2003年10月8日
様
特定非営利活動法人DPI(障害者インターナショナル)日本会議 議長 山田 昭義
配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律の見直し作業に関する要望書
貴職におかれましては、日ごろより共生社会の実現に向けてご尽力されておりますことに心より敬意を表します。
私たちDPI(障害者インターナショナル)日本会議は、国連の諮問資格を有するNGOであるDPIの国内組織として、障害者の自立生活の実現と人権確立を目指して、障害別を超えた活動を展開しています。昨年10月には札幌で世界中から約3200名の参加者のもとで、DPI世界会議が開催されました。
DPI日本会議としては、このたびのDPI世界会議の成功が今後の国内外の障害者政策、障害者運動にも重要な意義を持つものと考えて取組みを進めているところです。この世界会議において、ドメスティック・バイオレンス(以下、DV)をはじめとする暴力の被害者を守るためのシステムの中で、障害を持つ人は排除されている、といった報告が海外の参加者よりされております。日本においても例外ではありません。
私たちは2001年4月に成立し、ただ今見直し作業が進んでいる「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」について、障害を持つ被害者もいることを踏まえた上で見直しが進むことを要望します。
現在、障害を持つ被害者は、法律の中に明記されている「暴力相談センター」や「一時保護施設」において、適切に対応がされているとは言えません。
また、特に、障害を持つ者にとっては、DVの被害は、配偶者からの暴力のみならず、家族や施設職員等によるものまであり、深刻な問題であることを認識していただきたいと思います。本年7月に行われました女性差別撤廃委員会第29会期(2003年6月30日〜7月18日)の最終コメントにおいても「委員会は、日本政府に対し、暴力を防止し、被害者への保護・支援その他のサービスを提供し、加害者を処罰するために、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律の対象を拡大して多様な暴力の形態を含めること、強かんに対する刑罰を重くすること、近親かんを特定の犯罪として刑法上に規定すること、委員会の一般的勧告19に沿った政策を実施することを強く促す。」という勧告がでています(勧告26)。
以上のことから、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律の見直しに関し、以下の点を要望します。
1.障害を持つ被害者について
法の見直しにおいては、障害を持つ被害者も障害を持たない被害者と同等の対応を受けられることを保障すること。
2.情報提供のあり方
暴力相談センター、女性センター、その他支援機関から発信される情報にはあらゆる障害を持つDV被害者へも情報が伝わるようにすること。
具体的にはちらし、パンフレットおよびホームページなどには、電話番号だけでなく、ファックス番号、電子メールアドレスを明記することを原則とし、点字版や知的障害を持つ被害者も含めたわかりやすい資料等も準備し、配布場所も施設等広げていくことを最低限度の体制として整えるべきである。
3.窓口対応
暴力相談センター、女性センター、その他相談対応窓口において、職員に対し、障害を持つ人の特性に応じた対応についての研修等を行い徹底させること。
例えば、第一番目の対応窓口で、言語障害を持つ被害者への対応が不適切であったりすることをなくすことがある。他にも、聴覚障害を持つ被害者に対する手話通訳派遣の知識等、障害者の社会資源に関する知識だけでも整えていくことはしていくことを職員に徹底させていくべきである。
4.一時保護および施設のありかたについて
公的施設である一時保護施設は、避難の点から意図的に物理的バリアを設置している民間シェルターを利用できない障害を持つ被害者を積極的に保護すること。そのために、各施設に最低一室はバリアフリーな部屋を設けること。共同場所のバリアフリー化、点字資料、知的障害者も含め わかりやすい資料の作成、常備などに努めること。
現在、手がかかるという意識からDV被害者が障害者であると障害者の施設に送るといった対応がされている。被害者の心理状況を考えると、DVセンターが介助体制も含めて、ケアができるようにすべきである。職員が直接介助の対応をせずとも、センターを居住地として介助者の派遣などができるよう法整備を行っていくべきである。また、保護だけでなく被害者の自立に等の対応に関連して、障害者の地域生活支援を担っている障害者自立生活センター等を協力機関として位置づけるべきである。
5.当事者参画について
上記のことを推し進めるときには、障害当事者を準備段階から参画させること。
6.保護の対象の拡大
配偶者からの暴力のみならず、「ドメスティック」本来の意味である家庭内、生活の場である施設も含めた場における暴力の被害に対応できるものにすること。
7.予算措置について
上記のことを推し進めるための予算措置を講ずること。
以上