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活動内容海外の障害者に関する協力等の事業

 

権利条約に関するアジア太平洋地域会議
(2003年6月2〜4日開催・バンコク・主催 ESCAP)へ提出

障害者権利条約に関するポジションペーパー
(ダイジェスト版)

DPI(障害者インターナショナル)日本会議

 

1.なぜ日本の障害当事者は障害者の権利条約を求めるのか

  1. 日本でも、障害をもつ人に対する差別と虐待が様々な分野に広く存在するが、差別の定義を明確に規定し、その差別を禁止し、違法とする規定が存在せず、その救済の役目を果す法律が存在しない。

  2. 既存の条約への取り組みと限界
     DPI日本会議が既存の条約に基づいて「自由権規約政府報告」や「社会権規約政府報告」へのカウンターレポートを提出したことによって、日本政府は、包括的な差別禁止法を制定するようにとの勧告などを受けた。しかしながら、これらの勧告だけでは、何ら国内状況を変えることができなかった。既存の条約では、明らかに限界があるのである。

2.どのような権利条約を求めるのか

  1. 障害をもつ人は、世界中で6億人いると言われている。経済的に先進国と言われている国でも、発展途上国と言われている国でも、障害をもつ人は、その国の社会システムから排除されることにより、政治的、経済的、社会的分野において差別を受け、その国民であれば享受出来るであろうところの平均レベル以下の文化的経済的生活を強いられている。しかし、第1に障害をもつ人への差別を禁止し、第2に、地域で自立した生活を実質的に確保するための社会保障を定める法律を有し、かつ、その法律が実効的に機能している国は極めて少ない。

  2. かかる全世界の状況を前提とすると、締約国が、第1に障害をもつ人への差別を禁止し、その解消を図るとともに、第2に障害をもつ人のノーマライズされた生活を保障するために、自国民の平均的な生活レベルが享受できるよう社会保障の措置を執るべきことを内容とした条約を批准することなくしては、世界から障害問題をなくすことは出来ない。確かに、既存の条約においても、障害をもつ人への差別禁止に関連する部分はあるが、障害をもつ人の視点に立って制定されたものではなく、しかも網羅的ではないので、障害問題に特化した網羅的な条約が必要である。

  3. 従って、条約の枠組みとしては、第1に障害をもつ人への差別禁止を中心とした市民的自由権(人権モデルと呼ばれる部分)を規定するとともに、第2に、各国が執るべき措置として、その市民的自由権を実質的に保障する社会保障制度(社会開発モデルと呼ばれる部分)を規定すべきである。その際、社会保障制度に関しては、条約を批准したとしてもその履行は各国の立法を待たざるを得ないが、条約において、締約国が制定すべき社会保障制度を明記し、その基準に関して、その最低限度を画するため、その制度が障害をもつ人の市民的自由を侵すようなものであってはならないことを最低限確認することと、障害をもつ人の地域における生活条件について、当事者のニーズに対応する基準を定めることが必要不可欠である。

  4. 人権モデルと社会開発モデルの発展的関係
    社会保障が進まない限り、人権は保障されないという議論が存在する。しかし、その国に既に存在する社会的な機会やシステム、社会的資源や富から、障害をもつ人が、障害を理由として、排除されているところに、根本的な問題があるのである。言葉を変えて言えば、どのようにして新たに何かを作り出すかと言うより、今あるものの分配の不公平さが問題なのである。従って、この条約は、差別禁止を中心にした人権モデルをベースにして、その人権を実現させる為に、社会権の保障を求めるという構造でなければならない。もちろん、国家間に大きな格差があることからすると、社会開発面での国際協力は必要不可欠である。

3.権利条約に盛り込むべき内容(【提案】参照)

