ニード把握や検証を十分行いながら、少なくとも3年〜5年をかけて当事者参画のもと検討を行うこと。さらに、混乱を生み出すことのないよう、地方自治体での体制整備等の十分な準備期間を確保すること。

  3. 障害者部会で交わされてきた議論を報告としてまとめるとともに、障害者をはじめ広く国民の声を聴くためのパブリックコメントを実施すること。

当事者参画、合意に基づく支給決定方法の検討を
  1. サービス共通の尺度(基準)、認定審査会は、これまでの支援費制度のあり方を根本から変えるものになる。審査会の方式ではサービス水準の低い地域ではそのサービスが年々改善されるということがなくなり、低い水準のまま固定化してしまう。ホームヘルプサービスなどの水準は各地の市町村で障害当事者運動により年々改善されてきた(それによってすべての障害者が適切なサービスが受けられるようになってきた)歴史があるが、それを否定するものであり、これは世界の流れに逆行するもので、認められない。
     長時間ヘルパー利用者がどういうサービスを使えば自立した生活が行えるか、審査会に適切な判断が行えることは考えられない。水準の低いヘルパーサービスの改善を行わないために審査会を利用する市町村が出てくることは明らかである。
     長時間利用者の時間数について審査会に意見を求めることのできる仕組み・法案は反対である。また、(審査会がサービス計画に意見するという案になっているが)、審査会がサービス計画に意見をいう仕組みを導入するのは反対である。審査会の業務は障害区分の2次判定だけに限定すべきである。

  2. 当面3年は、従来どおり市町村の障害福祉担当課の職員が勘案事項を勘案して個々人のサービス水準を決定する方法をとり、その間は審査会はオンブズ的な位置付けにすることを求める。その3年の間に障害者団体と検討し、あるべき審査会の方向を決めていくことを求める。

  3. 新たに障害者団体を中心にした検討会を立ち上げ、支給決定のあり方について、ホームヘルプサービス等の利用当事者の参画の上で検討すること。その場で、実態・ニード把握を行った上で、尺度のあり方、認定審査会の機能、権限、構成の検討を行い、社会生活モデルに基づき障害者の地域生活の現実にそった支給決定方法を検討すること。

障害者の地域生活・社会参加の根幹的サービスとしての移動介護について
  1. 「自立支援給付法」では、介護給付に対する「横出し」サービスは訓練給付とされ、文字通り施設が行う機能訓練や就労移行支援が中心で、地域での自立生活に関するサービスはない。特に、支援費制度で全国に広がり高く評価されてきた移動介護は原則的に地域生活支援事業という類型になり個別給付から外されており、支援費制度以前の、サービスの質が悪く使いづらい制度になってしまう。(たとえば、役所の行事等行政が認めた範囲しか利用を認めない、平日の9時〜17時等の時間制限がある、男性障害者に女性が派遣されてきてトイレが頼めない、障害の特性やニードにあった介護者を選べない等々)。こういう逆行は許されない。
     移動介護は地域生活・社会参加を支える基本的なサービスであり、個別性が強い全身性や知的障害の移動介護は全て個別給付とすること。精神障害者の移動介護も創設すること。

  2. 全国のほとんどの市町村では24時間の介護制度が保障されていないため、たとえば、最重度の24時間介護を必要とする1人暮らしの障害者は、民間事業所に相談し、たとえば1日3時間の身体介護と2時間の移動介護を使い、事業所はその収入で、24時間の介護を行うという例が多くある(命にかかわる事態と判断したとき)。
     これは重度障害者には移動介護の単価が身体介護と同等なためにできている方法であり、移動介護の単価の安易な変更は、1人暮らしの最重度障害者の生活を直撃するものとなる。移動介護は個別給付に残し、単価の安易な変更は行わないこと。

  3. 前回の協議の時に示された「行動援護」について、その対象やサービスの範囲等について明らかにすること。障害程度による制限を行うことなく、本人のニードに基づいた利用ができるようにすること。

「必要なサービスを得られること」−実態と施策の整合性をもった負担の仕組みを
  1. 2000年の社会福祉法の検討の際には、「必要なサービスを得られなくなることが生じないよう」に、障害者の所得・就労状況をふまえて応能負担方式となった。以降、所得・就労状況は改善されていない。所得保障が不十分な状況の中での応益負担の導入は行わないこと。あわせて、所得保障確立に向けた課題・方針を明確にすべきである。

  2. 「扶養義務を廃止する」としながら、低所得者の負担上限額の設定は世帯収入に基づいたものとなっている。さらに、減額措置も世帯収入に基づく方式となっており、年金とわずかな授産工賃等で生活する多くの障害者にとっては実質的には家族の負担の強化になる。障害者本人がサービスを希望しても利用できなくなる事態が想定される。自立の第一歩は家族への依存からの脱却であることをふまえ、扶養義務の完全撤廃を求める。

