2004年2月28日

プロ野球コミッショナー 様

DPI(障害者インターナショナル)日本会議
議長  山 田 昭 義

各球団及び球場における障害者のプロ野球観戦に係る対応について(要望)

拝啓 時下ますますご健勝のこととお喜び申し上げます。
 突然、こうした要望を提出する失礼を冒頭にお詫び申し上げます。
 私たちは、障害者が、障害のない人たちと同様に地域で当たりまえの生活ができるよう、国内外で活動をしている障害当事者団体です。
 実は、昨年8月12日と13日に、札幌ドームで開催された、横浜VS阪神戦に、地元の車いす使用者3名が、観戦の申込をしたところ、車いす利用者の単独観戦を拒否され、介助者の同行(有料)を求められました。
 これに対して、当該車いす利用者は、日常生活、旅行等においても、特に介助者を要せずに生活をしていることを説明し、観戦が認められました。
 私たちは、今回の横浜の対応について、大変大きな失望を覚えるとともに、障害者に対する認識不足、偏見、差別的な対応として、憤りを覚えました。
 障害とは、その人のもつ個性でありますが、そのために様々な活動や社会参加に制限を受けています。その理由は、段差などのバリアと障害者は、何もできなく守ってあげなくてはいけない存在などとして見る偏見などがあります。
 最近の公共施設は、段差解消、エレベーター、障害者用トイレの設置などにより、障害者の社会参加を阻む障壁の解消(バリアフリー)を進め、障害があってもなくても、誰もが、ともに利用できる設備と環境づくりを進めています。
 札幌ドームも、障害者の受入のためのハード面の設備には、大きな問題もなく、多くの車いす利用者がサッカーや野球などを、単独で観戦し各種イベントにも参加してきました。
 また、日常生活に介助を要する障害者であっても、必ずしも外出時に常時介助者を同伴しているものではなく、介助者の同伴は、その障害当事者自身の判断と責任に基づくものであり、第三者が本人の意思を無視し介助者の同伴を強要することを、私たちは、障害者への人権侵害であるととらえています。
 今回、関係者から、車いす利用者のプロ野球の観戦については、横浜だけではなく、すべての球団が介助者の同行を義務づけているという話を聞きました。 
 こうした経緯があり、私たちとしては、障害者のプロ野球の観戦に対して、各球団がどのような対応をしているのかを承知したく、別添のとおり12球団に対しましてアンケート調査と同様の経験を有する障害者へ体験報告の収集を実施しました。
 つきましては、ご多忙中、誠に恐縮ですが、以下の項目について要望したく本書をもってお願い申し上げます。

敬具

1)障害があっても障害のない観客と同様に、介助者の同伴など、特別の条件を本人の意思を無視して求めないでください。 

2)障害者の観戦にあたり、公共交通機関の利用が困難な場合の駐車場の確保や、ハード面での対応が困難な場合に人的サポートを実施するなどソフト面での受入のための対応をお願いいたします。

3)障害者や高齢者が安心して観戦できるために、地元の障害者の声を反映しながら、施設や運営面でのバリアフリーやユニバーサルデザインの推進をお願いいたします。

4)障害者の観戦の席を一方的に限定しないでください。

5)障害者の受入に関して、球団、主催者及び運営スタッフへの研修を実施してください。

<参考>
○ 障害者基本法〜抜粋(厚生労働省所管)〜
(基本的理念)
第三条 すべて障害者は、個人の尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利を有するものとする。
2 すべて障害者は、社会を構成する一員として社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会を与えられるものとする。
(公共的施設の利用)
第二十二条の二 
2 交通施設その他の公共的施設を設置する事業者は、社会連帯の理念に基づき、当該公共的施設の構造、設備の整備等について障害者の利用の便宜を図るよう努めなければならない。

○ 障害者基本計画〜抜粋(内閣府所管)〜
一 基本的な方針(考え方)
1 21世紀に我が国が目指すべき社会は、障害の有無にかかわらず、国民誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合う共生社会とする必要がある。
 共生社会においては、障害者は、社会の対等な構成員として人権を尊重され、自己選択と自己決定の下に社会のあらゆる活動に参加、参画するとともに、社会の一員としてその責任を分担する。
 他方、障害者の社会への参加、参画を実質的なものとするためには、障害者の活動を制限し、社会への参加を制約している諸要因を除去するとともに障害者が自らの能力を最大限発揮し自己実現できるよう支援することが求められる。(一部省略)
 国民誰もが同等に参加、参画できる共生社会は、行政だけでなく企業、NPO等すべての社会構成員がその価値観を共有し、それぞれの役割と責任を自覚して主体的に取り組むことにより初めて実現できるものであり、国民一人一人の理解と協力を促進し、社会全体としてその具体化を着実に推進していくことが重要である。
 

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最終更新日2004.3.10