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トップページ活動内容海外の障害者に関する協力等の事業第2回DPI北東アジア小ブロック会議in福岡 の報告

 議題 1 物理的バリアの解消に向けて

6月10日(金曜日)9:00〜12:30
場 所:福岡国際会議場使用言語:日本語と中国語、韓国語、モンゴル語通訳


 報告・提起 
 障害者が生活して行く上でもっとも大きな課題の一つとなっている物理的バリアの解消について、各国での交通機関をはじめとした各種施設のバリアフリー化がどこまで進んできたのか、さらにバリアフリー社会建設のための法制度がどのようになっているのかということについて情報交換と意見交換を行った。
中国では、バリアフリー施設の建設にかかわる部署が11あり、建設部、民生部、全国高齢者部会、中国障害者連合会が主にかかわっている。また、北京、天津、上海、広州、西安等の全国12の都市をサンプル都市として定め、都市のバリアフリー化の改善に努めているとの報告があった。この12のサンプル都市においては、2002年1月より新設した公共施設、スポーツ施設、医療施設等で障害者へのバリアフリー設備を義務付けている。また、地方政府機関の建物、総合病院等の古い建物の改築にも力を入れており、バリアフリー化を進めてゆく積極的な取り組みが行われている報告がなされた。今後の問題点には、都市部と地方都市との格差の解消を挙げていた。また、課題としては、古い建築物の改築・改造は建築物自体があまりよい建物といえない為、改築に困難が生じ、財政的にも難しいことが挙げられていた。その他、物理的バリアの解消に向けての取り組みの意識を高めることを社会に理解してもらうためにも、先進国の意見を取り入れて、中国のまちづくりに役立てたいという社会への意識面における改善についても積極的な姿勢が見られた。
モンゴルでは、交通アクセス問題は国の重要な課題になっており、2005年に前大統領が「都市建設における障害者の条件を改善するガイドライン」の実行を定め、初めて駅や大きな企業に障害者のための設備を整備し、車いす利用者、視覚障害者を優先することが盛り込まれたことが報告された。新しく建築される建物に対するこのプロジェクトの実行状況の調査によると、実際にはまだガイドラインが守られていないのが現状であると述べていた。現在の状況としては1994年から2005年にかけて、医療機関、デパートなどで簡単な障害者向けの設備が作られてきたが、未整備なところが多く、建物の2、3階へは人が車いすを担ぎ挙げる光景が頻繁にみられるとの報告がなされた。
韓国からは、障害者の物理的なバリアを解消するための2つの法律についての報告がされた。1つは、1997年に制定された障害者のアクセスに関する法律「高齢者・障害者・妊婦等の便宜増進に関する法律」で、道路や公園、公共の建物、公共的に使用する施設、交通手段、通信施設などのアクセス権を保障しており、国および地方自治体の義務規定が定められている。未だ、古い建物や個人所有の建物は困難がともなっているが、この法律の制定以来、建物やアクセスは大幅に改善されてきたという報告がなされた。もう1つは、2005年1月に制定され、障害者など移動弱者の権利を明記した「交通弱者の移動便宜増進法」で、公共のバスや鉄道、船舶に関連する施設に対する規定が定められている。5年前に起きたオイド地下鉄駅に於ける階段昇降機墜落事件を契機に、障害者たちが持続的に闘いながら、障害者の移動の保障に関する法律の制定を求めて運動を続け、その成果としてできた法律である。
日本でも、大きく分けて1994年制定のハートビル法と2000年制定の交通バリアフリー法の2つの法律についての報告がされた。1970年代からの地域での自立生活運動が進められてゆく中で、障害者の権利として、自立と社会参加を求め、地域で自由に移動できる条件の確立を訴え続けた日本の障害当事者運動の歴史的背景を踏まえたハートビル法および交通バリアフリー法が出来るまでの長い闘いについての報告がなされた。いずれの法律も、ガイドラインや整備指針の策定等の段階を経て法整備に辿り着いたものであり、障害者団体の粘り強い運動の必要性が強調された。現在の大きな課題としては、2006年に予定されている交通バリアフリー法の見直しにおける次の3つの課題である。1つ目は、障害者の移動の権利についての明記、2つ目は、(駅や車両の)既存のものの改善の義務について、3つ目は、自宅から目的地、そして自宅へと切れ目のない移動を確保してゆける仕組みである。最後に、バリアフリーで、平等な社会作りの取り組みを共に目指したいという今後の運動の方向性が示された。

