2002年1月15日

部科学省初等中等教育局
特別支援教育課企画調査係 御中

DPI(障害者インターナショナル)日本会議 議長 山田 昭義

「学校教育法施行令の一部を改正する政令案」に関する意見


 DPI(障害者インターナショナル)は、すべての障害者の権利と自立生活の確立をめざして活動している団体であり、国際障害者年の1981年に障害をもつ当事者の「われら自身の声」をスローガンとして結成されました。現在150ケ国をこえる国々にDPIの国内会議が結成され、障害当事者による国際的な協力関係づくりに向けて努力を重ねており、国連においては障害者関連の諮問団体として認知されています。
 DPI日本会議は、1986年に日本における国内会議として結成されて以後、障害者の完全参加と平等、人権の確立にむけて必要な諸活動を展開しています。

以下、DPI日本会議として、学校教育法施行令の一部を改正する政令案に関する意見を提出します。

1.「調査研究協力者会議」と「最終報告」について
 「協力者会議」は、学識経験者を中心とした「専門家」で構成され、一方の当事者である障害を持つ本人や保護者の参画のない中で議論が行われてきました。障害の種別や程度に関わらず、「地域社会(学校現場も含めて)の中で共に生きる」ことを実践してきた、こうした人達の考え方や思いこそ、「21世紀の教育の在り方」を議論するための、基本とすべきものではなかったでしょうか。専門家の議論でまとめられた「最終報告」は、従来からの「分離」を基調とする、「特殊教育の部分的な修正」にすぎないものとなってしまいました。この報告の中に、ノーマライゼーションやインクルージョンの視点を見いだすことはできません。

2.「障害」観について
 現行法制度において貫かれている「障害」観は、障害を個人の問題として捉え、社会的あるいは環境との間で生じる問題であるとする、国際的な障害認識と大きくかけ離れています。今回の改正においても、「心身の故障」という表現は改められることなく、障害の種別や程度によって、分離した場で教育を行うというスタンシに何等の変更もみられません。障害があっても、必要な援助を受けながら、地域の中でその人らしく生活していくことが、障害者の自立と社会参加の姿です。障害があるから分離するということは、差別以外の何者でもありません。
 世界の流れを真摯に受け止め、新たな障害認識のもと、21世紀にふさわしい教育の在り方を、市民参画の中で再度議論するべきです。

3.障害の程度の基準について
 障害という一側面にのみ着目した、このような分類、及び基準設定とそれに基づく就学先(盲学校、聾学校、養護学校)の決定は、同年齢の子供達と共に学ぶ権利を有する障害児、及び保護者に対する人権侵害ではないでしょうか。少なくとも、この基準が機械的、画一的に運用されることなく、何よりも本人及び保護者の意向を尊重することを明記するべきです。

4.就学手続きの改正について
 (1)入学期日の通知について
   この規定では、「市町村教育員会が認めた者」に限定して普通学級への就学を認めることとされており、多くの障害を持つ子供達が普通学級に在籍している現状を、否定するものに他なりません。市町村の判断の基本は、本人及び保護者の意向が最優先される旨を明記するべきです。
 (2)就学指導委員会について
   就学指導委員会については、本人及び保護者の意向に反して、就学先を強制しようとする機関として、不信感を持たれてきた経過があります。障害を個人の問題としてしか見ない「専門家」による就学指導は、時として多くの子供や保護者に辛い思いをさせてきました。就学指導委員会に役割があるとすれば、他の子供達と有意義な学校生活を送る上で、どの様な支援が必要かを具体的に本人、及び保護者と共に、検討することです。就学指導委員会による「精密診断」は義務ではないことも含めて、前述した役割について明記するべきです。
 (3)就学先変更の手続きについて
   就学先変更の主体は、本人及び保護者であるべきです。行政がその権限をもって一方的に就学先を変更することは、重大な問題といえます。本人及び保護者の意向が優先される旨を明記するべきです。

5.一日も早く、「共に学び、共に生きる教育」への転換を図るよう、強く要望します。 
「こどもの権利条約」、「障害者の機会均等化に関する基準規則」、「サラマンカ宣言」等の国際的文書の趣旨に沿って、障害を持つ子供や保護者の一人の市民としての権利を尊重し、多様なニーズに応え得る、真の「教育改革」を実行されるよう強く要望します。

以上

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