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■2004年度支援費見直し問題 緊急行動報告■
全国から400名が厚労省前に
グループホーム、ホームヘルプ見直し案は白紙撤回(2003.12.17)
来年度支援費単価見直しに関して、12月17日、厚生労働省と緊急交渉と厚生労働省前の大衆行動が行われました。交渉の概要が決まったのが前日の16日と、緊急な呼びかけにも関わらず全国から400名もの仲間が集まりました。
厚労省前でのビラまきやアピールが展開される中、午前中にはグループホームの見直し案についての交渉が関連5団体によって、午後にはホームヘルプの見直し案についての交渉が「障害者(児)の地域生活支援の在り方検討会」の7団体によって行われました。
こうした一連の行動と7団体の共同要望によって、グループホーム、ホームヘルプともに見直し案は白紙撤回され、今後、当事者・関係者を交えた検討が行われることとなりました。
▼経過
支援費制度移行に伴い、ホームヘルプやグループホーム等地域生活に関連したサービス利用が急増してきました。そのため、すでに一年目の今年度予算で100億円以上が不足するという事態となりました。今年度予算の不足分については、7団体からの要望や政党への働きかけ、厚労省自身の努力により省内の予算をかき集めることで何とか工面することができました。
ですが、来年度予算においても、たとえ概算要求予算が満額確保できても不足する事態が引き続き起こることとなります。そうした中、12月に入って厚労省側から示されてきたのが、今回の来年度予算における見直し案でした。
グループホームについては、12月5日付けで各自治体の障害保健福祉課長宛に案として通知されました。「関係団体にも示した」と厚労省は言いますが、DPI等には示されませんでしたし、グループホームの入居者や運営者には「寝耳に水」の話でした。
ホームヘルプについては、12月12日の検討会後、7団体に資料が示されましたが、いずれにせよ来年度予算案が決まる12月20日までを期限にしたものでした。
▽今回示されたグループホームの見直し案は重度加算カットで2割減と、まさに重度障害者を直撃する内容でした。13日に新聞の一面で大きく報じられたこともあり、当事者・関係者に大きな衝撃を与えました。そうしたことから、重度障害者の地域生活支援という立場からグループホームに関係している団体で見直し案撤回の緊急要望がまとめられることとなり、DPI日本会議にも要望団体となってほしいとの提起・要請がありました。
グループホームについては地域や運営主体によって多様な実態があり、評価も色々ありますが、今回のグループホームの見直し問題は、明らかに施設から地域移行の流れを逆行させるものであり、脱施設化に対する揺り戻しの動きとしてとらえて参加していくこととなりました。また、ホームヘルプの見直し案以上に、荒っぽい形で提示されていることも大きな問題であり、そうした点から抗議の声が上がるのも当然のことです。
また、ホームヘルプの見直し案も、長時間の介護が必要な重度の身体・知的障害者、また十分な支給決定・サービス確保がなされていない地域の障害者に最もしわ寄せがくるものでした。
12日に出てきた厚労省の資料だけでは、一部障害者団体の主張を取り入れているようにしている部分(視覚障害者のガイドヘルパーの単価アップや日常生活支援に単価を一本化することで外出もできるようにしている部分)があり、ある意味で巧妙な案でした。
しかし、これの具体的な影響を各地の障害者に問い合わせたところ、(大阪市で全身性障害者と知的障害者でそれぞれ3〜4割減という結果をはじめ)支給決定が不十分な地域ではいずれも、重度の身体・知的障害者で3〜4割近く減の影響を受けると言うことが明らかになりました。
いずれにせよ、制度の根幹に関わるような大幅な見直しであることは確かであり、検討会で議論が全くなされないまま、このような見直しが進められることは認められません。
以上のような点から、グループホーム、ホームヘルプともに白紙撤回を行い、再度一から検討を行うことを、7団体共同の要望として求めていくこととなりました。
▼結論
内容としてはどちらの見直し案も「白紙撤回」となりました。
午前中のグループホームについての交渉では、@区分1(重度障害者)の単価引き下げについては白紙撤回とする。A来年度予算についても現状維持に努力する。Bグループホームの課題について当事者と検討する場を持つ。との回答を得ました。
午後のホームヘルプについての交渉では、@単価見直しについて白紙撤回とする。A単価問題については支援費のあり方検討会で議論を行う。
との回答を得ました。
▽当日は朝小雨でかなり寒い中、全国から400人を超える障害者・支援者が集まりました。1月の上限問題と同様、今回も短期間の間の取り組みでしたが、400人の元気でまとまった大衆行動と全国7団体の白紙撤回すべきとの共同要望の成果だったと思います。
大衆行動には、大阪をはじめ、北海道、宮城、東京、神奈川、埼玉、愛知、京都、兵庫などから参加がありました。当日はほぼ予定通りの行動で午前中はグループホーム交渉の後、報告集会。白紙撤回と今後当事者・関係者を交えた検討に至った交渉の報告があり、「施設から地域へもっと進めるぞ」と当事者からのアピールがありました。
その後、議員団まわりや記者会見を行った後、午後3時〜4時に7団体によるホームヘルプの交渉がありました。7団体の代表より、口々に、次のような提起を行いました。
