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第6回DPI世界会議札幌大会報告集 世界の障害者―われら自身の声

トップページ活動内容海外の障害者に関する協力等の事業第2回DPI北東アジア小ブロック会議in福岡 の報告

 議題2 地域生活支援の方策 ■

6月10日(金曜日)13:30〜17:00
場 所:福岡国際会議場使用言語:日本語と中国語、韓国語、モンゴル語通訳

 報告・提起 
 どんな障害を持つものであっても地域社会の中で人としての権利と生活を保障されて生きていくことができる社会こそ、豊かな社会である。重い障害を持つものが地域で主体的に生きていくことを支える支援の仕組みはどのようにつくられているか、当事者団体はどのような役割を果たしていくことができるか、障害者の地域生活をどう支えてゆくのか、また、どのような条件整備、問題があるのかを自立生活運動の現状、福祉サービス(地域生活支援・介助保障)のあり方、所得保障の状況、日本の「障害者自立支援法」について各国から報告し、論じ合った。
 韓国からは主に、福祉サービスの現在の在り方とこれから行われようとしている自立生活センター(以下、CIL)への試験事業(試行プロジェクト)およびそれに伴う全国ネットワークの必要性について報告された。
 現在、韓国で法的に支援を受けているのは入所施設、グループホームで、地域生活を支える為の法的な支援は整備されていない。入所施設には現在約2万人の障害者が入所しており、政府の支援は施設に傾いている。中央政府からの支援は約300億円で内70%は施設関係に使われている。韓国では、1997年頃より、自立生活について議論され始め、4〜5年前より、実際に自立支援活動がはじまった。現在では20か所あまりのCILが活動し、自立生活運動は少しずつ活発になってきているが、法的支援がなされていない為に、ピア・カウンセリングや介助者派遣などがまだまだ行われていない現状がある。また、主にアメリカから導入されてきた自立生活の理念の違いを今後どのように克服していくかが課題となっている。
今年から全国10ヶ所のCILではじまる試験事業では、政府より各CILへ1500万円の資金援助が試験的に出される予定で、各センターへの出資の内訳は、900万円は地方自治体から、600万円は中央政府から拠出されることになっており、資金の用途は、1500万円のうち400万円はCILの運営費、残りは介助者派遣に使われることになっているとの現状報告がされた。韓国DPIとしては、自立生活センターは地域中心の活動となるため、全国レベルで支援や法案策定について取り組むための全国ネットワークの組織をつくり、試験事業の成功へ向けて積極的な活動をしていることが報告された。
 現時点での韓国政府は消極的であり、試験事業の結果によっては韓国政府が、今後継続した支援をつづけてゆくかが問われており、韓国の自立生活センター事業の今後を左右しかねない重要な時期に来ていると報告がされた。また、日本の例をみて財政的な拠出について注意を払っていることにも触れていた。肯定的な面としては、障害者運動が展開されてきたことで韓国政府もこの圧力に答えなくてはならない状況になってきたことが挙げられていた。今年1年間の試験事業についての報告委託者となっているイ・イクソプ会長は、日本との情報交換が重要になり、障害当事者間の情報交換と相互支援が必要であると国際的な経験の交流を求めた。
 モンゴルからは、主に障害者の就労支援と財政面での支援についての報告がされた。1998〜2005年のガイドラインの内容に障害者の国レベルでの財政面の改善について謡われていることが報告された。また、アジア開発銀行、国連基金、ウランバートルのボランティア機関による地域における障害者の就労支援については、2004年の政府機関による実行の状況をまとめたものによると、計画の50%しかできていないということが報告された為、2005年8月に反省に基づく新しい提案を行ったこと、さらに、2005〜2007年の計画内容を具体的にあらわし、地域における戦略を重点的に行った事が報告された。その他、地方政府からの予算の拠出もお願いしているが、モンゴル政府は財政難なので、オーストラリアより受けた資金提供により、5つの県において新しい事業を始めることや、国連の援助により4つの県に、パン工場、フェルトで作る工芸品工場、民族衣装をつくる工場など、障害者の就労の場を作ったこと、2002〜2005年の日本の貧困開発支援により障害者施設にコンピューターを送ることができたことも報告された。また、アジア開発銀行ジャパンプログラムによる資金援助により義肢・補装具の工場をつくることができたが、モンゴル人の義肢・補装具に関わるスタッフが育成されておらず、技術支援の国際協力を求める場面もあった。
 中国からは、主に障害者に関する法整備の状況についての報告がされた。1990年に障害者保護法を定め、現在36の法律の中に障害者の権利を守る規定が盛り込まれ、昨年より、障害者権利条約に基づく障害者の権利、保護、偏見の禁止、社会的な平等・公正の問題を中心に改正し、具体的な内容を盛り込んでいることが報告された。中国でも貧困地域に多くの障害者が存在し、教育・生活において困難な状況にあるため、貧困緩和支援会議をおこなった。また、雇用については、解雇された障害者の改善に関する法律案が作られたが、依然、精神、知的障害を持つ障害者の雇用が難しい状況にあることが報告された。その他、毎年、地域ごとのプログラムとして政府から予算が配布され、車いす、補聴器、義足等福祉用具の配布が行われていることが報告された。
 日本は、1970年代より始まった自立生活運動の歴史的な経過と障害者に対する偏見や社会的背景、自立生活センターの成り立ちと発展、取り組みについての報告と、世界会議札幌大会後から始まった障害者の自立生活を揺るがす地域生活支援制度の変革と障害者運動の激動の3年間についての報告がされた。特に、2003年度から始まり、予算不足を理由に介護保険統合への組み込みをされようとしている支援費制度については、昨年秋より、2ヶ月に1度、厚生労働省や国会に2000人あまりの障害者が集まってデモを行い、国会での議論がはじまった5月上旬には、日本の障害者運動の歴史的記録に残る1万人近い障害者が集結したこと等、激しい抗議行動を続けてきた現在の日本の障害者および運動の緊迫している状況が報告された。さらに、近々大詰めとなる国会の議論の中で、われわれの意見が受け入れられ、根本から法律の改正が行われるのか、このまま名前とは裏腹に地域生活が困難になる自立生活支援法が通過してしまうのかが問われる大きな山場となっている厳しい状況を説明し、これまでの日本の障害者が運動により勝ち得てきた、地域での自立生活の歴史の後退にならないように見守っていてもらいたいと緊張感のある報告がされた。

