2002年2月28日

厚生労働大臣 坂口 力  様

特定非営利活動法人 DPI日本会議
議長 山田 昭義

支援費制度に関する緊急申入書

 厚生労働省におかれましては、2003年4月からの支援費制度の実施に向けて精力的に作業を進められていることと拝察します。支援費制度の枠組みならびにサービスシステムに関しては、これまでにも再三にわたり意見提起をしており、担当部局との意見交換により制度の内容に関する認識を深めてまいりました。
しかしながら政省令交付を目前にした現時点で未だ明解にされていない事項が多く残されていることに対しては、各種のサービスを利用して生活を成り立たせている多くの障害者が大きな不安ともどかしさを感じております。現在の生活の継続を保障し、さらに必要とする者に必要なサービスが行き届く支援費制度とするために、以下の諸点に関して意見提起をさせていただきます。

1.供与すべき便宜の内容に関して
  現在示されている指定居宅介護の内容は、身体、知的を問わず、「入浴、排泄、および食事等の介護、調理、洗濯および掃除等の家事、生活等に関する相談および助言並びに外出時における移動の介護等とする。」となっている。この規定によれば、障害者が社会的な活動に参加しようとする際の援助は対象とならず、きわめて狭い範囲での生活支援としかならないものである。支援費制度が障害者の自立を支援し、利用者主体のサービス・システムとすることを目的とするならば、介護内容には利用者の主体的な判断で利用することのできる社会参加支援サービスを組み入れることが必要不可欠である。
  この分野の支援サービスを取り入れるに当たっては、現在各地の自治体で実施されている「介護人派遣事業」等の支援費制度への組み入れをはかり、身辺介助、家事援助、外出援助、各種相談対応に合わせて総合的な介護サービスとすべきである。
ちなみに社会参加支援サービスには、就労、就学の際の援助を始めとして、社会活動、文化的・創造的活動、スポーツ、レクリエーション、ボランティア活動、旅行等の際の援助ならびに手話通訳、点訳、代筆等のコミニュケーションの援助が含まれるものと考える。


2.介護ヘルパーの資格について
  厚生労働省は今回の支援費導入に伴い、ホームヘルパー資格を有する者にしか支援費支給をすることができないという見解を示している。しかし現在、自薦登録方式でヘルパー利用をしている障害者ならびに各地の「介護人派遣事業」を利用して介助サービスを受けている障害者の7割以上はヘルパー資格を持たない介助者によって生活を支えられている。これらの人々が支援費制度に変わった時点で、これまでの介助者からの介護を受けることができなくなる、あるいは介助者に介助料が支払われなくなるということになれば、多くの障害者は従来どおりの生活を続けることができず、全国的に大きな混乱を招くという事態が予想される。
障害者の介護を行うヘルパーは基本的には利用者である障害者の指示に基づき、利用者の望む形での介護を行うことが必要であり、資格の有無と介護の質とは必ずしも一致するものではない。障害者の介護にあたる者に対しては一律的に介護保険と同様のヘルパー資格を必須要件とするのではなく、障害者介護にあたって基本的にふまえておくべきことを修得する機会をもうけ、その過程を踏んだ者が行う介護については支援費の対象とすることを前提として以下の対応を検討すべきである。 [DC1]
@障害者の介護を過去1年以上にわたって継続的に行っている者に対しては、一切の研修や講習を免除し、支援費支給の対象とする。
A新たに障害者の介護に当たるヘルパーに対しては、介護保険ヘルパーとは別個のヘルパー研修を行い、その終了者は支援費支給の対象とする。
B障害者ヘルパー研修の内容については、各地の自立生活センターが行っている介助者研修カリキュラム等を参考にして、障害者団体等と協議の上作成する。
C障害者ヘルパー研修については、居宅介護サービスを行う事業者に一定期間毎での研修実施を義務づける。

3.「利用者負担」と「扶養義務者の範囲」について
現在示されている説明資料によれば、利用料負担は「生計中心者の所得」を負担根拠とすることとなっている。今回の支援費制度の導入に当たっては、個人に着目し、障害者の自立を支援する制度とするという理念が謳われている。この理念を実体化する観点から、利用者負担については利用者本人の収入を根拠とした負担を原則とすべきである。すくなくとも当面の措置として、居宅サービスにおける「生計中心者の所得」から、親、きょうだいを除外した範囲での実施とすべきである。.

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