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「とても見直し案はのめない。検討会が機能しているのだから、検討会で検討するのが筋。提案の項目ごとに吟味したが、分割して受けるという話ではない。全体の項目の流れを見ると去年とスタンス変わっていない。政策基調が地域生活と逆行する。論調が変わっていない」
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「拙速にやってしまって問題がおきると大変なことになる。9ヶ月しかたっていないのに、大きな改革は難しい。1月にこれからのありかたを検討会の中でお願いしたという経過もある。7団体で相談して白紙撤回を求める要望になった」。
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「介護保険のように1.5時間から単価下がるというのは大きな問題で、障害者の派遣は2時間、3時間多い。単価を合わせる事は介護保険の組み込みになる。ニーズがちがう。高齢者は1時間で用事終わるかもしれないが、障害者は違う。障害者の生活実態を見ていない。
移動介助と日常生活支援を一体化してしまおうという提案だが、身体介護ありの移動があって、それをのばすことによって、何とか暮らすことで生活している。そういう人が全国に3000人くらいいる。死活的な問題。移動介護の区分がしにくいということで一体化することは現状では無理がある。実態を把握しないと政策つくれないという根本的な問題を忘れている」
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「グループホームも含めて、今回の見直しが障害者の生活にどういう影響を与えるか、想像力にかけているのではないか、具体的にシミュレーションしてもらったのか。大阪市でいうと、日常生活支援を使っている障害者が移動介護を一本化にすることで36%の減額になる。お金ではなくサービスの確保の問題、今でもぎりぎりなのに、これ以上はできない。
重度の知的障害者で身体介護72時間の人は4割もダウン。長時間、重度の人が今回の見直しで大きな影響をうける。グループホームも重度の人から削減。重度であればあるほど、地方であればあるほど、痛みがふりかかってくる。そもそも検討会から一から議論するべき。一人一人の生活にかかってくる見直し案だったことを反省して欲しい」
これらの提起を受けて、高原障害福祉課長より、「今回の見直し案は白紙に戻して、検討会で検討していくことにしたい」との回答を得ることができました。
その後、交渉団から交渉経過の報告を行った後、日身連・森事務局長、日本障害者評議会・藤井常務理事、全国育成会・松友常務理事より力強い挨拶を頂き、DPI日本会議常任委員の中西よりまとめの提起をして、一連の行動を終えました。
▼今後について
今回の見直し案はグループホームでは重度加算カットで2割減、ホームヘルプも長時間の介護が必要な重度の身体・知的障害者、また十分な支給決定・サービス確保がなされていない地域の障害者に最もしわ寄せがくるものでした。しかし、厚生労働省は本来こうした話をするために「あり方検討会」を開いているのにこれを軽視したこと、また単価計算をする際に、そのことで現場ではどんな影響があるのかをほとんど配慮していなかったようです。「今回の見直し案は、支給量の決定が十分でない地域の障害者、特に重度の身体・知的障害者に負担が重くのしかかる案になっている、3〜4割のカットになるケースもある」との提起をしたところ、課長は「そんなに下がるのか」と本当に驚いていました。またグループホームのやりとりで参加者から「今回の削減でどれだけのカットになるか分かっていますか?」との質問に、慌ててその場で電卓を叩いて計算したが、その計算が2000万円と一桁間違ってしまう始末。(そもそも補助金自体が1ケ所600万〜800万円)
また、身体介護、生活援助の単価と報酬体系に沿ったものにする等、ある意味で介護保険の先取り的な意図も、今回の見直し案にはあったことをしっかりと見ておかなければなりません。
いずれにせよ今回の白紙撤回を受けて、ホームヘルプについては「あり方検討会」で、グループホームについては当事者・関係者を交えた検討を進めていくことになります。施設から地域への転換を図っていく上で、地域生活支援の具体的な実践・実態をふまえさせていくこと、そうした点からの私たちからの提起がきわめて重要であると思います。
参加者からも、「(2003年)1月に続いて今回もこんな見直し案が出てくるとは、毎年こういう行動をやらなければいけないのか?」との声がありましたが、まさに、支援費をめぐる一連の事態は、施設から地域への転換の過渡期における問題のあらわれと言えます。戦後以来、ずっと施設を中心にした政策体系がつくられ、守られてきました。それに比べて、地域生活支援の仕組みは当事者・関係者が必要性に迫られてつくりあげ、その一部が付け足し的に政策メニューに取り入れられてきたに過ぎません。そうした「歪(いびつ)な構造」からの大転換を図っていく過程での軋みが、この間の問題に他なりません。施設から地域の流れをより明確にし、仕組みや財源も含めてシフトしていくことこそが、この問題の真の解決策です。
▽最後に、今回の行動に参加、支援頂いた皆さん、急なお願いにも関わらず、DPIのメールマガジンでの呼びかけに応えて、地方からの声をお寄せ頂いた皆さんに、この場をお借りしてお礼を申し上げる次第です。
(文責 DPI日本会議事務局次長 尾上浩二) |