  3. 社会的に精神障害者に対する差別が根強い現状の中で、大きな役割を担ってきた通院医療公費負担について、存続させること。

  4. 授産施設・小規模授産等の就労移行、要支援雇用事業所等への応益負担は、工賃等の収入より利用料が多くなったり、収入が最低賃金を下回ることとなり、これらの活動への意欲を減退させる。「就労支援策を強化していく」という今後の施策方向と矛盾したものとなっている。また、機能の限定や有期限の条件をつけることは、地域で安心して過ごせる場としての機能が失われることにつながる。さらに、入所施設については、未だに続く入所施設での人権侵害の改善や「脱施設・地域生活への移行」策を明確に示さないままの施設入居者負担の増額を行う形となっている。これらの問題点をふまえて負担の仕組みや機能について検討することを検討すること。

障害者の地域生活・自立生活を重視したサービスのあり方の検討を
 
  1. 「自立支援給付法」では、今後のサービスは、介護給付、訓練給付、地域生活支援事業の3種類に区分されることを想定している。施設系サービスの再編を中心としており、かつ、施設系は5年間をかけて検討するのに比べて地域生活サービスは2006年には実施というのは拙速に過ぎる。地域生活のサービスを受けて生活している者、働いている者への影響を十分ふまえ、施設と同様に在宅施策も3〜5年かけて検討を行うべきである。

  2. 包括給付については、現行のサービス水準を後退させないことを前提に、前述の障害当事者が参画した検討会の場で、「その是非も含めて」3〜5年かけて検討を行うこと。

  3. 入居対象者のケアホーム、グループホーム、福祉ホームへの振り分けは、障害程度によって「生活の場」を一方的に決定するものであり、更には転居の強制をも引き起こしかねない問題を含んでいるなど、入居者の基本的人権を侵害する改悪である。重度型ケアホームを設けず、従来通り、グループホーム、福祉ホームの2種類とし、障害の程度、就労等の要件を問わず、当事者の居住の場の選択権を保障すること。また、ケアホーム9名〜20名、グループホーム5、6名以上の規模が検討されていると聞くが、人数を安易に増やすことは「施設化」につながることから現行の4名規模を維持すること。グループホーム、福祉ホームともに個々の入居者ニーズに対応した個別給付とすること。さらに、グループホームを施設からの地域移行のための社会資源と位置づけるならば、色々なヘルパーから支援を受け地域生活に慣れていく過程が重要である。障害程度による区分けをやめ、個別の必要性に応じてホームヘルプサービス、ガイドヘルパーの利用を認めること。

  4. 諸外国で実施されており、また、厚生労働省の「障害者(児)の地域生活支援のあり方検討会」でも議論となった、「パーソナル・アシスタント・サービス」や「ダイレクトペイ」等についても検討を行うこと。

「谷間の障害者」問題を解決する総合的な見直しを
  1. 「自立支援給付法」の目的では、「障害者及び障害児が、その有する能力を活用」することが自立の前提であるかのような表現となっている。だが、昨年6月の障害者基本法改正では、旧法の第6条「障害者は、その有する能力を活用することにより、進んで社会経済活動に参加するよう努めなければならない」との条文を削除している。「その有する能力を活用し」との表現を削除し、障害者基本法改正の趣旨に則ったものとすること。
     また、現在国連で検討されている障害者権利条約草案では「地域で生活する権利」が盛り込まれている。サービスの申請権・受給権等を明記するとともに、国際的な議論をふまえた検討を行うべきである。

  2. 「自立支援給付法」は、現行の障害者3法が前提となっており、手帳保持が対象の要件となれば、「谷間の障害者問題」は解決されない。障害者基本法制定時から課題となっている難病や自閉症、てんかん、さらには、いわゆる「発達障害」等の障害者も対象とすることが必要である。拙速に進めるのではなく、時間をかけて、真の総合福祉法を作るべきである。

  3. 支援費制度で知的障害者に認められている通り、手帳所持者以外にも必要性が認められる者への支給決定をすべきである。

  4. 障害者の地域生活・自立生活に重点を置いた「障害者・地域自立生活支援法」が必要である。

必要な事業費には全額国庫補助を、地域生活基盤整備の財源確保を
  1. 「自立支援給付法案」では、障害福祉予算が多い市町村には国庫補助基準を超える部分は、市町村が100%負担しなければならなくなる。(国は障害区分×金額という一定の額までしか国庫補助せず)。これは2003年1月に大問題となったヘルパーの国庫補助基準を、全障害施策に広げ、法定化することであり、非常に問題である。障害者にかける予算はOECD諸国に比べ日本は数分の1と少ない現状にある。少なくとも、予算規模が先進国並になるまでは、国庫補助に上限を設けるべきではない。

  2. 国・都道府県の補助制度の見直しの一環として、政令指定都市や中核都市等の大都市特例を無くして、国・都道府県の負担割合が75%とする案が示されている。従来は国からのみ50%だったことからすると、新たに都道府県が25%を負担することとなるが、そのための財源確保等の方策を明らかにすること。

  3. 必要な財源を確保するとともに、「施設から地域の流れ」を確かなものにしていくため、圧倒的に不足している域生活基盤整備のための特別立法を作るべきである。

要望団体
「障害者の地域生活確立の実現を求める全国大行動」実行委員会
【呼びかけ団体】
DPI日本会議・全国自立生活センター協議会・全国障害者介護保障協議会
全国公的介護保障要求者組合・ピープルファーストジャパン
全国ピアサポートネットワーク(設立準備会)
【事務局】全国自立生活センター協議会内
八王子市明神町4−11−11−1F
TEL 0426−60−7747  FAX 0426−60−7746