 意見交換 
後半の意見交換は、韓国DPIのイ・イクソプ会長より各国の発展ために必要なことが何かを知るために、また、どのような支援が出来るのかを明らかにするための議論を深めてゆきたいとの提起がなされた。続いてDPI日本会議の三澤議長より、韓国、日本における法律に障害者運動がどのように係わってきたのかを振り返り、その良いところ、あるいは反省すべき点を出し合って、これから法律づくりをされる国々に参考にしてもらいたいと提起した。
 韓国からは、法律制定への当事者運動の過程において視覚・聴覚障害者の参加が少なく、より多くの障害者が参加できるような広範な運動を組み立てることができなかったことが、反省点としてあげられた。そのため、論議が身体障害者中心でされた為、視覚・聴覚障害者の意見が充分に反映されなかったとの報告がなされた。肯定的な評価としては、5年前の事故を契機に障害者の側から持続的に問題提起をしてきたことや、他の市民団体との連携が活発にとれたことなどが挙げられた。障害者の移動の権利の問題を社会が共同で解決していくという視点で問題化することで多くの協力が得られ、問題解決に成果を上げることができたという障害者の問題を社会全体の問題としてとらえ、障害者運動にとどまらない市民権運動への展開の重要性が示された。
 また、中国や韓国から、バリアフリー化における内容が、身体、視覚・聴覚に傾いていて、知的障害者や精神障害者には配慮が少ないという似通った現状が報告された。日本の取り組みとして、知的障害者にも分かりやすく、漢字だけでなくひらがな表記をしたり、外出の際の付き添い介護の派遣に取り組んできたなど知的障害者への現時点での配慮についての取り組みを紹介した。
 DPI日本会議の山田前議長からは、障害当事者達が国家プロジェクトに企画の段階から参加した中部国際空港と愛知万博についての取り組みについて報告がされ、本当に障害者にとって使いやすいものになるのかということがモニタリングで確認・評価されていくことが重要であると強調された。また、DPI日本会議の尾上事務局長からは、バリアフリー法見直しの中で、具体的な事業実施計画とモニタリングへの当事者参加を明記することを提起する意向を表した。そして、DPI日本会議で交通アクセス全国調査の実施を行い、行政によって公開された情報と当事者からなされた評価の違い等の比較ができるようにする調査を今後定期的に行い、定点調査の実施をしていきたいという障害当事者自身によるモニタリング実施計画の取り組みを示した。
 モニタリングについて韓国では、韓国便宜施設促進市民連帯という民間のNGOにおいて、97年アクセス権を定めた便宜増進法についての継続的なモニタリングが行われていること、また、モニタリング実施後にあがった問題点について政府へ圧力を与えるときは、他の団体と協力をして行なうことなどが報告された。視覚障害者協会、聴覚障害者協会等、各々の障害の立場からのニーズが満たされているかどうかの意見の収集にあたり、障害種別を超えた団体間での取り組みについての重要性を提起した。
 2008年に北京オリンピックが予定されている中国の取り組みについては、北京市政府とオリンピック実行委員会が共同で組織を作っていることが報告された。オリンピック関係施設にとどまらず、オリンピックに関係ある道路などを全て整備しなおし、総合的なバリアフリー計画を立てている。また、中国障害者連合会の事務所に障害者当事者である中国障害者連合会主席を含めたパラリンピック実行委員会が設置され、綿密な打合せが図られていることが話された。三澤議長からは、オリンピック開催に伴う町の変化を利用し、バリアフリー化を目指し、障害者にとっても使いやすいまちづくりの構築ができるようにして欲しいと日本での過去の経験を元に中国への今後の期待を話した。

 まとめ 
 韓国、日本における2つの法律の経過と意義の報告から、法制度への経過はいずれも、地方自治体がガイドラインを作ることから始まり、段階的に法律制定への経過をたどっていることから、障害当事者が果たした役割として、継続的な運動、障害種別を超えた団体または市民団体との連帯の重要性が改めて確認された。また、政府と運動体が共に制度内容を作ってゆく重要性を確認してゆく中で、組織面においても法制度においても発展途上にあるモンゴルから、障害者問題の解決にあたり障害当事者から具体的な提案をしてゆかなければならないという力強い意見が聞かれた。さらに、法制度がすでに整備されている中国、韓国、日本においてはいずれも、企画の段階からの当事者参画およびモニタリング実施の重要性が確認された。また、反省点や今後の課題の取り組みとしては、物理的バリアの解消問題に身体・視覚障害に偏りがちになることが多く、この状況を脱却し、障害者全体の問題として取り組んでいく必要があることも確認された。
 最後に、韓国DPIイ・イクソプ会長より、具体的なアジアの国際的な総合協力として、実際に他国より何を学び、何ができるのかについてより深い議論をする必要があり、国際会議開催の意義を有効に活用する必要性があることが強調され、DPI日本会議三澤議長より、今後の具体的な実施内容について福岡宣言の中に盛り込み、韓国作成のホームページの中でどのように情報交換を行ってゆくかについても議論してゆくことを確認し、この議題についての会議を終了した。

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最終更新日 2005.7.20