2003年10月6日
厚生労働大臣
坂口 力 様
特定非営利活動法人 DPI日本会議
議長 山田 昭義
障害者(児)の地域生活支援の在り方にかんする検討会の進め方についての要望書
厚生労働省におかれましては日々、障害者の自立と完全参加の実現に向けてご尽力のことと存じます。
周知の通り、今年1月、「ヘルパー上限問題」が起こり、私たちDPI日本会議を含めた障害者団体は一連の行動を繰り広げました。その結果、厚生労働省より5項目の「今回の国庫補助基準に関する考え方」が示されました。
この合意に基づいて、今年5月から「障害者(児)の地域生活支援の在り方に関する検討会」が、発足し、すでに7回の会合がもたれてきました。
委員からの報告・ヒアリングが一通り終わり、いよいよ本格的な議論が展開される時期に来ていると認識しております。
前述のような経過を経て発足した検討会であることから、全国の障害者や関係者の注目を集め毎回多数の傍聴者が参加しています。こうした関心と期待に応える検討がなされることを願い、以下、検討内容や進め方について意見提起します。
1.検討会事務局である障害保健福祉部のほとんどのスタッフが、この8月に人事異動となった。そのことから、去る1月の合意に至る経過を、再度確認するとともに、その合意に基づく運営を行って頂きたい。また、これまで委員からの報告やヒアリングで提起された課題や項目を丁寧に受け止めて議題・論点の設定を行うこと。
※1月27日の合意事項の第4項目には
「検討会をできるだけ早い時期に設置することとし、支援費制度下におけるホームヘルプサービスの利用や提供の実態を把握した上で、在宅サービスの望ましい地域ケアモデル、サービス向上のための取組等、障害者に対する地域生活支援の在り方について精力的な検討を行うこととする。
また、国庫補助基準については、支援費制度施行後のホームヘルプサービスの利用状況等を踏まえ、検討会において、その見直しの必要性について検討するものとする」と記されている。
2.検討会が設置されるきっかけとなった「ホームヘルプサービスの国庫補助基準」について、見直しを進めて頂きたい。障害者一人ひとりのニードに基づいた介助サービスが提供されるよう検討を進めること。特に、下記の点を十分ふまえて議論を進めること。
@一人暮らし、障害者のみ世帯等の場合で家族の介護が得られない重度障害者等の緊急性の高いホームヘルプのニーズに対して必要なサービス量を確保すること。
A2003年度に設けられたヘルパーの国庫補助基準について、各地域の実態をふまえて改善を図ること。
3.現在、障害者ホームヘルプサービス予算は裁量的経費として位置づけられている。しかし、ホームヘルプサービスは障害者の生命に関わるものであり、また、ヘルプ派遣に伴う人件費に当てられるものである。そうした点から、ホームヘルプサービス予算を義務的経費として位置づけなおし、しっかりと財源確保がされるよう法制度の改定も含めて検討して頂きたい。
4.障害者の地域生活を進めていくために、障害者のニードに応じて包括的な支援が得られるよう新たな人的サービスの創設を検討して頂きたい。特に、複数の委員から提起され、海外事例のヒアリングの中でも述べられていた「パーソナル・アシスタント・サービス」について、わが国での制度化に向けて検討を進めること。
その際、従来のホームヘルパーサービスの類型・内容に拘泥することなく、障害者の多様な特性・ニードをふまえ、かつ社会参加やコミュニケーションを含めた包括的な支援ができる内容とすること。
5.障害者の自立の視点からの費用負担の見直しを進めて頂きたい。特に、全身性・知的・視覚のガイドヘルプ(移動)サービスに関して支援費制度以前は本人所得に基づく負担のみとなっていたのが、支援費制度により扶養義務者にまで負担の範囲が拡大した。そうした経過をふまえて、本人負担のみに戻すことも含めて負担のあり方を議論すること。
6.これまでの検討会で、障害種別を問わず、体験を通じてエンパワメントを行い、地域生活をステップアップしていく活動・プログラムが重要であることが報告されてきた。そのことをふまえて、自立生活体験事業・プログラムの創設について検討して頂きたい。
7.障害者基本計画でもあげられている「施設からの地域移行」を着実に進めていくため、その具体的計画と支援システムを検討して頂きたい。また、地域移行の人数分を勘案し必要な地域生活支援サービスの増加分をシミュレーションするとともに、地域生活支援関連に重点的に予算配分がなされる仕組みを検討すること。
また、いわゆる「施設待機者」について、地域で必要なサービス・支援が得られないために地域生活の継続が困難になっている状態の現れと見るべきである。往々にして本人の希望ではなく、家族や周囲の意見に基づいて申請されているのが実情である。そうした点から、「施設待機者数」を根拠にして入所施設を増やしていくことには問題がある。「施設待機者」とされている者について、本人の意向や、居宅支援費の支給決定・サービス利用状況、相談や情報提供を得る機会の有無などについての実態把握を行うこと。
8.支援費制度を利用し、地域での自立生活を進めている障害者からのヒアリングを進めて頂きたい。特に、24時間介護が必要で言語障害などのためコミュニケーションの慣れが必要な脳性マヒ者、人工呼吸器(ベンチレーター)を利用して生活している障害者等からのヒアリングを行うこと。また、重症心身障害者(児)の地域生活支援を進めている実践例のヒアリングの機会を持つこと。
9.周知の通り、当検討会の議論と平行して、社会保障審議会・介護保険部会で介護保険見直しの議論が進められてきている。当検討会の議論内容を社会保障審議会・介護保険部会に十分反映させるようにして頂きたい。また、当検討会での結論が出る前に、同部会で若年障害者の介護保険の統合の議論が先行することのないように、二つの会議の議論の日程を整理すること。
10.精神障害者の地域生活支援についても、別の「精神障害者の地域生活支援の在り方検討会」の議論と連携を取りながら議論を進めていくこと。特に、精神障害者ヘルプサービスやピアサポート活動支援の充実策については、他の障害とも共通する内容が多いことをふまえてあわせて議論を進めていくこと。
また、知的障害当事者の参画について、「発言も可能なオブザーバー」となっていることから、その実質にあわせて、少なくとも「特別委員」、または「臨時委員」として位置づけなおして頂きたい。