【提 案】

第一部 一般規定

第1章 総 則
1 障害の定義

  この条約において、障害とは、傷害や病気などを原因とする個人の特性にかかわらず、その個人に対して、ある程度以上の能力や機能を要求する社会的環境との関係で生じる障壁をいう。
2 障害をもつ人の定義
(1)障害をもつ人とは、長期的または一時的、あるいは将来に予想される障害により、生活上の困難さをもつ、あるいはもちうる状況にある人をいう。また、環境整備なしには、障害をもたない人にくらべて不利益をこうむるか、こうむりうる状況にある人をいう。
(2)前記(1)の障害の過去の記録をもつ人あるいは、そのような障害をもつとみなされる人のことをいう。
3 障害をもつ人に対する差別の定義 
(1)障害をもつ人への差別とは、政治的、経済的、社会的、文化的又はその他のすべての生活分野において、身体的・精神的な特徴と理由により、他の人々と平等な立場で社会生活に参加する機会が奪われ、または制限されている状態にあることをいう。
(2)障害をもつ人への意図しない差別も前記(1)に規定した差別である。
障害をもつ人への意図しない差別とは、障害をもつ人に対する無知・無理解・偏見によって、行政機関および公的あるいは私的団体、個人が権利侵害の事実を認めない、または、障害の特性やニーズを踏まえた適切な配慮を行わないことによって、そのために結果として障害をもつ人が何らかの不利益と不当な取扱いを受けている状態にあることをいう。
4 障害をもつ人に対する虐待の定義
広義の虐待とは、狭義の虐待(abuse)放置(neglect)経済的搾取(financial exploitation)を包括する。狭義の虐待とは、身体的虐待、性的虐待及び心理的虐待を言い、放置とは介護放置、医療放置を含む。(おのおの定義は省略)
5 自己決定権の保障
すべての障害をもつ人は、障害をもつ人自身の生活全般に関する意思決定に関し、適切な情報の提供を得て、自ら選択し、決定する権利を有し、自己の利益にも不利益にも、他人の関与を受けない権利を有する。
6 言語と文字に関する権利
(1)手話は、独立した言語として音声言語と同等のものとして認められる。
(2)聴覚に障害をもつ人は、手話を自己の必要に応じて使用する権利を有する。
(3)点字は書記手段の一つとして認められる。
(4)視覚に障害をもつ人は点字を使用する権利を有する。

第2章 締約国の義務(国内的実施措置)
1.締約国は、第二部(障害をもつ人の市民的自由)の規約に規定する人権を即時に実施する義務を果さなければならない。
2.締約国は、第三部(障害をもつ人の社会的経済的文化的権利)の規定に基づく人権について、締約国が立法その他自国における利用可能な手段の最大限の範囲内で、これらの施策を実施する措置をとる義務を果さなければならない。
3.締約国は、この条約に関する権利の実態を調査し、当該締約国が行った実施措置の内容を検討し、さらに当該締約国に意見を述べ、この条約の促進を果たす国内監視委員会を設置する。この場合、締約国は、この機関のあらゆるレベルにおいて、障害当事者を参加させなければならない。

