1999年7月

人権教育・啓発に関する答申案についての意見

DPI(障害者インターナショナル)日本会議
議長 山田 昭義

<意見の要旨>

[1] 障害者の機会均等化に関する基準規則[以下、基準規則](1993年、国際連合総会で採択)の観点から、その内容に合致する教育・啓発の指針としていただきたい。

[2] 法的措置の必要性を明記していただきたい。

<意見>

[1] 上記「基準規則」は、国連障害者の十年に得られた経験に基づいて策定されており、国際人権諸条約並びに「障害者に関する世界行動計画」を基盤としている。

A.本「基準規則」の[T.平等な参加への前提条件・規則1(意識向上)]において、
「政府は障害をもつ人、その権利、潜在的能力・ニーズ・貢献に関して社会の意識を向上するための行動をとるべきである」としている。

B.「答申案」の「第1」項の「1 人権に関する現状」では、総理府が実施した「人権擁護に関する世論調査」の結果をもとに「自分の権利を主張する上で他人の権利にも十分に配慮する必要があるという認識がいまだ国民の間に十分に浸透していないことがうかがわれる」と指摘している。この指摘は、現状では、差別を受ける当事者が自分の権利を主張することに大きなブレーキをかけるものであり、削除または修正すべきであると考える。

C.「答申案」の同項においても記されている「障害者に関する課題として、就職に際しての差別の問題のほか、障害者への入居・入店拒否」「知的障害者等に対する身体的虐待事件の多発」の原因は何かが明確にされなければならない。[規則1]が提起しているように、障害当事者の多様なニーズ、自己決定・自己実現の意味等、当事者の思いが反映される教育・啓発の研修プログラムが必要であり、その策定過程に当事者が参画する必要がある。

D.「基準規則」の[U.平等な参加への目標分野・規則6(教育)]では、「統合教育と地域に根ざした計画は、障害をもつ人に対費用効果の高い教育と訓練を提供するお互いに補完するものとみなされるべきである」「普通学校体系が障害をもつ人全てのニーズを依然として適切に満たさない場合には、特殊教育の考慮も可能である。その目的は学童を普通学校体系教育への準備することにあるべきである。特殊教育の質は普通教育と同じ基準と意欲を反映し、普通教育と密接に関連づけられるべきである」としている。

E.「答申案」の「2 人権教育・啓発の現状」では、「障害者に対する正しい理解認識を深めるために、障害のある児童生徒と障害のない児童生徒や地域社会の人々とが共に活動を行う交流教育等の実践的な取り組みが行われている」と記されているが、分離教育を基本に「交流教育」の積極的な評価をおこなうのは、統合教育を前提とする「普通学校体系教育への準備」の方向とはまったく逆行するものである.
削除または修正を求める。

[2] 前記のa)〜e)を踏まえて、とりわけ障害をもつ人のニーズ、自己決定の意味の理解を核心とする教育・啓発プログラムの策定、統合教育と地域に根ざした計画の実施のためには、政府及び地方公共団体の責務の明確化と積極的な財政措置が不可欠である。
 人権擁護施策推進法の制定に伴う付帯決議(必要な法的措置)の速やかな実施を強く要請する。 

以上

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