 意見交換、質疑応答    
 日本と韓国の福祉サービス(地域生活支援、介助保障)について、CIL(自立生活センター)の目指すものと発展への経過について意見交換を行った。
 日本からは、中西正司DPIアジア太平洋ブロック議長より、CILの理念と発展への経過について報告された。まず、CILは障害当事者が運営を行っていくことの重要性が話された。また、CILの発展の経過として重要なことは、より重度の障害者が地域で自立生活を始めることで、障害者に介助が必要であると障害当事者が直接行政に取り合い、理解を求め、サービスが得られるように交渉し続けることが重要であると報告された。
 韓国からは、これから行われるCIL試験事業の理念とその実現に向けての方針について報告された。韓国DPIの目指しているCILの方向性は、当事者主義の展開である。そのため、重度の障害者たちのニードを作ることに重点を置き、サービスの供給者主体である福祉体系に変革をもたらすことで、障害者の主権を回復する障害者運動を展開してゆきたいという意向が現された。現在、既存の福祉館により介助者派遣をしようとしているものもあるが、当事者がかかわるというよりも、サービスの提供が重視であり、当事者中心で行っている側としては不安がある。また、施設に流れていた資金をCILへ流れるような仕組みを作り、CILをとおして、当事者へ直接お金が流れるような仕組みを作りたいという今後の韓国でのCILの取り組みが紹介された。
 その他、介助サービス以外の地域で暮らしてゆく為の支援として、所得保障、住宅、雇用について話し合われた。
 日本では、1960年障害者雇用促進法ができたが、重度の障害を持つものへの雇用にはあまり役立っておらず、法定雇用率1.8%と目標達成率は定められているが、これに達したことは一度もないことが報告された。年金制度について日本は、1986年に作られた障害者年金制度が作られ、障害者の33%が受けていることが話された。また、年金制度で長年に渡って問題になっている無年金障害者問題についての報告もされた。学生、主婦で20歳をすぎて障害を負った障害者で無年金となっていた対象者には、2005年4月から救済制度ができたが、在日外国人、特に在日コリアンで障害を持った人たちの無年金問題は未だ解決しておらず差別的な状況に置かれているという報告がなされた。また、この問題で、昨日、全国の無年金の在日外国人が東京に集まり、国会の中でこの問題の解決をしようと取り組みを行っていることも報告された。

 まとめ 
 地域での自立生活やサービスの供給体として、当事者ではない人たちが施設を根強く守ろうとし、当事者との運動での対立があることは、共通した問題があることが確認できた。また、経済的保障については、日本の場合、全ての国民を対象にした制度である生活保護制度があり、重度障害者は、この制度を受けて経済的保障をはかり、地域で暮らすための方法をとってきた人が多い。障害者が権利をつかって地域で生きてゆく為の基本的な経済的保障の必要性を訴え続けてきたことで、政府が理解し、障害者年金制度が作られた経過から、運動の力が絶対に必要であることが確認された。韓国もこれについては賛成意見であり、障害年金を作っていくことは重要な課題であると意見を表明した。
 その他、経済的な保障を行う運動、ホームヘルプサービス、経済的な支援の運動と地域生活のさまざまな条件整備について話し合ってきたが、それぞれの国で問題を抱えていて、運動を続けていく必要性があることは共通していることが再度確認された。
 最後に、韓国DPIイ・イクソプ会長より、地域社会で障害者が生活していく為の当事者自身の声を反映させてゆくことの重要性、自己決定をしていくことの大切さ、そしてそれは、サービスの供給者から、利用者中心のパラダイムの変換を意味することを改めて訴えた。また、こうしたパラダイム転換は社会全般にわたるものであり、障害者分野に一番最後に来たと言うことに他ならず、各国ごとに状況は異なるが、自立生活について経験を分かち合っていきたいと付け加えた。国連で進められている条約草案にも自立生活という項目が含まれているが、条約が採決されたならば、北東アジアの国家にも大きな義務が化せられることになる。国ごとに自立生活の視点は異なるが、全ての障害者の願いであり、希望だと思うので、未来を準備するという思いで、積極的に情報交換をしていき、日本の経験、韓国のこれからの変化がモンゴルや中国に広がっていければよいと国際会議の意義および相互協力の必要性を強調した。

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最終更新日 2005.7.20