第二部 障害をもつ人の市民的自由

第1章 差別からの自由
第1 地域生活

1.地域生活に関する権利
障害をもつ人は、その種別、程度に関わらず、障害をもたない他の人と同等に、いかなる差別も受けることなく、地域で生活を営む権利を有する。
2.地域生活に関する差別禁止
障害をもつ人の地域生活に関する差別とは、障害をもたない人と異なる扱いを受けた場合を言い、これを禁止する。
第2 移動
1.移動に関する権利
障害をもつ人は、その種別、程度に関わらず、障害をもたない他の人と同等に、いかなる差別も受けることなく、自由に移動する権利を有する。
2.移動に関する差別禁止
障害をもつ人の移動に関する差別とは、障害をもたない人と異なる扱いを受けた場合を言い、これを禁止する。
第3 建物
1.建物に関する権利
障害をもつ人は、その種別、程度にかかわらず、建物の利用・居住において、障害を理由とするいかなる差別を受けることなく、障害をもたない人と同等の権利を有する。
2.建物に関する差別禁止
障害をもつ人の建物に関する差別とは、利用者の特定、不特定、多数、少数を問わず、障害をもたない人と異なる取扱いを受けた場合をいい、これを禁止する。
第4 利用
1.利用に関する権利
障害をもつ人は、その種別、程度にかかわらず、あらゆる商品・施設・便益・販売・接客等のサービスやプログラムの利用において、障害を理由とするいかなる差別を受けることなく、障害をもたない人と同等に利用する権利を有する。
2.利用に関する差別禁止
障害をもつ人の利用に関する差別とは、利用者の特定、不特定、多数、少数を問わず、障害をもたない人と異なる取扱いを受けた場合をいい、これを禁止する。
第5 情報とコミュニケーション
1.情報とコミュニケーションに関する権利
(1)障害をもつ人は、自らが選択する方法により、あらゆる種類の情報を利用し、し、また表現する権利を有する。
(2)障害をもつ人は、総則6の各号に掲げる手段を利用するために、締結国およびその地方自治体に環境整備を求めることができる権利を有する。
2.情報保障とコミュニケーションに関する差別禁止
前項各号の権利を、障害を理由として制限されること、あるいはそのための手段等の保障を怠ることは差別であり、禁止される。
第6 教育
1.教育に関する権利
(1)障害をもつ人は、生涯のどの段階においても同世代の障害をもたない人と統合された教育を受ける権利を有する。但し、ろう児および盲ろう児は、集団での手話による教育を受ける権利を有する。
(2)障害をもつ人は、生涯のどの段階においても(1)の教育を受ける上で、その個々人に応じた個別的支援を受ける権利を有する。
2.教育に関する差別禁止
障害をもつ人の教育に関する差別とは、次に掲げる場合をいい、これを禁止する。
(1)原則として、統合的な環境のもとで障害をもたない人とともに教育を受ける機会を提供しないこと。
(2)ろう学校において手話による教育をしないこと等、必要な個別的支援をしないこと。
第7 就労
1.就労に関する権利
(1)障害をもつ人は、いかなる差別的な処遇も受けることなく、社会のあらゆる分野において働く権利を有する。
(2)障害をもつ人は、職場環境や人的援助など、職業に就き、就労を維持するために必要な支援を受ける権利を有する。
2.就労に関する差別禁止
障害をもつ人に対する就労に関する差別とは次に掲げる場合をいい、これを禁止する。
(1)障害を理由に採用を拒否、または解雇すること。
(2)採用、賃金、昇進等の労働条件あるいは労働環境において、障害を理由に不利益な取扱いをすること。
第8 医療およびリハビリテーション
1.医療とリハビリテーションに関する権利
障害をもつ人は、心身の体調を自らの意思で良好に保ち、自らの望む日常生活と社会参加を果たすために自らが求める医療およびリハビリテーション(以下「医療等」と称す)を受ける権利を有する。
2.医療等に関する差別の禁止
障害をもつ人に対する就労に関する差別とは、障害をもつ人の存在を否定したり、その個人としての尊厳を傷つけるような不当な医療行為を行うこと。または、医療の名のもとに強制的に隔離的な環境に閉じ込めることをいい、これを禁止する。
第9 出生
1.出生に関する権利
(1)障害をもつ人は、出生において差別を受けない権利を有する。
(2) 妊娠、出産に際し、いかなる障害をもつ胎児も生きる権利を有する。
2.出生に関する差別禁止
 すべての人は、妊娠に際し、障害を排除するための治療・検査を強制されてはならない。
 また、すべての人は、胎児に対して、障害を理由とした中絶をしてはならない。
第10 性
1.性に関する権利
障害をもつ人は、その種別、程度にかかわらず、障害をもたない人と同様に性を有する個人として尊重され、何人からも恋愛や性的関係を制限もしくは強制されず、妊娠、出産をする権利を有する。
第11  政治参加
1.政治参加に関する権利
障害をもつ人は、その種別、程度にかかわらず、政治参加において、障害を理由とするいかなる差別を受けることなく、障害をもたない人と同等の権利を有する。
2.政治参加に関する差別禁止
障害をもつ人の政治参加に関する差別とは、利用者の特定、不特定、多数、少数を問わず、障害をもたない人と異なる取扱いを受けた場合をいい、これを禁止する。
第12  司法手続
1.司法手続きに関する権利
障害をもつ人は、その種類、程度にかかわらず、司法手続きに関する締約国の実定法に定める諸権利について、障害を理由としていかなる差別を受けることなく、障害をもたない人と同等に保障される権利を有する。
2.司法手続に関する差別の禁止
障害をもつ人の司法手続きに関する差別とは、司法機関等が提供すべき一般的な配慮を受けられず、または、障害をもつ人が自らの権利を保全するための固有の権利を制限されることをいい、これを禁止する。

第2章 虐待からの自由
1.障害をもつ人は、虐待(虐待、放置、経済的搾取)によって、障害をもつ人の生命、身体、財産または精神に対して危害が加えられる恐れから自由である権利を有する。
2.障害をもつ人へのあらゆる虐待は禁止される。
3.障害をもつ人が虐待を受けた場合、司法上、行政上の救済を求める権利を有する。

第三部 障害をもつ人の社会的、経済的、文化的権利

1.締約国は、自国内のすべての障害をもつ人が、以下の社会、経済、文化、その他あらゆる生活分野において、自国内の障害を持たない人の平均的な生活を確保するための諸施策を締約国に求める権利を有していることを確認する。
2.締約国は、以下の施策が、第二部の障害をもつ人の市民的自由を侵害するものであってはならず、自国内の障害を持たない人の平均的な生活を確保するために、より積極的に保障するためのものであることを確認し、実施されなければならない。
3.締約国は、次の施策(@所得保障、A介助保障、B移動の保障、C建物利用の保障、D情報とコミュニケーションの保障、E統合教育の保障 、F就労の保障、G適切な医療およびリハビリテーションの保障、H出生の保障)を策定しなければならない。また、実施する場合において、いかなるレベルにおいても障害当事者を参画させなければならない。

第四部(国際協力) 
締約国は、この条約の規定を実施することを相互に協議し協力することに合意する。

第五部 国際的実施措置
@締約国の報告制度(詳細は省略)、A個人通報制度(詳細は省略)

第六部 障害者差別の撤廃に関する委員会
締約国における、この条約に関する権利の状況並びに諸規定の実施を監視し、促進することを目的として障害者差別の撤廃に関す委員会を設置する。(詳細は省略)

提出した英文はこちら
 

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最終更新日 2003.8.20