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障害者権利条約
2003年10月にJDF準備会が発足し、DPI日本会議は、JDF準備会が設置した権利条約専門委員会の事務局団体を担当し重要な役割を果たしている。
本年4月、JDF準備会は外務大臣宛に条約草案の重要な論点にそって「意見書」を提出した。(p.75参照)
政府の見解
2003年12月に作業部会に向けた「障害者権利条約に関する日本国政府の見解」(以下、政府見解と略)では、これから政府として条約の内容を検討するための主な基本的視点を次のように述べている。
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既存の人権諸条約との整合性の確保の観点から、B規約(自由権規約)第2条に規定する「平等原則」及び第26条「法律の前の平等」を確保することを基軸としつつ、障害者の権利の擁護・促進のため重要であるが、既存の人権諸条約の中では明確に規定されていないと考えられる権利についての規定を置く。(政府見解2.各論(2)盛り込むべき原則)
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また、経済的、社会的及び文化的権利の実現のための措置については、多くの国が参加できるようにするため、締約国が「自国における利用可能な手段を最大限に用いることにより」といった、A規約(社会権規約)第2条に規定するような漸進性を許容する趣旨の規定を設ける。(同上)
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障害者の権利の実現を確保するために、必要に応じてとられる特別措置(※)は、障害者差別とは見なされない旨の規定を置く(「人種差別撤廃条約」第1条4又は「女子差別撤廃条約」第4条1参照)(同上)
※ここでの政府見解の「特別措置」は、主に障害者雇用の割当制度を指している。
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我が国としては、障害者の権利擁護・促進との重要課題が国際社会で一層認知され、重視されていくためにも、例えば前文において、既存の国際的人権諸文書に謳われた権利は全て障害者も等しく享受するものである等宣明すべきと考える。自由権的内容、社会権的内容双方を含めるアプローチも基本的に支持する。(同上の(3)範囲)
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また、障害者の権利の実現はおおよそ全ての社会分野に関連することから、人権諸条約以外の既存の国際条約、または各国の国内法令等との関連について、十分整理することも必要であり、障害のない者と同等の権利の実現が進んでいる分野と今後実現を促進していく必要がある分野について整理を要する。(同上の(3)範囲)
今後の課題
日本政府の基本的考え方は、国内における障害者関連の法制度から見て条約の内容が矛盾していないかどうかという観点から判断していくというものである。
権利条約の策定に関わる当事者参画という視点から考えた場合、今後の新しい課題として次のことが上げられる。
第1に政府とNGOの具体的協議方法が、新しい局面に入ったことが挙げられる。今後の特別委員会において、条約草案をめぐる本格的な議論が展開される中で、JDF準備会からの推薦を受けてDPI日本会議のメンバーが政府代表団に参加することが定着しつつある。特別委員会の様々な討議の現場でNGOの立場からの意見をインプットし、その場で政府委員の発言に反映させていくという形式は、国内における政府協議とはまったく違う「緊張感」を伴うものでもある。こうした方法の積み重ねがNGOとしての当事者参画と政策提言能力を高めていくための実地演習としての効果と意義が明確にあることを踏まえて取組んでいく必要がある。
第2に国内の障害者差別禁止法をはじめとする権利法制の構築に向けて、法的拘束力をもつ条約が国際基準を明示する根拠法としての有効性をどこまで発揮できるかが課題になる。とくに差別禁止法において欠かせない「合理的配慮」については、既存の人権諸条約に規定されている政策的オプションとしての「恒久的な特別措置」やアファーマティブアクションの観点から行われる「差別の積極的是正措置」との違いを整理していくことが重要である。障害をもつ人の障害特性に基づく個別的ニーズに事業者や公的施策がどこまで対応することを義務づけるのかという点にかかわる新しい概念として、「合理的配慮」を雇用や教育、サービス提供、アクセシビリティ等の関連条項に反映させていかなくてはならない。
第3に関係省庁とNGOの双方が課題を共有化することのできる関係づくりに向けた努力を継続的に行っていく必要があげられる。特に先に紹介した「政府見解」のCとD―「障害のない者と同等の権利の実現が進んでいる分野と今後実現を促進していく必要がある分野について整理を要する」との関係で、現状認識に基づく意見を交換しすりあわせをしていくことを通じて、合意できる点とそうでない部分を明らかにしていかなくてはならない。
本年中には、障害者権利条約の策定の動向を見据えて、権利条約の早期批准の目標を掲げ、それと連動して国内の差別禁止と権利法制をつくっていくために超党派の議員連盟の発足に向けた動きを本格的につくっていくことが必要になっている。
今後の権利条約特別委員会へのアプローチや日本政府としての権利条約への署名・批准にかかわるプロセスにDPI日本会議として積極的に関わっていくことが求められている。 |